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改訂御定法 山本周五郎 

【朗読】改訂御定法 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「改訂御定法」(昭和37年)です。藩の行き過ぎた御定法改新によって起こった一商人の藩士訴えが、町奉行一人の責任で裁ききれないところまで進んでしまいます。そこで、中所直衛がこの件だけについての町奉行として立ち上がり、解決していきます。幼なじみの婚約者・佳奈との場面も愛情いっぱいで読みどころです。

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改訂御定法 主な登場人物

中所直衛・・・中所はこの藩の筋目の家で、彼は、二十三歳で家老になる序席の「連署」になるが、藩法改新の問題が起こり、藩史編纂頭取に左遷される。矢堂玄蕃の借財不払い訴えの解決にあたる。

河本佳奈・・・直衛の幼馴染み。良人に死なれて実家に戻り、妻に死なれた直衛と再婚の婚約をする。

河本宗兵衛・・・佳奈の兄。直衛の友人。町奉行。

矢堂玄蕃・・・ほとんど有名無実のような屋敷地割方肝煎という役についている。放埓者で高利貸しから借財不払いで町奉行に訴えられる。

要屋喜四郎・・・呉服、染物、什器の商いに両替と質屋、裏で金貸しをやっているという噂がある商人。

改訂御定法のあらすじ (※ネタバレを含みます)

御定法が改正されて以来、七年間で町奉行の交代が河本宗兵衛でもう三度めになる。訴訟が多く、町奉行が幾たびも苦境に立たされています。しかし触出された法令をたやすく変えることはできません。中所直衛が、矢堂玄蕃の借財不払いを訴えた要屋の裁きを利用して、新しい御定法にはっきりした威厳と基準を与えようと奮闘する話です。幼なじみで親戚以上のつきあいを続ける町奉行・河本宗兵衛と、その妹で婚約者・佳奈と中所直衛のやりとりがあたたかく思い遣りを感じます。

アリア
今回の植物は野木瓜(のぼけ)です!庭に亡くなった妻が植えた野生の野木瓜があり、春には朱色の見事な花を咲かせます。彼女が、実を塩漬けにすると香りのよい箸休めになると云っていたが、生きている間には一つか二つしかならなかった。そして今、数えてみると二十八個もなっていた。この実が佳奈の手によって砂糖漬けにされますが・・・
かん太
雨のシーンは初めてのお白洲の日、「朝のうち降っていた小雨は止んだけれども、空は雨雲で覆われていて、いつまた降りだすかわからないような空模様であった。」と描かれています。

 

改訂御定法の覚え書き

煩瑣(はんさ)・・・こまごまとしてわずらわしいこと。また、そのさま。

事跡(じせき)・・・物事が行われたあと。事件のあと。

稿閲(こうえつ)・・・原稿に書かれている文章の意味や内容を読み、誤りを正すこと。

時服(じふく)・・・四季の時候に合わせて着る衣服。

什器(じゅうき)・・・日常使用する器具・家具類。

偏狭(へんきょう)・・・自分だけの狭い考えにとらわれること。度量の小さいこと。そのさま。

頑強(がんきょう)・・・自分の態度や考えをかたくなに守って、外からの力に容易に屈しないさま。

後難(こうなん)・・・あとに起こる災難。後日の災い。

白洲(しらす)・・・江戸時代の奉行所で、法廷が開かれた場所。

褄先(つまさき)・・・和服の褄の先。衿下と裾の出会う角のところ。

下吟味(したぎんみ)・・・罪状を調べただすこと。

剛腹(ごうふく)・・・度量が大きく、こせこせしないこと。大胆でものおじしないこと。また、そのさま。

些末(さまつ)・・・重要でない、小さなことであるさま。

放埓(ほうらつ)・・・身持ちの悪いこと。酒色にふけること。

志操(しそう)・・・自分の主義や主張などを固く守って変えない心。

内福(ないふく)・・・見かけよりも内実が豊かなこと。内証の裕福なこと。

 

 

 

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