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さぶ7 山本周五郎 

【連載朗読】さぶ7 山本周五郎 読み手アリア

 

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、「さぶ7」です。(七の一~七の五)栄二は自分を恨んでいる才次ともう一度やるつもりだった。今度こそ対等に本気でぶっつかるつもりでいた。しかし才次は余罪がばれて伝馬町へ送られてしまった。本当にそんな余罪があったのだろうか、おれのように世間の罠におとされたんじゃあないのか、と栄二は思った。それからのち栄二はようやく周囲の人間や出来事を注意して見るようになった。そして少しづつ人と口をきくようになった。それを誰よりよろこんだのは与平であった。五月に入ると、五日おきに訪ねてきていたさぶが姿を見せなくなった。栄二はいつも会うことはなかったが、さぶを気にする自分に肚を立てた。六月に入ると油絞りのこぶが暴れだして大騒ぎになった。元結作りの松造が島から出る際に、こぶが夫婦約束をしている女、おとよを一緒に連れ出したからだった。

かん太
栄二は、寄場にいる人間がみな世間からのけ者にされ、痛めつけられ、騙されたりぺてんにかけられたり、暗くおぞましい経験をしたことに気づくんだ。

 

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さぶ7 主な登場人物

才次・・・元小頭。栄二に半殺しにされ病人置き場にいたが、余罪がばれて伝馬町へ移された。

万吉・・・二十七歳、「に組」の火消しだったが、派手な喧嘩で相手の三人にけがをさせて寄場に送られた。栄二が才次をやっつけてからずっと話しかけてきていた。なんでも金銭の高で評価する。

ご一・・・5年前に寄場に送られた百姓部屋のもの。11歳から野良仕事をし、笹薮だらけの荒地を七反歩もおこし、水を引いて田に作った。しかし地主にすべて取り上げられてしまう。ご一はやけになって地主の屋敷に火をつけようとして捉まった

おとよ・・・三十歳、女置き場の女。多情で云い寄る男なら誰にでも身を任せる。こぶの清さんと逢っていたが、松造にちょっかいを出されて熱くなる。

こぶ(清七)・・・油絞りの中でも暴れ者で首に瘤がある。おとよに首ったけ。

松造・・・三十一歳、元結い作り。行状もよく、外使いでしゃばに出る時におとよを妻に迎えたいと思っている。万吉を云いくるめて、こぶとの仲を裂こうとする。

 

 

さぶ7 覚え書き

おためごかし・・・表面は人のためんいするように見せかけて、実は自分の利益を図ること。

纏持ち(まといもち)・・・火事場の最前線に立ち、高く掲げて火元や風向きを知らせ、火消したちの士気を高める役割をもつ。

おっぴしょれる・・・へしおれる

公事師(くじし)・・・江戸時代、当事者に代わって訴訟を進めたり、手続きを指導したりすることを業としていた者。

古証文(ふるしょうもん)・・・古い昔の証文。古くなって効力を失った証文。

矢来(やらい)・・・竹や丸太を縦横に荒く組んで作った囲い。

雑役(ざつえき)・・・主な業務以外の種々雑多な仕事。

掛矢(かけや)・・・樫の木などの堅木で作った大きな槌。くい打ちや扉を破るのに用いる。

 

 

 

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