【朗読】花匂う 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです、今回は、山本周五郎作「花匂う」です。この作品は昭和23年面白世界別冊に掲載されました。武家の三男の部屋住み瀬沼直弥は、部屋住みで時間があるので弁当持ちで出かけて領内全部の風土資料を集め、土地土地の古老を訪ね、社寺、古跡を探り、林相や気候や作物を調べたりしてそれを克明に記録した。長四畳の板間に棚を作って、集めた資料をそこへ積んでいく。出かけない時は居間の机で気の向くままに整理をした。直弥は三男坊の部屋住だということにもさして悩んだり僻んだりしたためしはない。将来のためにどうしようなどということもなく与えられた平凡な日を従順に暮らしていた。しかし、隣家の幼馴染みの多津と友人の信一郎の婚約が決まった時、突然眠れない夜が始まり、彼は自分が多津を愛していることに気付くのでした。
花匂う 主な登場人物
瀬沼直弥・・・部屋住みの三男、家族に「三男の甚六」と呼ばれている。少年じぶんから伝説や地誌を聞くのが楽しみだった。隣家の多津とは四つ違いで幼い頃はよく遊び相手をさせられた。
矢部信一郎・・・直弥の藩の学問所からの親友。直弥を介して多津を知り結婚する。しかし実は自分の家にいた小間使いとあやまちをして、男の子がある。
庄田多津・・・よく笑う明るい性格。産毛が濃くて腕にも頬にも水蜜桃のように柔らかい毛が生えている。信一郎と結婚する。
竹島半兵衛・・・藩の学問所で五人組といわれた友人の一人。
花匂う 覚え書き
甚六・・・大事にのんびり育てられ、他の兄弟姉妹に比べてぼんやりしているさま。
歌妓(かぎ)・・・酒宴で歌う芸妓。
林相(りんそう)・・・木の種類や生え方などによる森林の様相。
勤倹(きんけん)・・・勤勉でむだな出費を少なくすること。
実直(じっちょく)・・・誠実でかげひなたのないこと。
妾婢(しょうひ)・・・めかけや下女。
逮夜(たいや)・・・葬儀の前夜。
流連(いつづけ)・・・遊興にふけって家に帰ることを忘れていること。
讃仰(さんぎょう)・・・聖人や偉人の徳を仰ぎ尊ぶこと。
幽囚(ゆうしゅう)・・・捕らえられ閉じ込められること。
教唆(きょうさ)・・・事を起こすよう教えそそのかすこと。
経綸(けいりん)・・・国家の秩序をととのえ治めること。
周旋(しゅうせん)・・・交渉などで当事者間に立って世話をすること。