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梅月夜 山本周五郎 

【朗読】梅月夜 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「梅月夜」(昭和16年)です。若いうちから古武士型の謹直家である高沖千之助は、弛廃した寛政気風の連中からひどく煙たがられていた。そんな彼に起こる四日間の出来事が描かれています。

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梅月夜 主な登場人物

高沖千之助・・・駿河の国、田中藩の馬廻り番頭で三百石を取り、国家老成田別所の娘、菊枝と婚約している。

井波太吉郎・・・千之助の朋友。千之助をいつも助ける。

宮松金五郎・・・父の敵を討つために妹・松代と共に田中藩へやってくる。

松代・・・金五郎の妹。言葉の端々、挙措動作に云いようのない情の密さと温かいゆたかな感じが溢れる。

成田銀之丞・・・軽率な質で、幾度か酒の上の喧嘩沙汰があり江戸詰になっていた。冬の初め、酔って喧嘩し金五郎の父を斬った。

菊枝・・・十八歳で冷たい陶器のような美しさを持つ。千之助の婚約者。兄おもい。

原久馬・・・成田別所の甥。銀之丞の隣に住む。槍と小太刀の名人。

梅月夜のあらすじ(※ネタバレを含みます)

高沖千之助は客間で井波太吉郎と婚約者の話をしていると突然、庭前に白刃を手に青い顔をした若侍が、親の敵を討ちもらし、助勢の人数に追い詰められ、匿ってほしいと逃げ込んできた。彼の父を酔って売った喧嘩で無法に斬り伏せたのは、国家老・成田別所の二男、銀之丞だった。この仇討は尋常のことでは難しいと金之助は思った。相手が国家老の子であるため、家中の者はみんな遠慮するであろうし、彼は助勢の者を二人斬っている。彼を守るためには主君の上意を乞う他に手立てはなかった。

かん太
金五郎が逃げ込んだときに牡丹雪が舞う場面があるよ!灯点し過ぎのころ、客間の小窓の障子にときおりさらさらと舞いかかる音が聞こえるんだ。しんと空気の冷えた感じがよかった。
アリア
今回の植物は、菖蒲と梅でした!菖蒲は、千之助が端午の節句に招かれた時、菊枝が庭の池畔で花を切っているのを見かけます。梅は、木賃宿に松代を訪ねていったとき、鼻のつかえそうな中庭に一本の老梅がふくらんだ蕾をつけてます。また千之助が立ち退いた見禰山の宗洞寺の庭にも梅の老木が出てきます。それぞれの花が二人の女性をよく表していると思いました。

梅月夜 覚え書き

一紙半銭(いっしはんせん)・・・ごくわずかなもの。特に仏家で寄進の額のわずかなことにいう。

池畔(ちはん)・・・池のほとり。池のはた。

眉宇(びう)・・・眉を目の軒と見立てていう眉のあたり。

古武士(こぶし)・・・剛毅実直な昔の武士。風格が備わり、剛直で信義を重んじる武士。

勤直(きんちょく)・・・慎み深くて正直なこと。

弛廃(しはい)・・・ゆるみすたれること。行われなくなること。

助勢(じょせい)・・・力を添えて援助すること。また、その人。

理非(りひ)・・・道理にかなっていることと外れていること。

狼藉物(ろうぜきもの)・・・乱暴をはたらくもの。

浅傷(あさで)・・・軽い傷。

意趣(いしゅ)・・・恨みを含むこと。また、人を恨む気持ち。

歴々(ありあり)

亀鑑(きかん)・・・行動や判断の基準となるもの。手本。

慚愧(ざんき)・・・自分の見苦しさや過ちを反省して心に深く恥じること。

木賃宿(きちんやど)・・・粗末な安宿。

些少(さしょう)・・・数量や程度がわずかなこと。

 

 

 

 

 

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