【朗読】武道宵節句 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「武道宵節句」です。この作品は昭和13年、新少年に掲載されました。兄妹ものです。兄妹の父、村松将太夫が老職と意見の衝突をして小笠原志摩守を退身してから十五年。二君に見えずと云って清貧のうちに父は死し、母も五年以前に父を追って逝った。それから今日まで兄の三樹八郎は、兄弟の運命を開拓するために寝食を忘れて活躍してきたが、梶派一刀流免許皆伝の腕前も士官の途がなくては役に立たず、ついにどうにもならないところまできた。今宵は雛祭りの宵節句で、少しばかりの馳走を整えたが、それは兄妹の最後の晩餐のつもりで、夜半になったら妹を刺し、自分も屠腹して潔く世を辞そうと覚悟していた。そこへ・・一人の若侍が闇討ちに遭っていて、助勢を頼まれることになる。
武道宵節句 主な登場人物
村松三樹八郎・・・浪人、宵節句の馳走を最後の晩餐として妹と世を辞そうと考えている。
加代・・・三樹八郎の妹、十九歳。兄に頼り切っている。
山県銀之丞・・・大垣の石川備前守の家臣、同じ家中の剣術指南役が妹春枝を嫁にと望んできたが、良からぬ人物だったので断ったところ、主君から預かっていた石川家の家宝の短剣を盗まれる。
武道宵節句 覚え書き
二君(じくん)・・・二人の君主。
屠腹(とふく)・・・切腹。
相伴(しょうばん)・・・人の相手をつとめて一緒に飲み食いすること。
叱呼(しっこ)・・・大声で呼ぶこと。怒鳴ること。
峰打(みねうち)・・・刀のみねで相手を打つこと。
金瘡(きんそう)・・・刃物による切り傷。
温湯(おんとう)・・・あたたかい湯。
艱難(かんなん)・・・困難に出会って苦しみ悩むこと。
梨花一枝(りかいっし)
吉瑞(きちずい)・・・めでたい印。
逆銅(ぎゃくどう)・・・相手の左胴を打つこと。
一閃(いっせん)・・・ぴかっと光ること。ひとひらめき。
頬桁(ほおげた)・・・ほおぼね。