【朗読】半化け又平 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「半化け又平」です。この作品は昭和11年、少女倶楽部に掲載されました。播州姫路の城下、八重樫主水の道場の一人娘、椙江は、年ようやく十九歳、才知に秀でているうえ、城下町で評判の美しい縹緻をもっていたが、老年になった父をよく助けて、七人の内弟子と下女下郎の一家を、娘の手ひとつに切り盛りしていました。道場の下郎に「半化け又平」と呼ばれる下郎がいて、どこか間がぬけていて、いつもえへら笑いをしているが、色白の眉の濃い、口元の引き締まった立派な人品で、椙江にはどういうわけか、又平の素振りに納得のいかぬところがあるように、「もしかして・・仔細あってわざと愚か者の風をよそおっているのではないか。」と思えて仕方がないのでした。
半化け又平 主な登場人物
半化け又平・・・八重樫主水の道場の下郎。一年ほど前に奉公に来た。在方の百姓の三男とのことだが、色白で眉が濃く、口元の引き締まった立派な人品。
椙江・・・八重樫主水の一人娘。又平はただの下郎ではないと思っている。
八重樫主水・・・古中条流の達人、家臣ではないが、領主池田候から年々五百俵ずつ手当てをうけ、家中の武士に指南をしている。しかしそれは姫路藩以外の者に伝授してはいけない「お止流」の条件付きだった。
沼田軍十郎・黒板権六・石山弾兵衛・・・八重樫道場の門弟中で三羽鳥と呼ばれる腕利き。
岡部五太夫・伊丹兵右衛門・・・竜虎と呼ばれる師範代。
半化け又平 覚え書き
凌ぎ(しのぎ)・・・苦しい局面やつらいことを、なんとかもちこたえて切り抜けること。また、その方法・手段。
人品(じんぴん)・・・人としての品格。特に、身なり・顔立ち・態度などを通じて感じられるその人の品位。
才知(さいち)・・・才能と知恵。
弄り物(なぶりもの)・・・もてあそびもの。なぐさみもの。
秋思(しゅうし)・・・秋に感じるものさびしい思い。
哀傷(あいしょう)・・・心に深く感じて物思いに沈むこと。
臥所(ふしど)・・・寝所、寝床。
紙燭(しそく)・・・手元を紙で巻く松の木を棒状に削った明かり。
大上段(だいじょうだん)・・・剣道で頭上に高く刀を振りかざす構え。
戛(かつ)・・・硬いものどうしが触れ合う音。
白髯(はくぜん)・・・白いほおひげ。
徒(あだ)・・・実を結ばずむなしいさま。無益なさま。
枉げて(まげて)・・・道理や意思に反して行動するさま。無理を承知で頼むときに使う。
大喝(だいかつ)・・・大きな声で叱りつけること。
有明行燈(ありあけ)・・・夜明けまで夜通しつけておく行燈。
横奪(おうだつ)・・・無理に奪い取ること。
飛燕(ひえん)・・・飛んでいる燕。
顛倒(てんとう)
右足(うそく)