【朗読】大炊介始末(おおいのすけしまつ)山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「大炊介始末」(昭和30年)です。大炊介高央(おおいのすけたかなか)は、藩主となるための勉強にかかっていた。父の相模守の溺愛にもかかわらず、彼の明朗率直であり、勤勉で思いやりが深く、いかにも好ましい性質と、健康と明晰な頭脳とは、少しもそこなわれることはなく、ますますその長所を伸ばしていくようだった。しかし、それは十八歳の秋までで、それからの彼はすっかり変わってしまった。
大炊介始末(おおいのすけしまつ) 主な登場人物
大炊介高央(おおいのすけたかなか)(幼名:法師丸・菊二郎)・・・藩家の中興になるだろうと期待されていたが、十八歳の秋、侍臣の吉岡進ノ介を手打ちにして以来、性質がすっかり変わってしまう。酒を飲んでは乱行し、狂態は増悪するばかりだった。
相模守高茂(さがみのかみたかもち)・・・大炊介の父。幼い頃から大炊介を溺愛する。彼の乱行に絶望し、悲しみ嘆き、落胆した。
征木兵衛(まさきひょうえ)(幼名:小三郎)・・・江戸から大炊介の命をちぢめるために来た。子供時分、若殿の学友に上がり、誰よりも大炊介に好かれていた。
広岡主殿・・・八百七十石の筆頭家老。江戸から来た兵衛を丁重にもてなす。
みぎわ・・・主殿の娘。兵衛の許嫁者。
内田十右衛門・・・五十七歳。兵衛の祖父の代からの征木家の家僕。
吉岡進之介・・・二十一歳の時、芝浜の中屋敷で大炊介に手打ちにされる。
大炊介始末 覚え書き
鍾愛(しょうあい)・・・たいそう好きこのむこと。
進境(しんきょう)・・・進歩・上達の度合い。
中興(ちゅうこう)・・・いったん衰えた物事や状態を、再び盛んにすること。
逆意(ぎゃくい)・・・謀反を起こそうという心。逆心。
宥恕(ゆうじょ)・・・寛大な心で罪を許すこと。
乱酔(らんすい)・・・正体がなくなるほど酒に酔うこと。
狂態(きょうたい)・・・正気とは思われないふるまいや態度。
増悪(ぞうあく)・・・病状などがさらに悪化すること。
侍臣(じしん)・・・君主の側に仕える家来。
諫言(かんげん)・・・目上の人の過失などを指摘して忠告すること。
謹直(きんちょく)・・・つつしみ深くて正直なこと。
知友(ちゆう)・・・互いに理解しあっている友。
冠木門(かぶきもん)・・・冠木をわたした屋根のない門。
﨟たけた(ろうたけた)・・・女性が美しくて気品があること。
久闊(きゅうかつ)・・・久しぶりの挨拶をすること。
膝行(しっこう)・・・神前や貴人の前などでひざまずき、膝頭をついて身体すること。
呻吟(しんぎん)・・・苦しんでうめくこと。
贖罪(しょくざい)・・・金や品物を出して罪のつぐないをすること。
勘気(かんき)・・・主君・主人・父親などの怒りに触れ、とがめを受けること。