【朗読】 鵜 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「鵜」(昭和29年)です。誰も人の来ない淵で出会った半三郎と、謎めいた女、ただこのひと夏の愛情物語です。(旧題は美女ヶ淵)淵での水遊びの場面がそしてただこが美しく描かれています。
鵜 主な登場人物
布施半三郎・・・江戸邸の次席家老の一人息子。剣術・柔術が並外れて強く、癇癪持ちで、いつも喧嘩ばかりしていて始末に負えない。とうとう謹慎の意味で国詰めになる。彼はそこでいざこざを避けるために庭木いじりや魚釣りを始めた。
段平・・・雇仲間。半三郎が国詰めになってすぐ雇われ、半三郎の世話をしている。
ただこ(さだこ)・・・淵ですはだかで泳いでいた謎の女。夏の間、半三郎と毎日のように逢う。
藤江内蔵允・・・千石の筆頭家老。さだこより三十年上の年の離れた良人。
藤江小五郎・・・藤江内蔵允の長男。
鵜 のあらすじ(※ネタバレを含みます)
ひと月まえに江戸から移ってきた布施半三郎は、三年間の国詰めを命ぜられていた。彼は勤めにも出ず、同家中とのつきあいもない。誰かを訪ねたり誰か訪ねてくることもない。おまけにずばぬけた無口だった。しかし彼は、家の柱だとか壁だとか庭の木だの石だの犬や猫、小鳥などには機嫌よく話しかけるのだった。彼は剣術・柔術が並外れて強く、おまけに癇癪持ちで、いつも喧嘩ばかりしていた。前後五たびばかりも「叱り置」かれたり「謹慎」を命ぜられたりした。半三郎はそういういざこざを避けるために庭木いじりや魚釣りを始めた。半三郎は二十日かけて自分の求めている条件に合う淵を見つけた。その淵は七十尺ばかりの断崖の下にあり、岩角や木の根をつたって降りるほかに道がない。その淵へ始めて釣に出かけた時、上の方から女の白い裸体が流れに乗ってゆっくりと流れて来た。それがただこだった。
鵜 覚え書き