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夜の辛夷(こぶし) 山本周五郎 

【朗読】夜の辛夷(こぶし) 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「夜の辛夷(こぶし)」(昭和30年)です。(おさん/新潮文庫)何度も舞台化されTVドラマ化された山本周五郎の人気作品です。権現前の岡場所「吉野」の女お滝とその客・元吉の出会いと別れ、12月から辛夷の花が咲く頃までの数か月の話です。切ない純愛もの。

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夜の辛夷(こぶし) 主な登場人物

お滝・・・悪い男に騙され岡場所に身を沈めた子持ちの二十四歳。凶状持ちの客を岡っ引きに密告して金を貰っている。

元吉・・・二十七歳、職人らしい恰好だが、権現前の岡場所に来る人柄に見えない、金離れのいいお滝の馴染み客。

根岸の政次・・・岡っ引き。お滝の話から元吉が「匕首の元」だとつきとめる。

ともえとお若・・・岡場所「吉野」の妓。凶状持ちの客を政次に密告して金を貰っているお滝を非難する。

夜の辛夷(こぶし)のあらすじ(※ネタバレを含みます)

十二月十八日 夜十一時過ぎ、初めて元吉がお滝の客になる。翌日また元吉は「吉野」に来る。お滝はお若と激しい口論になる。

かん太
お若は、「岡場所の妓も凶状持ちも同じ日陰者、どっちも世間から爪はじきされている人間じゃないの、そうとわかっても庇ってやるのが人情ってもんだ。」ってお滝にあてつけて非難するんだ。
アリア
お滝はそんなお若に「ぺてんにかけられたり、盗まれたりして泣いている人間が世間にはうんといるんだ、そういう人たちのためにだって凶状持ちだとみたら指してやる。これからだって遠慮なく指してやるよ。」って云うんだ

馴染みになる客ではないと思った元吉はお滝のその予想が外れて金ばなれのいい馴染み客となった。そのうち彼は自分の身の上をお滝にきかれるままに話す。年が明けて岡っ引きの政次が来たとき、元吉を見かけた政次が「大工って柄じゃねえぜ。」と云ったことから、お滝は元吉の身の上を政次に話すのだった。

夜の辛夷(こぶし)覚え書き

ぞめき・・・遊郭や夜店などをひやかしながら歩くこと。また、ひやかし客。

権現(ごんげん)・・・仏・菩薩が人々を救うため、仮の姿をとって現れた日本の神。

癇性(かんしょう)・・・ちょっとした刺激にもすぐ怒る性質。激しやすい気質。

声色(こわいろ)・・・声の調子。他人、特に役者や有名人のせりふ回しや声を真似ること。

凶状(きょうじょう)・・・凶悪な罪を犯した事実。罪状。

唐変木(とうへんぼく)・・・気の利かない人物、物分かりの悪い人物をののしっていう語。

訴人(そにん)・・・訴えでること。

おだ・・・勝手に気炎をあげること。おだをあげる。

手金(てがね)・・・手元にある金。所持金。

百方(ひゃっぽう)・・・すべての方面。あらゆる手段。

夜目(よめ)・・・夜、暗い中で物を見ること。

匕首(あいくち)・・・つばのない短刀。あいくち。

御用聞き(ごようきき)・・・江戸時代の目明しの俗称。岡っ引き。

 

 

 

 

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