【朗読】誉れの競べ矢 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「誉れの競べ矢」です。この作品は昭和10年、周五郎32歳の時、少女倶楽部に掲載された武家もの・少女ものです。伊達政宗が登場しますが内容はフィクションです。
誉れの競べ矢 主な登場人物
小菊・・・弓の名手。父の汚名を雪ぐため米沢城で弓の師範役、次郎七と競べ矢を試みる。
浦上靱負・・・軍学者として政宗の父の世から重んぜられていた。剣と弓の名手。
山岸次郎七・・・弓術師範。
伊達政宗
誉れの競べ矢 あらすじ(※ネタバレを含みます)
出羽の国米沢の城外、十四、五人の騎馬武者が走っている。先頭の若い武将は伊達政宗、鷹狩りをしての帰り途、獲物の少ない日で彼は不機嫌だった。馬を急がしていると左手から凄まじい羽ばたきをしながらおおとりが舞い立った。「次郎七、射止めよ!」しかし矢は外れた。「鷹をかけろ!」しかし鷹もそれてしまった。「止め立て無用!射止めよ!」しかし大空高く舞い上がった鷹をどうして射落とすことができよう。その時である。びょう!と鳴り鏑の音がして空を斬る矢一筋。あっという間に鷹の翼を貫くと見え、つーと一文字に落ちてきた。政宗はじめ扈従の者たちが振り向くと櫟林の中から静かに下りてくる一人の娘があった。
誉れの競べ矢 覚え書き
鏑矢(かぶらや)・・・鏑をつけた矢。射ると大きな音響を発して飛ぶ。狩猟用の野矢のひとつ。
羽交(はがい)・・・鳥の左右の翼が重なるところ。
山峡(やまかい)・・・山の迫った谷間。
森閑(しんかん)・・・物音ひとつせず、静まりかえっているさま。
籠居(ろうきょ)・・・家に閉じこもって外に出ないこと。
緒口(いとぐち)・・・きっかけ、手がかり。
猟衣(かりぎぬ)
小褄(こづま)・・・着物のつま。
次第(ついで)
暗愚(あんぐ)・・・物事の是非を判断する力がなく、愚かなこと。
逐電(ちくでん)・・・敏速に行動すること。特に、すばやく逃げて行方をくらますこと。
書見(しょけん)・・・書物を読むこと。読書。
奸計(かんけい)・・・悪いはかりごと。悪だくみ。
奸悪(かんあく)・・・心がねじけていて悪いこと。また、そういう人や、そのさま。
活眼(かつがん)・・・物事の道理や本質を良く見分ける眼識。
諫言(かんげん)・・・目上の人の過失などを指摘して忠告すること。また、その言葉。
畏怖(いふ)・・・おそれおののくこと。