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浪人走馬灯 山本周五郎

【朗読】浪人走馬灯 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は山本周五郎作「浪人走馬灯」です。この作品は昭和15年富士に掲載されました。来馬辰之介はある事情があって5年前に出羽国本庄を退国し、金沢市郎兵衛の道場で代師範を勤めていた。辰之介は人柄もよく素晴らしい腕を持っているのでしばしば諸方から仕官を推挙されていたが二度と主取りはしないと固く断っていた。辰之介は母と二人で江戸の裏長屋に暮らしていたが、代師範の手当くらいでは江戸の住居は楽ではなく、水にまで金がかかると知った初めの頃は息詰まるような気持ちだった。また婢も使えぬ身上とて自ら厨に立つ母を見ることは辛いことだった。

辰之介の「人には長所も弱点もある、善心と悪心とは誰の心にもあるものだ。しかし悪心が募ると世を毒し人を滅ぼす。拙者は世の中に性根からの悪人という者は存在せぬと信じていたが、貴様によって初めて悪人を見た。旧主家のためとは云わない。父の仇とも云わない。夜を毒し人を過る悪人として斬ってやる。」っていいですね。性根からの悪人はいない。色んな作品にでてきますがグッときます。娘との出会いも巧みに描かれて人物がとても分かりやすい作品でした。

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浪人走馬灯 主な登場人物

来馬辰之介・・・背丈は五尺八寸、筋肉の締まった逞しい体つきで、いつも髭の剃り跡の青々とした顎を持ち、高い鼻のわきに大きな黒子がある。口数が少なく不愛想だが、驕らない温和な質と人の気付かぬところに親切な思いやりがあるので門人たちに敬慕されている。

金沢市郎兵衛・・・道場の主。奥羽浪人で母子二人、それ以外の身上を話したがらない辰之介を信頼し、代師範をさせている。

大河原蔀・・・但馬守政英の側用人。辰之介の父と不和の間柄だった。

但馬守政英・・・病弱で癇が強く側近の者も恐れ憚っていた。辰之介の父を左遷し、小さな誤りで切腹を命じる。

おきぬ・・・辰之介の父の組下しいた足軽頭の娘。評判娘だった。

 

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