【朗読】桑の木物語 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「桑の木物語」です。この作品は、昭和24年キングに掲載されました。体の虚弱な若殿信太郎正篤と、学友に上がった悠二郎との友情物語です。自由奔放に育った悠二郎と遊びながら段々身体が丈夫になっていく。悠二郎の育ち方が丁寧に書かれていて面白いです。桑の実を二人で食べる場面、毎年屋敷に二本ずつ桑の木を植え続ける正篤、いつまでも心に残る作品です。
桑の木物語 主な登場人物
土井悠二郎・・・双子に生まれる。武家では双子は嫌うので、生まれてすぐに舟宿に里子に出されて自由奔放に育つ。5歳で近所じゅうのガキ大将になる。7歳で生家に戻され若殿のご学友にあげられる。
信太郎正篤・・・六万三千石の藩主。体が虚弱で動作ものろくさして舌っ足らずなぼうっとしていたが、悠二郎に連れられて遊ぶうちに段々丈夫になっていく。
土井勘右衛門(虚木老)・・・老職。悠二郎の祖父。かなりの道楽者。老年まで吉原や深川でよく遊び、酒も強く俗曲にも通じて俳諧にも凝っていた。悠二郎を舟仙に預け、当人がよければ船頭にでもなるがいいと云った自由主義者。舟仙には悠二郎を大事に扱わず、たいていな悪戯は叱らず野放しに育てるよう厳命する。
土井忠左衛門・・・悠二郎の実父。物堅い性分で、留守役という社交的な勤めにいながら酒も多くはたしなまず、たった一つ金魚を飼うという趣味の他、碁将棋も知らないという風だった。
おみつ・・・舟仙の仙吉とおつねの娘。悠二郎と四つ違い。
新泉小太郎・・・優等生、悠二郎と一緒にご学友にあがる。
原精一郎・・・悠二郎と一緒にご学友にあがった「くいしんぼう」
桑の木物語 覚え書き
致仕(ちし)・・・官職を退くこと。
無埒(むらち)・・・めちゃくちゃ。
奇矯(ききょう)・・・言動が普通ではないこと。
無為(むい)・・・何もしない。
中興(ちゅうこう)・・・いったん衰えた物事や状態を再び盛り返すこと。
豪放磊落(ごうほうらいらく)・・・度量が広くて大胆で小事にこだわらないこと。
強飯(こわめし)・・・おこわ
代赭色(たいしゃいろ)・・・褐色を帯びた黄色または赤色。
滔々(とうとう)・・・みなぎりあふれる。
返報(へんぽう)・・・人がしてくれたことに対して報いること。
嘆賞(たんしょう)・・・すぐれたものとして感じ入ること。
展墓(てんぼ)・・・墓参り。
靖献遺言(せいけんいげん)・・・江戸前期の思想書。
日鑑(にっかん)・・・主に寺院などの日記。
浅黄裏(あさぎうら)・・・遊里で江戸勤番に出てきた野暮で武骨な田舎侍をあざけって呼んだ言葉。
深間(ふかま)・・・男女が別れられないほどの深い仲になること。