【朗読】秋の駕籠 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「秋の駕籠」です。この作品は、昭和27年、講談倶楽部に掲載されました。正直者の駕籠屋の相棒、中次と六助の話です。二人は仲がいいときは一緒に住んでいた。別れて住んでいる時は喧嘩をしているので互いに口もきかず、稼ぎにも出ずに遊んでいた。しかしそれは長くは続かなかった。二人とも他に友達はないし、これという道楽もなかったから。ある日、お梅のはからいで仲直りした二人は、日本橋で呉服商の主人に箱根まで通し駕籠で行ってほしいと頼まれる。駄賃は五両!あやしいと思いながらも出発する二人だった。
秋の駕籠 主な登場人物
中次・・・二十七歳。色が浅黒く、いなせな顔立ちでうけくちの唇の片方を少しゆがめて少し煙ったい眼をするクセがある。こうすると苦みばしった好い男ぶりに見える。
六助・・・二十七歳。四十歳くらいに見える。固太りで毛深くて脂性。太い眉毛や大きな目鼻のまわりにいつも脂が浮いている。顔の下半分は髭で埋もれている。胸毛は熊のよう。
お梅・・・十八歳、顔立ちも体つきもきりっとしている。背丈は五尺そこそこ、色の白いきめの細かな肌で、面長の顔に目が大きく眉毛がやや尻下がり。左の唇の下にほくろがあり、匂やかな色気があふれている。
おそめ・およの・・・「魚金」の小女。十五歳。おそめは器量よし。およのはつねに上品にふるまおうと努力している。
金助・・・四十五歳、一膳めしと居酒を兼ねた縄のれん「魚金」の主人。気のいい情にもろい性分。
山城屋五十平・・・江戸日本橋で呉服商を営む大店の主人。
秋の駕籠 覚え書き
二百二十日(にひゃくはつか)・・・立春から数えて220日目。農家の厄日。
情合(じょうあい)・・・思いやりや愛情。
妬心(としん)・・・嫉妬心。
いなせ・・・男気があり粋で心意気のあること。
生木(なまき)・・・切ったばかりで乾燥していない木。
雲助(くもすけ)・・・客をとろうと蜘蛛のように巣を張っている無宿者の駕籠かき。
雷獣(らいじゅう)・・・雷と共に地上に降りてくる想像上の動物。
銀流し(ぎんながし)・・・見かけはよくても質の悪い物。