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戦国会津唄 山本周五郎

【朗読】戦国会津唄 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「戦国会津唄」です。(昭和12年/少女倶楽部増刊号)上杉景勝の重臣岡野左内は、猪苗代城代を勤める一万石の大身だったが、実に思い切った倹約家で吝嗇に近い生活をしていた。もちろん自然と莫大な金が溜まる道理である。左内はそれがまた何より楽しいとみえ、月に一度ずつ金蔵へ入っては、あるほどの金銀を山と積んでただ一人それを数えるのが例だった。豪放と恬淡を持って誇りとした戦国武士のあいだにあって、左内のような吝嗇や金銭を愛する気風は蔑まれ、「左内ではない、吝内殿だ」「いかにも稗野吝内であろう」と陰口を云われていた。左内自身は世間にいかなる悪評が飛ぼうが平気だった。しかし、まだ髪上げをしたばかりで、ようやく羞ずかしさを知り始めた十五の乙女小房には、それは辛く悲しいことだったのである。

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戦国会津唄 主な登場人物

小房・・・十五歳、岡野左内の娘。土岐市之丞とのあいだに許嫁の約束が結ばれている。

市之丞・・・十七歳の美少年。小房の父、左内に劣らぬ武士になろうと、いつも心に誓っている。

菊枝・・・小房の親友。

岡野左内・・・一万石の大身だが吝嗇に近い生活をしている。蔭で「稗野吝内」「金貸商人」と呼ばれている。

戦国会津唄 覚え書き

吝嗇(りんしょく)・・・ひどいけち。

恬淡(てんたん)・・・欲がなく、物事に執着しないこと。

豪放(ごうほう)・・・度量が大きく大胆で、細かいことにこだわらないこと。

猩々緋(しょうじょうひ)・・・やや青みを帯びた鮮やかな深紅色。

兜の錣(かぶとのしころ)・・・兜の鉢の左右・後方につけて垂らして、首から衿の防御をするもの。

狂奔(きょうほん)・・・狂ったように走りまわること。

述懐(じゅっかい)・・・思いを述べること。

交誼(こうぎ)・・・友人としての親しいつきあい。

出精(しゅっしょう)・・・精を出して勤めること。

雪ぐ(そそぐ)・・・恥や名誉を新たな名誉で消す。

凝議(ぎょうぎ)・・・熱心に相談を重ねること。

亀鑑(きかん)・・・手本。

 

 

 

 

 

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