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虚空遍歴 9の1 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴 9の1 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、たちばなの奥座敷で、酒に溺れながらも生田半二郎と一緒に浄瑠璃の台本を完成させようとします。二人がひたすら議論と執筆に明け暮れる様子が描かれています。冲也の心にはただ一つ、自身の芸術を究めることへの渇望しかない姿が心を打ちます。どうぞ最後までごゆっくりご視聴ください。

虚空遍歴 9の1 主な登場人物

冲也・・・新しい浄瑠璃の台本を描こうとしているが疲れ切っており、心身ともに憔悴し切っている。そしてしばしば意識が遠くに漂う。

生田半二郎・・・冲也の友人、台本を執筆し、冲也と意見を交わしながら進行を手助けする。冲也の浄瑠璃を人形芝居で上演することを提案する。

金造・・・過去に二度、冲也に危険を知らせてくれた男。現在の所在は不明。

おはる・・・「たちばな」の女中。冲也と生田に訪問者の到来えお知らせる。

近松紋太・・・竹本座の関係者。長い顔で顎がしゃくれている。人形浄瑠璃の復興を目指し、冲也の浄瑠璃で上演することを提案する。

虚空遍歴 9の1 あらすじ

立慶町の「たちばな」の奥座敷で、冲也と生田半二郎は鬱々とした日を送っている。酒に溺れながら冲也は、新しい浄瑠璃の台本を完成させようとするも、疲れ切った顔には憔悴の色が濃かった。生田もまた、書き物に没頭しながら互いに意見をぶつけ合うが、進度は遅々としていた。外界から遮断された七日間、生田は新しいアイデアを語り、冲也は自身の視点を貫こうとする。竹本座の近松紋太との対話は冲也の創作に新しい光を差し込む。

虚空遍歴 9の1 アリアの感想と備忘録

冲也の浄瑠璃の創作過程における孤独と葛藤、心身ともに疲弊し、現実と幻想の間を漂う姿が印象的でした。その姿はまるで芸術の追求が時に自己を犠牲にするものであることを物語っています。そして冲也と生田半二郎のやり取りが、協力と対立を象徴していました。二人の意見がぶつかりながら最終的には一つの作品を作り上げようという努力は、芸術に対する真摯な姿勢とその裏にある隠された苦悩が垣間見えました。そして生田半二郎の提案によって冲也の浄瑠璃が人形芝居で上演される可能性が浮上し、冲也の創作への情熱が再燃する姿は感動的でした。うまくいくといいなあ。

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