【朗読】日本婦道記より「不断草」山本周五郎 読み手 アリア
こんにちは。 癒しの朗読屋アリアです。今回の朗読は、山本周五郎作 日本婦道記より「不断草」です。山本周五郎の日本婦道記は、昭和17年より女性を主人公にした連作として書かれ、講談社版と新潮社版があり収録作は同じではないが、現在はどちらからも31編全てを収めた完全版が出版されています。底本とされている新潮文庫版は「松の花」「梅咲きぬ」「節竹」「不断草」「藪の蔭」「糸車」「尾花川」「桃の井戸」「墨丸」「萱笠」「風鈴」の11編が収められています。(Wikipediaより引用)私は完全版の31篇全てを朗読していきたいと思います。
ところで不断草はお好きですか?種を撒くとプランターでも簡単に育って春から秋まで楽しむことができます。形はホウレンソウに似ていますが茎の色が鮮やかです。誰でも簡単に育てやすいようで、我が家のずぼら家庭菜園にも簡単に根付いてくれ、青々と勢いのある葉色は観賞用でもあります。(料理せずに放置した結果かもしれませんが・・)小松菜、春菊、サニーレタス、不断草、これらは手軽に育ってくれるので我が家でも重宝しています。私は特に春菊のおひたしが好物なので春菊は欠かせません!
日本婦道記 不断草のあらすじ
菊枝は登野村三郎兵衛に嫁して半年、この頃良人の小言は多くなり、小さな過失も見逃さず棘のある調子で叱りつけるようになった。目が不自由だが思いやりのある優しい姑までがそうなった。ある日仲人の蜂屋伊兵衛が来てもしかしたらこのまま添え遂げない縁かもしれないと言われ菊枝は青ざめるのだった。
結局嫁して半年で離縁することになり菊枝は実家に戻るのだが、持ち帰った荷物の中に不断草の種がに入っていた。その香気ある葉は姑の好物だった。嫁した日々を思い返すと絶望が迫ってきて、もう人も世もわからないという気がして泣き伏すのであった。そうして間もなく離縁された理由がわかるのだがそれは、執政千坂対馬はじめ七名の旧重臣が連袂して御主君治憲を強要した事件だった。治憲は果断よく機先を制して七重臣を抑え大事にはいたらず鎮めたが、元夫の登野村三郎兵衛も扶持を返上して退身し、老母はしるべの農家に預けて退国した。
菊枝は良人が今度の事件の起こることと結果を知っているために、妻にその累を及ぼしたくないために離縁したのではないだろうか、良人の様子が変わりはじめたのも千坂対馬が登野村を訪ねてきた頃からだった。
菊枝は父に絶縁を申し出て、しるべの農家に老母の世話をするために向かった。目の不自由な老母に不縁になった自分を悟られないようにお秋と名乗り、新しい生活を始めたのであった。
年が明けると菊枝は、良人が帰ってくる日まで姑と自分の生計を稼ぐため機場へ織子にでるようになる。、朝昼夜の食事の支度に片付け、解きものや縫いもの、洗濯などのこまごましたことに姑の世話に夜中は二度起きなければならなかった。その後も時折良人から文が届いたがいつも居所が違っていた。いつも母の安否を尋ねるだけで決して自分のことは精しく書かなかったが、文面には米沢藩と縁のつながっているらしいことは疑う余地はなかった。ことによると良人は帰参がかなうかもしれぬと希望を持つようになった。
覚え書き
折衝(せっしょう)・・・利害関係が一致しない相手と問題を解決するために、かけひきをすること。
禍(わざわい)・・・災い。ふしあわせ。
英明(えいめい)・・・すぐれて賢いこと。また、そのさま。
罷免(ひめん)・・・職務をやめさせること。免職。
機先(きさき)・・・前兆、前触れ。
みとり・・・病人のそばにいて、色々と世話をすること。
義絶(義絶)・・・親子・兄弟など、肉親の関係を絶つこと。
筧(かけい)・・・雨どいのこと。
閑寂(かんじゃく)・・・物静かで趣のあること。ひっそりとして落ち着いていること。
帰参(きさん)・・・帰ってくること。一度ひまをとった主人のもとに再び仕えること。
病臥(びょうが)・・・病気で床につくこと