【連載朗読】彦左衛門外記8 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、連載朗読「彦左衛門外記8」です。大御所が他界し、天下に争乱が起こるかもしれない!と大久保彦左衛門は本格的に動き出した。御前評定で、松平信綱、酒井忠勝、土井利勝、井伊、本多その他、帷幄の人々の前で彦左衛門は家光とやりあい、家光が、将軍の威光をひけらかすと、彦左衛門は家康の墨付きを出して対抗した。墨付は、東照公の御直筆であり、大御所も副署をなすっている。彦左衛門はそれを披いて、声さわやかに読み上げたのち、列座の人々に掲げて見せた。そして、「ここではっきり云っておくが、自分は天下の意見番としてどこへでも乗り込んでゆく、心得がたき事があれば容赦はしない、どうかその覚悟でいるように。」と云った。一方数馬は、奥平家の中屋敷で二人の叔父が何を企んでいるか探っていた。そして二月五日、ちづか姫を訪問する定日に、数馬は一種の前兆を感じながら奥平邸に行くと・・・
彦左衛門外記8 覚え書き
愚昧(ぐまい)・・・おろかで道理に暗いこと。そのさま。
眩惑(げんわく)・・・目が眩んで正しい判断ができなくなること。また、目をくらまして惑わすこと。
喝破(かっぱ)・・・大声でしかりつけること。
ちり毛もと・・・襟首の辺り。
一刻ちかく・・・約二時間。
平癒(へいゆ)・・・病気が治ること。
霊験(れいげん・れいけん)・・・人の祈請に応じて神仏などが示す霊妙不可思議な力の表れ。
奥・・・身分の高い者が妻をいう語。
精根(せいこん)・・・精力と気力。物事を成し遂げようと集中した体力と精神力。
直参(じきさん)・・・主君に直接仕えること。
英明(えいめい)・・・すぐれて賢いこと。
つめびらき・・・詰め開き。談判すること。
色をなして・・・怒りで顔色を変える。
帷幄(いあく)・・・作戦を立てるところ。本営、本陣。
大下馬(おおげば)・・・江戸城大手門外の下馬所。
男子三日会わざれば・・・刮目してみよ。男子は三日会わないでいると驚くほど成長しているものだの意。
箙(えびら)・・・矢を入れる武具。
頓死(とんし)・・・突然死ぬこと。
殴打(おうだ)・・・ひどくなぐりつけること。
瞞着(まんちゃく)・・・ごまかすこと。だますこと。