【朗読】彦左衛門外記 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、「彦左衛門外記5」です。いよいよ「家康公墨付」の偽作を彦左衛門が手に取ります。季節は菊も終わりの冬、数馬は麻裃を着け、預かっていた古文書類の包みを持って厳粛な姿勢で伯父を訪ねる。彦左衛門が数馬の偽作墨付きを見る間、数馬は体中の毛穴が五たび開いたり閉じたりするのを感じた。彦左衛門は、「墨付は確かに東照公のお筆だが、まったく覚えがない。」と云う。数馬は彦左衛門を「天下の御意見番」にするため、話をつぎつぎと巧妙に進めていく。「私はあなたがあなた自身になってほしい。そのあなたを包んでいる嘘の皮衣をはぎ取って本来の彦左衛門、天下の大久保彦左衛門に立ち返ってもらいたい!。」
彦左衛門外記 覚え書き
そら咳(そらぜき)
嘲弄(ちょうろう)・・・あざけり、からかうこと。
達眼(たつがん)・・・物事の深奥を見通す眼力。
棒杭(ぼうぐい)・・・棒状の木の杭。
隠棲(いんせい)・・・俗世間を逃れて静かに住むこと。
皮衣(かわぎぬ)・・・毛皮で作った衣。
異同(いどう)・・・異なっているところ。相違。違い。
些少(さしょう)・・・数量や程度がわずかなこと。また、そのさま。
首級(しるし)・・・討取った敵の首。
泥田(どろた)・・・泥深い水田。
一揖(いちゆう)・・・軽くおじぎをすること。一礼。
猿面冠者(さるめんかんじゃ)・・・猿に似た顔の若者。特に、豊臣秀吉の若い時のあだな。
古武士(こぶし)・・・風格が備わり、剛直で信義を重んじる武士。
韜晦(とうかい)・・・自分の本心や才能・地位などを包み隠すこと。
改易(かいえき)・・・江戸時代においては、大名や旗本の所領、家禄、屋敷の没収、士分の剥奪を意味した。
ざんげん・・・事実を曲げたり、ありもしない事柄を作りあげたりして、その人を目上の人に悪く云うこと。
煩悶(はんもん)・・・いろいろ悩み苦しむこと。苦しみもだえること。
直諌(ちょっかん)・・・遠慮なく率直に、目上の人をいさめること。
歯齦(しぎん)・・・はぐき、歯肉。
がんにん・・・請願または訴願するひと。祈祷する人。
頓死(とんし)・・・突然死ぬこと。
呻吟(しんぎん)・・・苦しんでうめくこと。