【連載朗読】彦左衛門外記3 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「彦左衛門外記」朗読三回目です。前回の復習ですよー!連載朗読で恋が実った数馬。しかし、ちづか姫の結婚の第一条件は「身分のつり合いがとれること。」でした。しかしちづか姫、求婚までは「深草ノ少将とか、錦木の千束とか、単純なものより複雑なものとか、錦木は現に数馬が90日も実行したし、優にやさしい物語的性格だったのに・・・。結婚を承諾したとたんに、「旗本ではお禄高はどのくらいでございますか?」ときたもんです。このちづか姫の変わりように数馬はがっくりし、女性の頭の機構はどんな具合にできているのであるかと思うのでした。身分のつり合いをとるためにどうしたらいいか・・。(連載朗読3回目はこの辺りから)大叔父の彦左衛門は、少年時代から戦塵の中で育ち戦歴はあります。しかし、大叔父の口述した戦歴はあまりにかんばしくない。雑兵でも顔を赤らめ、閉口して頭を掻きたくなるようなひどいものだった。数馬はその戦記を書き直し、直せないところはひん曲げ、第一級の戦歴をでっちあげ、そして彦左衛門の体内に眠っているもの、頭の中の記憶の幕に隠れているものを揺すぶり起こし、自尊心と慷慨心をかきたてるのだ!!!
彦左衛門外記3 新しい登場人物
水野十郎左衛門成之・・・十七歳。旗本白柄組の頭領。流行の町人侠客、町奴に対抗した旗本奴。背丈は数馬より一寸くらいは高く、肩幅の広い、骨太の、美貌の前髪、大振袖の熨斗目に色変わりの派手な袴を履いている。数馬は、奥平家の侍女、早苗も声を弾ませていた江戸市中に知られた水野を見て少なからずがっかりする。(こんな前髪立ち大振袖の若造だったとは・・・)しかし数馬は、自分の計画に十郎左衛門をうまく利用することを思いつきます。
水野十郎左衛門成之はWikipediaにくわしく記事があったので、そちらをどうぞ。画像もお借りしました。
彦左衛門外記3 覚え書き
言葉のあや・・・直接的な表現ではなく、飾った表現を使うことで、何通りもの捕らえ方ができるような巧みな表現。
妙案(みょうあん)・・・非常によい考え。すばらしい思いつき。
目算(もくさん)・・・こうなるだろうという予測や、それにもとづいた計画。
勲功(くんこう)・・・国家や君主に尽くした功績。また、その功績に対する褒美。
没我(ぼつが)・・・物事に熱中して我を忘れること。無私無欲になること。
慷慨(こうがい)・・・世間の悪しき風潮や社会の不正などを、怒り嘆くこと。
膂力(りょりょく)・・・筋肉の力。また腕力。
問罪(もんざい)・・・罪を問いただすこと。
譴責(けんせき)・・・しかり責めること。不正や過失などを厳しくとがめること。
鎌髭(かまひげ)・・・鼻の下から左右へ、鎌の形にはね上げたヒゲ。
遺訓(いくん)・・・故人の残した教え。
陣鉦(じんがね)・・・軍勢の身体や合図のために鳴らした鐘や銅鑼。
双手(もろて)・・・両手。
青史(せいし)・・・歴史書。
寛濶(かんかつ)・・・気持ちがおおらかでゆったりしていること。
大籬(おおまがき)・・・江戸吉原で最も格式の高い遊女屋。