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樅ノ木は残った 山本周五郎

【朗読】樅ノ木は残った 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「樅ノ木は残った」です。この作品は昭和29年から日本経済新聞に掲載されました。51歳の作品です。

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樅ノ木は残った1の1 あらすじ

万治三年七月十八日。
幕府の老中から伊達家へ「逼塞」の命が下る。名門伊達家が幕府の不興を買い、藩主・綱宗が下屋敷に移されるという動乱のはじまりだった。しかしそれは、ただの謹慎処分ではなかった。その夜、伊達家の家臣である坂本八郎左衛門と渡辺九郎左衛門が、表向き「上意討」という名のもとに斬殺される。巧妙に偽られた訪問、抜き打ちの襲撃、そして無念の死。渡辺の死の場には、悲しみを堪えきれぬ若き側女・みやの涙が満ちた。

同じ夜、さらなる惨劇が襲う。納戸役・畑与右衛門の家にも不穏な影が迫り、父は妻と子を逃がそうとする。幼い宇乃と虎之助の姉弟を母が連れ出すが、母は一人戻り、やがて命を落とす。二人は偶然出会った青年・宮本新八に守られ、必死に逃れようとするが、またも追手に行く手を阻まれる。やがて真相の一端が語られる。「上意討」と称した謀略。命を奪われた家臣たちは、もはや真実を語れない。幕府の命令に見せかけて、裏で誰かが動いている――。わずか十三歳の宇乃は、恐怖の中でも毅然と弟を守ろうとする。その姿は、大人たちの乱れと陰謀のなかで、一筋の気高さを放っている。

登場人物

■ 伊達家・関係者

  • 伊達陸奥守綱宗(だて むつのかみ つなむね)
    伊達家の藩主。幕府から逼塞(ひっそく:自宅謹慎)を命じられる。

  • 伊達兵部少輔(だて ひょうぶしょうゆう)
    伊達家の一族で、幕府の通達を受ける役。

  • 大条兵庫(おおえ ひょうご)
    伊達家の宿老。

  • 茂庭周防(もにわ すおう)
    同じく宿老。

  • 片倉小十郎(かたくら こじゅうろう)
    宿老。片倉家は伊達家重臣の名家。

  • 原田甲斐(はらだ かい)
    宿老で、事件の背後に関わっている可能性もある人物。

  • 立花飛騨守(たちばな ひだのかみ)
    伊達家の親族。通達の場に同席。


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■ 幕府側

  • 酒井雅楽頭(さかい うたのかみ)
    幕府の老中。伊達家への処分を通達。

  • 阿部豊後守(あべ ぶんごのかみ)
    老中。同席して通達を行う。

  • 稲葉美濃守(いなば みののかみ)
    同じく老中。

  • 太田摂津守(おおた せっつのかみ)
    上使として伊達家に通達を伝える役目を担う。


■ 被害者と周辺人物

  • 坂本八郎左衛門(さかもと はちろうざえもん)
    元浪人。伊達家の目付。屋敷内で殺害される。

  • 渡辺九郎左衛門(わたなべ くろうざえもん)
    元浪人で槍術の名手。「上意討」と称して殺害される。

  • みや
    渡辺の側女。渡辺の死に直面し、泣き崩れる若い女性。


■ 「上意討」を行った者たち

  • 渡辺金兵衛(わたなべ きんべえ)
    小人頭。渡辺九郎左衛門を襲撃・殺害。

  • 渡辺七兵衛(わたなべ しちべえ)
    同じく小人頭。襲撃に加わり、自らも負傷する。


■ 畑家と関係者

  • 畑与右衛門(はた よえもん)
    納戸役。自宅を襲われて殺害される。

  • 畑の妻
    夫の指示で子供を逃がすが、帰宅後に殺害される。

  • 宇乃(うの)
    畑家の13歳の娘。聡明で落ち着いた性格。弟を守りながら脱出。

  • 虎之助(とらのすけ)
    宇乃の弟で6歳。幼いながらも状況に不安を感じ取る。


■ 宮本家

  • 宮本又市(みやもと またいち)
    無役の家臣で、綱宗に近侍していた人物。殺害される。

  • 宮本新八(みやもと しんぱち)
    又市の弟(16歳)。宇乃たちとともに脱出を試みる。


■ 原田家・警護側

  • 村山喜兵衛(むらやま きへえ)
    原田家の家臣。宇乃たちを保護し、事件を上層部に報告。

  • 矢崎舎人(やざき とねり)
    若侍(21歳)。村山とともに動き、事件現場を確認。

相関図

【幕府】

├─ 酒井雅楽頭(老中) ─┐
├─ 阿部豊後守(老中) ─┤→ 伊達家への処分を決定・通達
└─ 稲葉美濃守(老中) ─┘

太田摂津守(上使)───→ 伊達家に逼塞を伝える

【伊達家】

├─ 伊達陸奥守綱宗(藩主) ← 幕府より逼塞命令を受ける

├─ 伊達兵部少輔(親族) ┐
├─ 大条兵庫(宿老) │
├─ 茂庭周防(宿老) │
├─ 片倉小十郎(宿老) ├─→ 酒井邸で通達を受ける
└─ 原田甲斐(宿老) │
└─ 村山喜兵衛(家臣) ─→ 宇乃たちを保護
└─ 矢崎舎人(若侍) ─→ 現場確認・応援

【襲撃された家臣たち】

├─ 坂本八郎左衛門(目付)────→ 殺害される

└─ 渡辺九郎左衛門(槍術指南)
├─ 側女「みや」 ← 遺体に取り縋り、泣き崩れる
├─ 渡辺金兵衛(小人頭)← 偽装「上意討」加害者
└─ 渡辺七兵衛(小人頭)← 同上

【畑家】

├─ 畑与右衛門(納戸役)─────→ 殺害される
│ └─ 妻(名不明)────→ 子どもを逃がした後に殺害
│ ├─ 宇乃(13歳の娘)──→ 弟を連れて脱出・聡明
│ └─ 虎之助(6歳の弟)──→ 怯えながらも従う

【宮本家】

├─ 宮本又市(無役家臣)────→ 畑家へ警告後に殺害
└─ 宮本新八(16歳の弟)──→ 宇乃たちを守り行動する

【襲撃の動機】
表向き:「上意討」
実際:伊達家内部の粛清? or 権力闘争(詳細不明)

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