【朗読】みずぐるま 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「みずぐるま」(昭和29年)です。「岩本新之丞一座」の掛け小屋の興行で、美若太夫は「みずぐるま落下落とし」という芸を行っていた。赤樫の稽古薙刀を持ち、三人の男が続けざまに紅白の毬を投げるのを見事に打ち返す技は、ちょっと水際立ったものであった。(おさん/新潮文庫)
みずぐるま 主な登場人物
美若大夫(若尾)・・・孤児として孫右衛門に育てられる。岩本新之丞一座で薙刀を巧みに使った「みずぐるま落花返し」の芸をするところを和次郎に見いだされ、弘田家の養女になる。
弘田和次郎・・・弘田家は、六百五十石の老職で、国許の交代次席家老。十八歳で家督を継ぐが、現在は無役。
谷口修理・・・三百石の中老の子。和次郎の母方の従兄妹。和次郎の二歳年上。
弘田平右衛門・豊・・・和次郎の父母。
深江・・・和次郎の姉。
磯野萬・・・若尾の薙刀の師匠。
河内伊十郎・・・若尾の父親、浪人。病気で寝つき、岩本新之丞一座の孫右衛門に若尾を託して死ぬ。
岩本新之丞(孫右衛門)・・・座頭。 久助(つづら番) 小菊太夫(芸犬使い) 権之丞(綱渡り) 仙之丞(丹前舞) 操太夫(手品使い)常盤(曲芸)
みずぐるま 覚え書き
掛け小屋(かけごや)・・・臨時にこしらえた興行用の小屋。
水際立つ(みずぎわたつ)・・・とくにすぐれていて、はっきりと目立つ。
はばかり・・・便所。
本筋(ほんすじ)・・・本来の血統や流派。
束脩(そくしゅう)・・・入門するときに持参する謝礼。
位地(いち)・・・くらい。地位。
出精(しゅっせい)・・・精を出して努めること。
規定(きてい)・・・すでに決まっていること。
繁華(はんか)・・・人が多く集まり、にぎわっていること。また、そのさま。
明和九年の大火・・・江戸三大大火のひとつといわれる。強風にあおられ三日間にわたり江戸市中に類焼した。
灰燼(かいじん)・・・灰や燃え殻。建物などが燃えて跡形もないことをいう。
築山(つきやま)・・・庭園などに、石や土を盛ってつくった小山。
軽侮(けいぶ)・・・軽んじ、あなどること。人を見下してばかにすること。
究竟(くっきょう)・・・物事をきわめた最高のところ。
醜聞(しゅうぶん)・・・その人の名誉や人格を傷つけるような、よくないうわさ。
蛙の子は蛙・・・子は親のたどった道を歩むものだ、また凡人の子は凡人にしかなれないものだの意。