【朗読】虚空遍歴 8の3と8の4 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は虚空遍歴の8の3と8の4です。大阪へやってきた冲也は、自分の浄瑠璃を売り込むために奔走しています。並木万吉という中座の作者や鶴来徳三という角座の作者はその可能性は十分あるというのだが・・・
虚空遍歴 8の3と8の4 主な登場人物
冲也・・・相変わらず体調がすぐれず咳が止まらない。食事もろくに取らずに酒ばかり飲んでいる。
おけい・・・冲也を深く気遣い、彼の孤独と病に心を痛めている。
生田半二郎・・・幼い頃からの冲也の友人。冲也の状況や体調を心配し、何らかの助けをしようと考えている。
並木万吉・・・中座の作者部屋の一人。冲也の浄瑠璃が上演されないことを知っている。
鶴来徳三・・・角座の作者。冲也の芝居を褒めるが、実は心の中では軽んじている。
春川重次・・・若い芝居関係者。冲也を騙そうとしている一人。
八十平・・・藤川座の番頭。冲也を利用している。
虚空遍歴 8の3と8の4 あらすじ
冲也の咳は止まらず、酔っていない時はひどいものであった。時には痰に血が混じるほどで、生田半二郎は労咳を案じるが、おけいは医者はそうではないと言ったことを伝える。冲也は自身の浄瑠璃を恥ずかしさを忍び、屈辱をさえ耐え忍んで三十日余りも奔走し続けてきたが、彼を取り巻く環境は冷酷で、芝居関係者たちは裏で彼を利用し、嘲笑していたのでした。彼は屈辱を忍ぶにも限度がある、おれはその限度を味わった、いまは決算するときだ、そのほかのことはこれが終わってからだと自分に言い聞かせてある行動に出るのでした。
虚空遍歴 8の3と4 アリアの感想と備忘録
おけいが冲也に寄り添う様子が彼の孤独を少しでも和らげていると思いました。二人は同じ部屋に寝起きしているのですね、冲也が芝居が上演されるものと信じて毎日、浄瑠璃のふしに手を入れている姿、ふしまわしの細かいところを直してはつけ、つけては直しと思い詰めている様子もいつも見守っています。着替えから酒の支度、煮炊きのこと、お金のこと、全ておけいが引き受けていなければ大阪へいく前にきっともっと病気が重くなっていたのではないでしょうか。冲也が存分に仕事に打ち込むことができるようにする、こんな愛もあるのですね。