【朗読】ゆだん大敵 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「ゆだん大敵」(昭和20年)です。老田久之助が殿の御秘蔵人だということは、長岡藩で知らぬものはなかった。本当の姓は郷田というが、藩主の幼名が老之助で、その幼名の一字を与えて「そのほう一代に限り老田を名乗れ。」と下命があったことにもそのあらわれがある。(四日のあやめ/新潮文庫)
ゆだん大敵 主な登場人物
老田久之助(郷田)・・・七歳の時、幼君(忠辰)のお相手に御殿へ上がった。幼君の一番のお気に入りだった。
牧野忠辰・・・十歳で家を継いだ長岡藩主。久之助を幼い頃から信頼している。文治・武治にも生涯に残した功績が多い。
鬼頭図書・・・五十歳くらい。類のない偏屈人で若い時から城の内外の草取りを役目に乞う。徹底した簡素な生活を送る。
郷田権之助・・・久之助の父。江戸から長岡の久之助のところへ身を寄せ、老後を彼の側で終るつもりでいる。
横堀賢七・・・久之助の道場の門人。一刀流を会得しており、久之助の指導に不満を持つ。
和田藤吉郎・田口久馬・早川駿五郎・大槻甚右衛門・・・久之助の道場の門人。
淵田主税助(ふちだちからのすけ)・・・神道流の武芸者で、当家に仕えたいと手練を見せに来る色の白い眉の秀でた美男。
ゆだん大敵 覚え書き
中興(ちゅうこう)・・・いったん衰えた物事や状態を、再び盛んにすること。
頴悟聡明(えいごそうめい)・・・賢く、理解する力がすぐれていること。
師傅(しふ)・・・貴人の子弟を養育し教え導く役の人。
胆力(たんりょく)・・・事にあたって怖れたり、尻込みしたりしない精神力。
文治(ぶんじ)・・・学問や教養などで世を治めること。
武治(ぶじ)・・・武力によって治めること。
某(なにがし)・・・名を知らない人。また、それとは定めない人。
面詰(めんきつ)・・・面と向かって、とがめなじること。
惜別(せきべつ)・・・別れを惜しむこと。
向後(きょうご)・・・今からのち。今後。
侍読(じとう)・・・藩主に学問を教授するもの。
代稽古(だいげいこ)・・・師匠の代理として、弟子などに稽古をつけること。
天成(てんせい)・・・生まれつき。
慇懃(いんぎん)・・・真心がこもっていて、礼儀正しいこと。
嘱望(しょくぼう)・・・人の前途・将来に望みをかけていること。
偏屈(へんくつ)・・・性質が頑なで素直でないこと。
下肥(しもごえ)・・・人間の大小便を肥料にしたもの。
君寵(くんちょう)・・・主君から目をかけられること。主君から受ける寵愛。
似非(えせ)・・・似てはいるが本物ではない、にせものである。
下緒(さげお)・・・日本刀の鞘に装着して用いる紐のこと。
瑣末(さまつ)・・・重要でない、小さなことであるさま。
難物(なんぶつ)・・・取り扱いにくい事物、または人物。
珍羞(ちんしゅう)・・・珍しくてうまい御馳走。
節高(ふしだか)・・・ふしくれだっているさま。
俊秀(しゅんしゅう)・・・才知にすぐれていること。また、その人。
精彩(せいさい)・・・美しい色どり、鮮やかなつや。
舌を巻く・・・圧倒されて言葉が出ない。
こちたし・・・度を越している、ひどくたくさんだ。
為人(ひととなり)・・・生来の性質、人柄。
眼目(がんもく)・・・目、まなこ。
忿懣(ふんまん)・・・怒りが発散できずもいらいらすること。
他見(たけん)・・・ほかの人が見ること。また見せること。
手練(しゅれん)・・・熟練した手際。よく慣れてじょうずな手並み。
水際立つ(みずぎわだつ)・・・あざやかに際立つ、他と区別されて著しく目立つ。
刹那(せつな)・・・瞬間、時間の最小単位、きわめて短い時間。
卒然(そつぜん)・・・事が急に起こるさま、だしぬけ。
双眸(そうぼう)・・・両方のひとみ。
昂然(こうぜん)・・・意気の盛んなさま、自信に満ちて誇らしげなさま。
又ぞろ・・・同じようなことがもう一度繰り返されるさま。
表白(ひょうはく)・・・考えや気持ちなどを、言葉や文章に表して述べること。
貶る(そしる)・・・相手を悪く云う。けなす。
暗愚(あんぐ)・・・物事の是非を判断する力がなく、愚かなこと。