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【朗読】花匂う 山本周五郎 読み手 アリア

【朗読】花匂う 山本周五郎 読み手 アリア

こんにちは。癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作 「花匂う」(昭和23年)です。部屋住みの三男の話で「艶書」(昭和29年)によく似ています。どちらも部屋住みで、自分の趣味?から役付きになり、諦めていたことが叶っていきます。

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花匂う 主な登場人物

瀬沼直弥・・・幼い頃から「三男の甚六」と云われる呑気なたちの部屋住みの三男。領内全部の風土資料を集める。土地土地の古老を訪ねたり、社寺、古蹟を探ったり、林相や気候や作物なども調べ克明に記録していた。

庄田多津・・・燐家の幼なじみ。成長してもずっと往来していた。直弥を想っているが、直弥の友人・信一郎の妻になる。

矢部信一郎・・・御庫奉行。直弥の藩の学問所からの親友の一人。直弥を介して多津を知り縁談となった。隠し子があるという秘密があった。

竹島半兵衛・・・めざましく出世している藩の学問所からの親友の一人。江戸詰だが帰国すると必ず直弥の集める領内の風土資料を見に来る。

花匂うのあらすじ

直弥は小さい頃から「三男の甚六」などと云われたが、誰の目にも適評で、人を憎んだり恨んだり、激しく怒る感情がほとんどなかった。三男坊の部屋住みでも悩んだり僻んだりせず、与えられた平凡な月日をきわめて従順に過ごしていた。しかし、矢部信一郎と庄田多津との縁談が決まったと聞かされた直後から、直弥の眠れない日がはじまった。信一郎は藩の学問所からの親友で、ずっと親しい行き来が続いていた。多津も幼なじみで、成長してからもずっと往来していた。信一郎が多津を知ったのも直弥を介してのことだった。直弥は二人の縁談を喜んだが、突然身震いをした。信一郎に隠し子があることを思い出したからだ。直弥はそれを多津に話した方がいいか悩んだ。しかし話そうとしたとき、直弥は自分が多津をずっと前から愛していたことに気づき話せなくなってしまった。

かん太
「花匂う」って蜜柑の花の匂いだよ。話の中に何度も繰り返し出てくる。直弥の気持ちをよく表しています。直弥が手紙を渡すとき多津が「おおーいい香り」と云う。信一郎と多津が結婚してから直弥にとって蜜柑の花の匂いは「ゴミ捨て場で物のすえるような厭な匂い」に変わる。しかし・・・
アリア
雨の場面も心に残ります。梅雨のかえったように細かい雨が降り、木陰に立ち止まり、水面に雨が描く細かい波紋を眺めながら直弥は、多津の身に起こったことから自分に何ができるだろうかと一生部屋住みの自分を自嘲するんだ。切ないよ。

花匂う 覚え書き

甚六(じんろく)・・・お人よし、おろかもの。

後手(ごて)・・・他に先を越されること。また、相手に先に攻められて受け身の立場になること。

古老(ころう)・・・老人。特に昔のことや故実に通じている老人。

古蹟(こせき)・・・歴史的な建築物や事件などのあった場所。

林相(りんそう)・・・木の種類や生え方などによる森林の様相。

蒐める(あつめる)・・・趣味や研究のために、あちこちに散らばっているものを一つのところにまとめること。

僻み(ひがみ)・・・ひがむこと。ひめくれた考えや気持ち。

勤倹(きんけん)・・・勤勉で倹約なこと、仕事に励み、無駄な出費を少なくすること。

実直(じっちょく)・・・誠実でかげひなたのないこと。またそのさま。

労咳(ろうがい)・・・肺結核。

呼声(こせい)・・・相手を呼ぶ声。

妾婢(しょうひ)・・・めかけや下女。

濠端(ほりばた)・・・城などの堀のほとり。堀の岸。

逮夜(たいや)・・・仏教で、葬儀の前夜。また忌日の前夜。

周旋(しゅうせん)・・・とりもち。なかだち。事をとり行うために動きまわること。

流連(いつづけ)・・・りゅうれん。遊興にふけって家に帰ることを忘れること。夢中になること。

茫漠(ぼうばく)・・・広々としてとりとめのないさま。

讃仰(さんぎょう)・・・聖人や偉人の徳を仰ぎ尊ぶこと。

蘚苔(せんたい)・・・こけ。

野末(のずえ)・・・野のはずれ。野のはて。

事蹟(じせき)・・・物事が行われたあと。事件のあと。

墓畔(ぼはん)・・・墓のほとり。墓のそば。

経綸(けいりん)・・・国家の秩序をととのえ治めること。またその方策。

 

 

 

 

 

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