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その木戸を通って 山本周五郎 

【朗読】その木戸を通って 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「この木戸を通って」(昭和34年)です。この作品は、TVドラマ化、映画化された人気作品です。ある日、平松正四郎の屋敷へ記憶を失った見知らぬ女が訪ねてき、正四郎の屋敷に住むようになります。平四郎と彼女はやがて夫婦になり、彼女はまた去っていくという不思議な話です。記憶を辿るのに「木戸」が何度も出てきますが、その木戸の向こうに何があるんだろう。想像が膨らみます。

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その木戸を通って 主な登場人物

平松正四郎・・・二十五歳まで部屋住みだったが、廃家になっていた平松家を再興させるため当主に選ばれる。勘定監査役。

ふさ・・・記憶を失った十七、八の女。平松正四郎さまにお会いしたいと突然屋敷に訪ねてくる。

田原権右衛門・・・中老筆頭。正四郎の父、勘解由と親しいため、父の依頼で監督者のような立場になる。

吉塚助十郎・むら・・・平松家の家扶とその妻。

岩井勘解由・・・正四郎の父。信濃守景之の側用人。

加島ともえ・・・城代家老の娘。正四郎の許嫁者。

その木戸を通ってのあらすじ(※ネタバレを含みます)

平松正四郎は三日前から勘定監査で城中に詰め切っていた。そこへ中老筆頭の田原権右衛門から呼び出しがあった。正四郎の家に見知らぬ娘がいるというのだ。城代家老の娘で許嫁のともえが訪ねて行ったとき、見知らぬ若い娘を見かけ、家扶に問いただしても当惑しすぐに答えられなかった。「縁談がとりやめになるかもしれない」平四郎は監査が終わるとまっすぐに家に帰った。許嫁のともえは城代の娘でもあるし、平四郎はともえをたいそう気に入っていた。家に帰ると確かに見知らぬ娘がいた。その娘は一切の記憶がなく、ただ「平松正四郎さまにお会いしたい。」と訪ねてきたという。平四郎はその娘に会ったが互いに見覚えがなかった。城代家老の娘との縁組を邪魔する誰かのいたずらか罠かもしれない・・・。平四郎は娘を追い出すことにした。雨の降る中を娘の後をつけ、どいつの仕業がつきとめようとしたが、娘は頼るものもなく夕闇の辻堂の中で途方に暮れて泣いていた。平四郎は娘を連れ帰り、その日から平四郎の屋敷で暮らすことになった。

かん太
ふさは一体どこへ行ってしまったんだろう・・・

その木戸を通って 覚え書き

語調(ごちょう)・・・話すときの言葉の調子。言葉つき。

蘊蓄(うんちく)・・・蓄えた深い学問や知識。

かぎ裂き・・・布や衣服がくぎなどに引っかかってかぎ型に裂けること。また、その裂けきず。

二刻(ふたとき)・・・現在の時間で約4時間。

お門ちがい(おかどちがい)・・・目当てを間違えること。見当ちがい。

聖人君子(せいじんくんし)・・・立派な人徳やすぐれた知識、教養を身に着けた理想的な人物。

間拍子(まびょうし)・・・物事の行きがかり。その時のはずみ。

尻端折(しりばしょり)・・・(新潮文庫の読み仮名はしりつぱしよりでした。)着物の裾を帯の後ろに挟んでとめる。

鐺下がり(こじりさがり)

脚絆(きゃはん)・・・旅行・作業などの時に、すねに着けて足ごしらえとした紺木綿などの布。

かどわかす・・・人をだまし、または力ずくで他へ連れ去る。誘拐する。

賢しげ(さかしげ)・・・いかにも利口そうなさま。

路傍(ろぼう)・・・みちばた。道のほとり。

手蹟(しゅせき)・・・文字の書きぶり。筆跡。

大身(たいしん)・・・身分が高いこと。位が高く禄が多いこと。

追従(ついしょう)・・・他人の気に入るような言動をすること。こびへつらうこと。

面変わり(おもがわり)・・・顔つきが変わること。

 

 

 

 

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