【朗読】壺(つぼ) 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「壺」(昭和19年・旧題は鍬とり剣法)です。刀法を学んで武士になりたいという望みを持つ百姓の三男七郎次が、荒木又右衛門に出会い、自分の生きる道をいのちがけで掴むまでの話です。(ひとごろし/新潮文庫)
壺(つぼ) 主な登場人物
荒木又右衛門(木村外記)・・・朋友の復讐にきた武士三人に斬られそうになる宿の下男・七郎次を助ける。
七郎次(瘤七)・・・百姓の三男だが、刀法を学んで武士になりたいと強く願っている。又右衛門の家で下男として働く。
おぬい・・・七郎次の許嫁。彼を元通りまじめな百姓にしよう、おさむらいに成るという考えをやめさせようと瘤七の世話を続ける。
壺(つぼ)のあらすじ (※ネタバレを含みます)
又右衛門は立ち止まって手を上げ、草地の真ん中に立っている高い一本杉を指さした。「あれに杉木がある。日が出て日が沈むまで、杉木はその影を地に落とす。その影の移るところを掘ってみろ。何処かから壺が一つ出てくるはずだ。わが道の極意は一巻の書にしてその壺に封じてある。掘り当てたらその秘巻はお前のものだ。」・・・よしやってみよう。ここにおれの運をひらく鍵がある。七郎次はあ一日中鍬を手に取り息をつこうともしなかった。
壺(つぼ) 覚え書き
山川(さんせん)・・・山と川。またそれらを包括した大地。
探勝(たんしょう)・・・景勝の地を訪ねて、その風景を楽しむこと。
秀歌(しゅうか)・・・すぐれた和歌。
根問い(ねどい)・・・根本まで問いただすこと。
愛相(あいそ)・・・人当たりのよいさま。他人によい感じを与えるような態度。
霏々(ひひ)・・・雪や雨が絶え間なく降るさま。
朋友(ほうゆう)・・・「朋」は同門の友、「友」は同志の友。友達。
耀く(かがやく)
庇護(ひご)・・・かばって守ること。
渦紋(かもん)・・・うずまき形の模様。
森閑(しんかん)・・・物音一つせず、静まりかえっているさま。
ふり濺ぐ(ふりそそぐ)
千斤(せんきん)
極意(ごくい)・・・学問や技芸などで核心となる大切な事柄。奥義。
軽輩(けいはい)・・・地位・身分の低い者。
奇矯(ききょう)・・・言動が普通と違っていること。また、そのさま。
温気(うんき)・・・暑さ、特に蒸し暑さ。
徒(いたずら)・・・実を結ばずむなしいさま。無益なさま。
土塊(つちくれ)・・・土のかたまり。また土のこと。
常住坐臥(じょうじゅうざが)・・・座っているときも横になっているときも、いつも。また普段。
一挙手一投足(いっきょしゅいっとうそく)・・・こまかなひとつひとつの動作や行動。
威儀(いぎ)・・・いかめしく重々しい動作。立ち振る舞いに威厳を示す作法。
家常茶飯(かじょうさはん)・・・ありふれた事柄。日常茶飯。
刹那(せつな)・・・きわめて短い時間。
妄執(もうしゅう)・・・迷いによる執着。
大喝(だいかつ)・・・大きな声でしかりつけること。
艱難(かんなん)・・・困難に出会って苦しみ悩むこと。また、そのさま。
栄達(えいたつ)・・・出世すること。高い地位、身分を得ること。
名利(みょうり)・・・名誉と利益。またそれを求めようとする気持ち。