【朗読】愚鈍物語 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「愚鈍物語」です。この作品は昭和18年講談雑誌に掲載されました。40歳の作品です。父が遺した金を次々と人に貸し下されしてしまう平山三之丞を、叔父の加地鶴所は愚鈍だと云って家の出入りと娘美代との婚約も破談にしてしまいます。人に愚鈍といわれる三之丞が治水工事の六回のやり直しの原因を独力で解決するという話なのですが、三之丞の愚鈍があまり書かれていないので愚鈍なところがよくわからなかったかな。いや、誰にでも金を貸す好人物ぶりを人が嗤って愚鈍というのでした。しかし最後の終わり方は周五郎先生らしく楽しく読み終わることができました。
愚鈍物語 主な登場人物
平山三之丞・・・加地鶴所の甥。娘の美代とは許嫁者。塀も門もひどく朽ちた柱も根太もゆるんだ雨漏りのひどい廃屋のような住居に住んでいる。亡父が節倹して遺した源銀を他人によく貸し与えるため愚鈍と云われる。
加地鶴所・・・三之丞の叔父。気性の激しい感情を爆発させる老人。三之丞が金を次々と他人に借り取られることに肚を立てている。
美代・・・鶴所の娘。三之丞の許嫁者。
加地主水・・・鶴所の息子。美代の兄。鶴所と三之丞の間を和解させようとするが、つかみどころのない三之丞の態度にも愛情を持つ。
黒板猪七郎・・・堤普請の人事支配役。肩のいかった六尺近い巨躯で、酒焼けのした頬骨の高い顔に、へんな眸の据わったぎろりとした目をしている。三之丞に度々かねを借りる。
愚鈍物語 覚え書き
節倹(せっけん)・・・出費を控えめにして質素しすること。
そくばく・・・まとめてしばること。
酒色(しゅしょく)・・・飲酒と色事。
禍根(かこん)・・・わざわいの起こるもとや原因。
奇観(きかん)・・・珍しい眺め。他ではみられないような風景。
茫漠(ぼうばく)・・・ぼうっとしてはっきりしないさま。
賄賂(まいない)