【朗読】虎を怖るる武士 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「虎を怖るる武士」です。この作品は、昭和10年キングに掲載されました。主人公の深井吉之介は、六尺ゆたかの偉丈夫で二十五歳なのに未だ前髪立ちで派手な大振袖だった。彼は十二歳で小姓に上がったが、ひどく主君雅典の気に入った結果、「吉之介はいつまでも小姓として側に仕えよ、予が吉之介の前に両手をついて謝ったという時がくるまで、その前髪をおろすことならんぞ。」というお沙汰がでたのであった。ちょっと読み始めたら最後まで一気に読んでしまいました!主君に堂々と「うへっ、虎は怖い。」と云って家中の評判は下がるものの、伊達政宗との知恵比べで家宝の名笛を取り返したり、友情があったり、従妹との恋があったり読後爽やかでございました。是非最後まで聴いてください。
虎を怖るる武士 主な登場人物
深井吉之介・・・二十五歳。色白で眼涼しく六尺(180㎝)の偉丈夫で前髪立ち。派手な大振袖で初めて見るものは奇異の目を見張る。しかし性格はおっとりしている。長家江戸屋敷老職の娘綾江がみそめ、是が非でもというので婚姻のない役だけしている。
新谷靱負・・・吉之介の叔父。幼少の頃父母を失った吉之介を引き取って育てた。由紀の父。
由紀・・・靱負の娘。吉之介の前髪大振袖の小姓姿を眩しい目で見上げている。
綾江・・・吉之介と二年前に婚約している。
森山勇之進・・・近習御用係。吉之介と幼馴染。
長丹波守雅典・・・藩主。
伊達政宗・・・名笛小枝と吉之介を気に入る。
虎を怖るる武士 覚え書き
骨柄(こつがら)・・・骨組み、体つき。
偉丈夫(いじょうぶ)・・・体が大きくて逞しい男。
必定(ひつじょう)・・・そうなると決まっていること。
時疫(じえき)・・・はやりやまい。
権柄(けんぺい)・・・政治上の実権、
横車(よこぐるま)・・・横に車を押すように道理に合わないことを無理に押し通そうとすること。
欣然(きんぜん)・・・よろこんで物事をするさま。
心因縹緲(しんいんひょうびょう)・・・芸術作品などに、きわめて優れた趣が感じられるさま。
短慮(たんりょ)・・・考えが浅はかなこと。
無風流(ぶふうりゅう)・・・風流でないこと。
極書(きわめがき)・・・鑑定書。
拝揖(はいゆう)・・・お辞儀。
臍を嚙む(ほぞをかむ)・・・既に及ばないことを悔やむ。