【朗読】武道絵手本 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「武道絵手本」です。(昭和15年譚海)信田孫次郎は槍術の修行の旅中に岡崎藩の老職水野将監と知己になる。二人は雨に降籠められた旅籠の一室で十年の知己のように話合った。話題の中心は武芸と戦術。鉄砲大砲が発達してきては、もはや剣法、槍術の類は児戯に等しいと将監は主張した。しかし孫次郎は、最後の勝利を決するものは敵陣へ突っ込んで城陣を占領する刀槍隊であり、それなくしてはいかなる戦闘も決定的ではない。しかし現在の武術の多くは実戦に役立たぬものだからこれらを根本から改革し、そういう意味の新しい槍隊を作りたいと孫次郎は熱心に語った。将監は孫次郎の説に感服し、その人物にもほれ込んだので、岡崎藩に仕官できるよう推挙するから、その槍隊をまず岡崎藩で作ってもらいたいと彼を岡崎に伴ってくる。
武道絵手本
信田孫次郎・・・27、8歳 甲斐の国巨摩郡の郷士の子。幼少の頃から槍術の才能があり、18歳の頃には近郷で彼の相手に立つものは無くなった。そこで江戸へ出て下石派、中村派の門を叩き、相模の無辺流、尾張家の原田一郎兵衛、筑後の離想流も学んだ。その際、岡崎藩の老職、水野将監と知己になる。
水野将監・・・岡崎藩の老職。新しい火器に幻惑されていたが、孫次郎の説に感服し、その人物に惚れこむ。
七重・・・将監の娘。
杉村壱岐之助・・・27,8歳。七重の従兄で馬の指南役。藩一番の腕達者、家柄もいいので誰も頭を押さえるものがなく我儘。
武道絵手本 覚え書き
突惚(とつこつ)・・・物事が急に起こること。
食客(しょっかく)・・・客の待遇で抱えておく人。
笈(きゅう)・・・修験者などが荷物を収めて背負う箱。
児戯(じぎ)・・・子供の遊び。幼稚なこと。
周旋(しゅうせん)・・・交渉で間に立って世話すること。
喜色満面(きしょくまんめん)・・・喜びを顔いっぱいに表すこと。
推ばん・・・人をある地位や役職に引き上げること。