こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「入婿十万両」です。昭和11年、婦人倶楽部に掲載されました。徳川幕府を始めとして大小の諸藩、いずれも財政難に当面していた寛政年度。讃岐多度津の京極家もその例にもれず、年来の疲弊つもりつもって藩政は殆ど逼迫の頂点に達していた。最も困惑していたのが大坂の富商山屋八左衛門から借り入れた五万余両の金だった。これには吉野の檜山が抵当に振り当てられてあったため、万一返済ができない場合には京極家の重要な財源を押さえられることになるのだ。重役は財政立て直しを計ったが、どこをどう改革すべきか名案がない。そこで藩主が昌平黌で教えを受けた岡田寒泉に助力を願うことにした。隠退している寒泉は、大坂の唐物売買商、難波屋宗右衛門の息子、浅次郎に財政立て直しを頼むこととなる。
入婿十万両 主な登場人物
矢走浅二郎・・・大阪の富商、難波屋宗右衛門の息子。京極家の財政立て直しのため入婿する。
矢走不由・・・澄透るような凄艶な顔に険しいものが見える、京極家随一といわれる男勝りで才知容色をもつ。
矢走源兵衛・・・不由の父。御槍奉行。
京極高信・・・藩主
厨川靱負・・・国老
入婿十万両 覚え書き
重畳(ちょうじょう)・・・この上もなく満足なこと。
凄艶(せいえん)・・・ぞっとするほど艶めかしいさま。
仰臥(ぎょうが)・・・あおむけに寝ること。
林子平(はやししへい)・・・江戸中期の経世家。
才子(さいし)・・才知にすぐれた頭の回転が速い人。
範読(はんどく)・・・書物をひもといて読む。
払暁(ふつぎょう)・・・明け方
三更(さんこう)・・・午後11時からの二時間。
披読(ひどく)・・・書籍などを開いて読むこと。
賜謁(しえつ)・・・賜見すること。
下根(げこん)・・・教えを受ける性質、能力が生まれつき劣っていること。