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落ち梅記 山本周五郎

【朗読】落ち梅記 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「落ち梅記」(昭和24年/講談倶楽部)です。幼馴染で父親同士も昵懇の間柄の金之助と由利江。家族も古くから近しく往来していた。金之助の母は、彼の妻には由利江をと考えていたし、由利江のほうでもうすうすと気づいてそのつもりであった。しかし今は自堕落な生活を送る金之助の古くからの友人、半三郎が「由利江を妻に迎えることができれば立ち直る」と云い出し、半三郎の妹で由利江の友人千秋が「それがたった一つの兄を救う道」だと云って兄の嫁に来てくれるように頼む。由利江は公郷へ嫁してゆき、金之助も卒中で倒れた父の仕事を継承するために出府する。そして幼い頃学友としてお相手に上がった若殿、民部康継に再会する。康継は藩の紊乱した政治を立て直す方法を話すが決定的な証拠はまだ掴んでいないのだった。

かん太
テンポよい話でグイグイ惹きつけられます。それぞれの立場で見る現実、そして成長。信じるということを考えた作品でした。
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落ち梅記 主な登場人物

沢渡金之助(さわたり)・・・小さい頃から学問が好きで、半三郎と兄弟のように親しく往来した。藩校でも二人は双俊と呼ばれ、9歳から13歳まで藩主の世子の学友に選ばれて、江戸邸で起居を共にした。

公郷半三郎(くごう)・・・二十歳の時から藩校の助教を勤めていたが、教官の嫉視から追われ、酒と賭博に耽るようになる。

由利江・・・大柄なゆったりとした体つきで、全体が柔らかく丸い線に包まれて、いつも笑っているような落ち着いたもの云いで、明るく温かい雰囲気をもっている。

沢渡助左衛門・・・金之助の父。次席家老と側用人を兼務する、酒も嗜まず趣味も道楽もない御用専一の篤実実直な質。卒中で倒れる。

若狭守貞継・・・藩主。卒中で倒れる。

民部康継(亀之助)・・・若殿。紊乱した藩政を立て直すため起つ。

 

落ち梅記 覚え書き

耗弱(こうじゃく)・・・すり減って弱っていること。

昵懇(じっこん)・・・親しく打ち解けて付き合うこと。

八花形(やつはながた)・・・花弁のような角が八つある形。

竜紋(りゅうもん)・・・竜をかたどった文様。

漢鏡(かんきょう)・・・中国の銅鏡。

異母弟(いぼてい)

駘蕩(たいとう)・・・のびのびしてさえぎるものがないこと。

地袋(じぶくろ)・・・小さい袋戸棚。

枢要(すうよう)・・・物事の最も大切なところ。

篤実(とくじつ)・・・誠実で情が深いこと。

衆望(しゅうぼう)・・・たくさんの人から寄せられる期待と信頼。

双俊(そうしゅん)

嫉視(しっし)・・・ねたみ憎む気持ちで見ること。

疎隔(そかく)・・・うとくなって、へだたりができること。

逼塞(ひっそく)・・・落ちぶれて世間から離れてひっそりと暮らすこと。

情誼(じょうぎ)・・・人とのつきあいに必要な人情や誠意。

特旨(とくし)・・・主君の特別な考え。

賜暇(しか)・・・願い出て休暇を許可されること。

愁眉(しゅうび)・・・心配もために眉をしかめること。

唐櫃(からびつ)

慌忙(こうぼう)・・・あわただしいこと。

剛毅(ごうき)・・・意思が強くて堅く、くじけない。

悪弊(あくへい)・・・悪い習わし、悪習。

紊乱(ぶんらん)・・・秩序、風紀が乱れていること。

譴責(けんせき)・・・叱り責めること。

謫居(たっきょ)・・・罪により自宅に引きこもったり、遠くへ流されたりすること。

詩経(しきょう)・・・中国最古の詩集

 

 

 

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