【朗読】青嵐(せいらん)山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「青嵐」(昭和23年/講談雑誌)です。登女は、嫁してきてまだ十二日めに夫に隠し子があることを知る。相手の女が突然訪ねてきてそう云ったのだ。登女は強い衝撃を受けた。良人は三年も前からその女と関わりを持って子供まで生しているのに、自分という妻を迎えて平然と寝起きしている。こんなひどい侮辱があるだろうか、頭のくらくらするような怒りと絶望でいっぱいになった。しかし登女はそのことを夫にも姑にも相談できないのであった。
青嵐(せいらん) 主な登場人物
登女・・・十九歳、嫁してきてすぐに良人に隠し子のあることを知り傷つくが、その子を農家に預けて面倒をみる。
伊能半兵衛・・・三百三十石の表祐筆。温和でいつも明るい眉をしている。酒もあまり飲まず、人柄も才分も極めて平凡。余暇には野山を歩いて雑草を採っては絵に描き、分類して集めるのが楽しみ。
おつね・・・伊能半兵衛の子を産んだ、子の面倒を見てほしいと登女のところにやってくる。
松太郎・・・おつねが名をつけた子。
萩女・・・半兵衛の母、登女の姑。
遠藤又十郎・・・表祐筆、半兵衛のずっと前からの友人。だらしのないところがある。
観魚楼(かんぎょろう)・・・袖ヶ浦の大きな料亭。広い庭がすぐに海へと続いている。おつねが働いている料亭。
青嵐(せいらん) 覚え書き
当歳(とうさい)・・・その年に生まれたこと。
軽侮(けいぶ)・・・軽んじあなどること。
表祐筆(おもてゆうひつ)・・・武家の職名。文書、記録の作成をした。
本草綱目(ほんぞうこうもく)・・・中国の本。分量が多く内容が最も充実している。動植物、鉱物、名称、薬効など書かれている。
朴直(ぼくちょく)・・・飾り気がなく正直なこと。
恬淡(てんたん)・・・欲がなく、物事に執着しないこと。
入用(いりよう)・・・必要であること。
苦悶(くもん)・・・肉体的、精神的に苦しみもだえること。
叢林(そうりん)・・・木が群がって生えている林。
入費(にゅうひ)・・・物事をするのにかかる費用。
重任(じゅうにん)・・・重要な職務、任務。
ざんぶ・・・事実でないことを云い立てて他人をそしること。