暴風雨の中(あらしのなか)山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「暴風雨の中」(昭和27年/週刊朝日増刊号)です。烈風と豪雨が荒れ狂い、氾濫した隅田川の水が家の床を浸し、なお強い勢いで増水しつつあった。その家の二階の六帖に三之助は寝ころんでいた。彼は疲れ切って虚脱しているようだった。何もかも、身も心も投げ出したという風に見えた。
貧しく辛い苦しく生まれついた三之助と、彼を捕らえにきた岡っ引きの貧しさに対する考えが全く違う。それぞれの理屈がよく描かれてます。
この話は一場面ものだよ。暴風雨の様子が細かく描かれているので迫力があります!
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暴風雨の中 主な登場人物
三之助・・・ごく貧しい漁師の家に生まれ、六歳の時父が死ぬ。名の知られた悪童だったが十二歳の年に職人になるのだといって茅場町の「指金」へ弟子入りするが半年でとびだし、両国橋の「船辰」という船宿へころげこみ、船宿の船頭ではいい腕だが、喧嘩と博奕と女でいりがやまず、とうとう人をあやめてしまう。
佐平・・・武井屋の岡っ引き。三十五六の小柄な男。柄は小さいが骨太でがっちりしている。唇は厚く、角ばったまるい顔の中で小さな眼がするどく光る。その眼は粘り強くどんなことにもめげない光を帯びている。三之助を追ってきた。
おしげ・・・大きな船宿「船七」の娘。かたちのいいうりざね顔の濃い眉で、小麦色の肌で器量もかなり際立っている。三之助とは古い馴染みで、やくざな三之助にじつを尽くしていた。
仁兵衛・・・強欲な油屋。鬼のような家主で、貧乏人に法外な高利貸しをする。
暴風雨の中 覚え書き
烈風(れっぷう)・・・きわめて激しい風。
虚脱(きょだつ)・・・気力・体力ともに失せてぼんやりと何も手につかない様子。
砂礫(されき)・・・砂と小石。
斜交い(はすかい)・・・ななめ。
近火(ちかび)・・・近所の火事。
攣縮(れんしゅく)・・・ひきつって縮まること。