【朗読】ひやめし物語 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「ひやめし物語」です。この作品は昭和22年、講談雑誌に掲載されました。柴山大四郎は柴山家の四男坊、部屋住みの二十六歳である。思わしい養子の話もなく、縁がなければ一生冷飯で終わるより仕方がありません。柴山家の家族は大四郎に限らず暢気者で、「そのうちなんとかなるさ」くらいのごく軽い気持ちでなりゆきにまかせています。大四郎は古本あさりをするのが道楽だった。その途上、彼はある佳人をみそめてから自分のいぶせき運命に気付くときが来たのでした。
ひやめし物語 主な登場人物
柴山大四郎・・・二十六歳、四男で部屋住み。暢気で素直な性格。月々の小遣いで古本を購い、傷んだところを丹念に直して自分の蔵書印を押すのが喜びだった。ある日、古本あさりの途中で佳人を見初める。
柴山又左衛門・・・長兄。定番、亡くなった父の跡を継いでいる。
柴山粂之助・・・家禄三百石のうち五十石貰って分家している。
柴山又三郎・・・三兄、中村へ養子に行った。中村は新番組で百九十石で羽振りがいい。口が達者で四人分を一人で引き受けたようにしゃべる。
椙女・・・母親
中川八郎兵衛・・・藩の中老で五千石の扶持。大四郎を気に入る。
平松吉之助・・・大四郎と藩校で机を並べたことのある友人。奥小姓で正経文庫に勤めている。
ぬひ・・・大四郎を想う。
ひやめし物語 覚え書き
いぶせき・・・心が晴々しないうっとおしいさま。
購う(あがなう)・・・買い求める。
書肆(しょし)・・・出版したり売ったりする店。
奇覯(きこう)・・・非常に珍しいこと。
史書(ししょ)・・・歴史を記した書物。
珍重(ちんちょう)・・・珍しい物として大切にすること。
題簽(だいせん)・・・書籍の表紙に題名などを記して貼る細長い紙。
艶聞(えんぶん)・・・男女間の艶っぽいうわさ。
揶揄(やゆ)・・・からかうこと。なぶること。
邂逅(かいこう)・・・思いがけなく出会うこと。
気鬱(きうつ)・・・気分がはればれしないこと。
独酌(どくしゃく)・・・ひとりで酒を注いで飲むこと。
古渡り(こわたり)・・・室町時代またはそれ以前に渡来したこと。