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釣忍 山本周五郎 

釣忍 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「釣忍」です。この作品は度々舞台化、ドラマ化されている人気作品です。釣忍といえば夏の風物詩ですが、この作品では小さな縁先に枯れたと思われる釣忍が出てきます。ほかにお菜や蚊遣り、鼠不入、団扇、蚊帳、浴衣、お寺の鐘なども出てきます。長屋の日常んだ、なにかあったのか生活が細かく描かれているところもこの作品の魅力です。

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釣忍 主な登場人物

定次郎・・・乱行のあまり二十歳のとき勘当され、ぼて振りの魚屋をして女房おはんと二人で暮らしている。

おはん・・・定次郎の女房。門前町の芸妓だった。

為吉・・・定次郎と同じ年の二十三歳。将棋相手。版木職人

佐太郎・・・呉服屋「越前屋」の若旦那。定次郎の異母兄。定次郎を呼び戻しに来る。

釣忍のあらすじ(※ネタバレ含みます)

定次郎が仕事から帰って片付け物をしていると、おはんが帰ってきた。その後すぐに相長屋の為吉が通りかかって今夜の将棋の約束をした。定次郎が湯から帰ると膳が並んでいた。おはんの様子がいつもと違うので「どうしたんだ、なにかあったのか」とおはんの顔を見守ると、「今日ね、あんたの兄さんて人が来たの、日本橋の越前屋っていう呉服屋さんで、お名前は佐太郎。あんたはその人の弟さんだって云ったわ。」定次郎は自分が越前屋の後添いの息子であることをおはんに隠していた。ついに兄・佐太郎に住居を突き止められた。定次郎はすぐに引っ越しをすることにしたが、ある日、帰ると佐太郎が訪ねてきていた。

アリア
佐太郎は、越前屋を勘当された定次郎が、放蕩をやめて真面目に働いていることを知り、自分も母親も、親類たちも定次郎が帰って来るのを待っていると云うんだ。おっ母さんが泣いて待っているなら帰ってほしいとおはんも云うんだ。
かん太
物語のはじめに膳へ並んだ夕餉が「針魚の片身は糸づくり、片身は吸い物、うるめは焼いて、ほかに二品、わかめに浅蜊のぬたと、塩昆布と燗徳利」でした!美味しそう!お酒の量に意味があって、毎晩のお酒が一本。そして三本の日。一合を二人で分けた日、盃に受けたり返杯した酒、椀の蓋で飲む、汁椀で呷るなどで描かれています。

釣忍 覚え書き

盤台(ばんだい)・・・魚屋が魚を運ぶのに用いる、浅く作った楕円形、または円形の大きなたらい。

針魚(さより)

版木(はんぎ)・・・木版印刷で、文字や絵などを彫り付けた木版。日本では主にヤマザクラ・ツゲなどの材を用いた。

ぼて振り(ぼてふり)・・・天秤棒に魚をつりさげて売り歩く行商人。

庇間(ひあわい)・・・建て込んだ家の間の、ひさしとひさしとが接するような狭いところ。

経緯(たてぬき)・・・この作品では、たてよこと読み仮名が付いてます。

眼力(がんりき)・・・目で物を見る力。物事の善悪・真偽・成否などを見抜く力。

恢復(かいふく)

足駄(あしだ)・・・雨の日などに履く、高い歯の下駄。歯は差し歯で磨り減ると差し替える。

癇癖(かんぺき)・・・怒りっぽい性質。

対蹠的(たいしょてき)・・・二つの物事が正反対の関係にあるさま。

慨く(なげく)・・・心を揺さぶる思いでいっぱいになる。

総後架(そうこうか)・・・長屋で多人数共用の便所。

千筋(せんすじ)・・・色違いの縦糸を4本ずつ配列して織った細い縦縞。

帷子(かたびら)・・・裏をつけない衣服の総称。ひとえもの。

吝嗇(りんしょく)・・・ひどく物惜しみをすること。また、そのさま。

大磐石(だいばんじゃく)・・・物事の基礎がしっかり据わって揺るぎのないこと。

棒ばな(ぼうばな)・・・棒のはし。棒のさき。

 

 

 

 

 

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