【朗読】虚空遍歴 13の1 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、倒れた冲也の治療をした蘭方医でもある僧侶、無仏との会話です。ちょっと無仏を鬱陶しがっている冲也と、それをハラハラしながら見守るおけいが好ましいです。それぞれの立場から「人間らしさ」「自由」そして「芸術の本質」などが語られます!最後までごゆっくりご視聴ください。
虚空遍歴13の1 主な登場人物
冲也・・・彼は人間の感情や葛藤、弱さを大切にしていて、迷いや悩みを含めた人間らしさを追求することが、自分の芸術の本質だと考えています。悟りや解脱を説く無仏の考えに反発し、自分の道を見つけようとしています。
無仏・・・冲也の治療をした蘭方医でもある僧侶。冲也の才能を高く評価し、彼に対して人間が本当に自由になるためには、あらゆる執着を捨てるべきだと説きます。芸術においても同じで、全ての迷いを超越することで表現が可能になると考えています。
虚空遍歴 13の1 あらすじ
冲也の部屋で酒を飲みながら話す無仏と、うんざりしながら話に付き合う冲也の様子が描かれています。話は自由と人間らしさ、そして芸術の本質をめぐる深い対話です。無仏は彼に、あらゆる絆や欲望、迷いを捨てて悟りの境地に至べきと説きます。しかし冲也は反発し、迷いや苦しみ、恐怖、そして人間の弱さこそが自分にとって大切だと主張します。彼はこれらの感情や葛藤こそが人間を真に生き生きとさせ、芸術を生み出す源だと考えています。無仏が預かっていた濤石の絵を見た冲也は、一枚の絵に深い感銘を受けます。その絵は一見すると単純な岩の描写ですが、その背後にある深い計算と表現力に心を動かされます。自分の中に新たな情熱を感じます。
虚空遍歴 アリアの感想と備忘録
冲也と無仏の対立は、私たちが日常生活の中で感じる「迷い」や「葛藤」にも通じるものがあります。生きていく中で私たちは常に選択し、時には自分の感情や欲望と反対のことを選ぶこともあります。無仏のように、全てを超越して平静を保つことが理想とされることもありますが、冲也のように、迷いや悩みを抱えながらも、それを大切にし、自分の生き方や表現に反映させていくこともまた一つの真実ではないかと感じました。特に印象に残ったのは、冲也が「死を恐れる」気持ちを大切にすると語ったところです。死の恐怖から解放されることが理想とされそうですが、彼はその恐怖を自分の中に抱えて、それを糧にして生きる決意を示しました。これは人間の弱さを認めて、それを乗り越えようとするのではなく、受け入れて生きていく強さを感じさせました。まさに芸を追求していく冲也の強さですね。