【朗読】虚空遍歴 11の3 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、雨の中を宿から駕籠で飛び出した冲也と駕籠屋の話です。ちょっと整理すると、おけいと別れて金沢に向かっている冲也、しかし彼は常に不安で孤独なのです。最後までごゆっくりご視聴ください。
虚空遍歴 11の3 あらすじ
駕籠に乗った冲也は、後棒の腰の曲がった老人の饒舌に苛立ちながらも、彼の懸命な姿に心を動かされます。途中、琵琶湖の近くの余呉湖の話に興味を示しながらも雨で視界が遮られて湖は見えません。腰の曲がった老人は駕籠を下ろし、戦さの昔話を語る中、冲也は歩いていくことに決め、老人に駄賃を渡して別れを告げます。しかし歩き出した冲也の背後で駕籠は瞬く間に消え去り、彼はその滑稽さに声をあげて笑うのでした。そして宿に着く頃には、雨に濡れた身体が冷え、不安と息苦しさに襲われ、自分がもう死んでしまうのではないかという恐怖に襲われるのでした。
虚空遍歴 11の3 主な登場人物
駕籠の後ろ棒の老人・・・60歳くらいで腰が曲がっている。荒い呼吸でよろけながら駕籠を担ぎ、絶え間なしに冲也に話しかける。冲也に駄賃を貰うと、瞬く間に消え去る。
先棒の男・・・45から46歳くらいに見える。骨太で頑丈な体つきで、老人の話を止めることも急ぐ気配もない。
女中・・・宿の女中、元は江戸にいたが、今はここで働いている。冲也が息苦しさと不安を感じたときに駆けつける。
虚空遍歴 11の3 アリアの感想と備忘録
冲也は今回、歩くのもやっとで駕籠を担ぐ老人に出会います。(色んな人が出てきますね。)よろけて歩くのに饒舌に喋るところが胡散臭いのですが、冲也は老人が必死に話し続ける姿が彼自身の人生の証のようであると思い、駄賃を与えて自分で歩きます。そこに冲也の優しさと気遣いと思いやりが滲み出ていました。冲也ってやさしいですね。そしていつも一杯食わされる!しかし夜中に起こる息苦しさと不安は、冲也の孤独と恐怖、心の弱さを際立てていました。ゆっくり休めばいいのに、彼は仕事に取り組んで心を落ち着けようとします。困難に立ち向かう姿と心の弱さが交錯し、人間の繊細な感情がよく描かれてました。