【朗読】「日本婦道記」より二十三年 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「日本婦道記」より二十三年です。この作品は昭和20年、婦人倶楽部に掲載されました。新沼靱負は会津の蒲生家が改易となったため浪人となる。産後病みついた妻は回復の見込みがなく、長男の臣之助は悪質の時疫にかかって僅か三日で急死し、不幸が次々と伴なっていた。靱負は会津を退転するとき貯えも多からず病妻を抱えていたため、家士召使にはみな暇をやったが、妻の愛するおかやだけは出て行かず一緒についてきた。男ひとりの手には余る子守り、病人の看護、炊事洗濯などおかやは疲れることを知らないかと思うほどよく働く娘で、靱負はおかやがいてくれなかったらどうしたろうと背筋が寒くなるのだった。
二十三年 主な登場人物
新沼靱負(にいぬまゆきえ)・・・会津蒲生家の家臣。御蔵奉行に属し、食禄二百石あまりで槍刀預を勤める。ごく温厚でぬきんじた才能もない代わりに真面目で謹直なところが上からも下からも買われて平凡な年月を過ごしていた。が・・・
おかや・・・十五歳から新沼家に奉公して二十歳になった時、奉公していた新沼の主人靱負から暇を出される。しかし・・・
みぎは・・・靱負の妻。おかやを妹のように愛していた。しかし乳飲み子と良人を残して病没する。
臣之助・・・靱負の長男。流行り病であっけなく死ぬ。
牧二郎・・・靱負の二男。
多助・・・おかやの兄。
二十三年 覚え書き
紛擾(ふんじょう)・・・ごたごたもめること。
寄る辺(よるべ)・・・たよりとするところ。
嬰児(えいじ)・・・乳飲み子
時疫(じえき)・・・流行り病。
襁褓(むつき)・・・おむつ
便々と(べんべんと)・・・何もせずに悪戯に時を過ごすこと。
懇ろ(ねんごろ)・・・心がこもっているさま。
恟々と(きょうきょうと)・・・おそれおののく様子。
辛労(しんろう)・・・つらい苦労をすること。
遅鈍(ちどん)・・・行動などがのろくて鈍いこと。
座食(ざしょく)・・・無職のまま生活すること。
枕頭(ちんとう)・・・枕元。
思量(しりょう)・・・いろいろと思いめぐらして考える。
殊遇(しゅぐう)・・・他より特別によい待遇。