【連載朗読】彦左衛門外記7 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「彦左衛門外記7」です。数馬は驚いた。伯父は全く人が変わった。湯上りで赤らんだ顔には皴も見えず、贅肉のない体や顎のあたりはよく引き締まって、膏を塗ったように艶光がしていた。こんなことがあるだろうか。人間が僅かな間に、こんなにも変貌するなどということがあり得るであろうか。
彦左衛門外記7 新しい登場人物と復習
奥平大膳大夫(美作守とも)・・・ちづか姫の父。宇都宮十一万石の領主。
お屋形(丹波さま)・・・大膳大夫の叔父。
奥平弥五郎・・・大膳大夫の三番目の弟。ちづか姫の叔父。
ちづか・・・奥平家の三女。数馬の婚約者。
いつき・・・奥平家の長女。二十八歳。六尺ゆたかな筋骨逞しい、あたかも力士のような体つきの女性で声も力士のようだ。
こずえ・・・奥平家の次女。「乙姫のこずえ」と早苗が紹介した、棒柱に頭と手足をつけて衣装を着せたような姿。
ながお・・・奥平家の四女。牛のように肥えている。
みゆき・・・奥平家の五女。十四歳。信じられないほどのっぽ。数馬のようなちびは嫌い。
早苗・・・ちづかの侍女。十五歳。
彦左衛門外記7 覚え書き
感奮興起(かんぷんこうき)・・・心に感じて奮い立ち、勢いが盛んになること。
譴責(けんせき)・・・しかり責めること。
職制(しょくせい)・・・職場での職務の分担に関する制度。
双肌(もろはだ)・・・両方の肩の肌。上半身。
肉瘤(にくりゅう)・・・盛り上がった逞しい筋肉。
田楽刺し(でんがくざし)・・・田楽豆腐のように、槍などで真ん中を刺し貫くこと。
相貌(そうぼう)・・・顔かたち。容貌。
赤備え(あかぞなえ)・・・すべての将兵の武具を赤色にした軍勢。
かんらからから・・・豪傑などの高らかに笑う声を表す語。
こわっぱ・・・子ども、若者をののしっていう語で若造といった意味。
上長(じょうちょう)・・・年齢・地位が上であること。また、その人。
字義(じぎ)・・・漢字の意味。文字の意味。
勇壮(ゆうそう)・・・いさましく元気なこと。
諸家(しょか)・・・多くの家、多くの家門。
目算(もくさん)・・・目で見て数量の見当をつけたり、大体の計算をすること。
追廻し(おいまわし)・・・強制的に仕事などをさせること。掃除や使い走りをする召使など。
遠国(えんごく)・・・遠い国、都から遠く離れた国。
発頭人(ほっとうにん)・・・先に立って物事を企てた人。張本人。