【朗読】彦左衛門外記 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「彦左衛門外記2」です。数馬が一目惚れした奥平家の三女ちづか姫に会うために、毎晩こっそり奥平家に忍び込みます。そこで・・・
彦左衛門外記 主な登場人物
五橋数馬(いつはし)・・・七百石の旗本だが、奥平家十一万石の三女ちづか姫に一目惚れする。
ちづか・・・奥平家の三女。数馬の気持ちを色々試す。
いつき・・・奥平家の長女。二十八歳。六尺ゆたかな筋骨逞しい、あたかも力士のような体つきの女性で声も力士のようだ。
こずえ・・・奥平家の次女。「乙姫のこずえ」と早苗が紹介した、棒柱に頭と手足をつけて衣装を着せたような姿。
ながお・・・奥平家の四女。牛のように肥えている。
みゆき・・・奥平家の五女。十四歳。信じられないほどのっぽ。数馬のようなちびは嫌い。
早苗・・・ちづかの侍女。十五歳。
彦左衛門外記2 あらすじ(※ネタバレを含みます)
数馬は采女ヶ原の野試合を見物に来ていた奥平美作守の三女ちづか姫に一目惚れし、小舟を雇って美作邸裏に行き、石垣をよじ登って屋敷の裏庭へ忍び込んだ。植え込みの中から声をかけたのは、ちづか姫の侍女、早苗であった。年若い侍女に「ひめぎみと約束がある。」と、ここに連れてきてもらうように云う。気温が冷えた晩春三月の十二時近く、ようやく早苗が姫を案内してきた。ちづか姫は、単純なものより複雑なもの、安易なものより困難の伴うもの、安穏な状態より胸のどきどきする状態、などというほうが好ましいと云い、「錦木塚」の故事にならい、ちづか姫の気が済むまで、数馬に錦木の枝を挿しに通ってほしいと云う。数馬は九十余日、毎晩奥平邸へ通いつづけるのであった。
彦左衛門外記2 覚え書き
禍福は糾える縄のごとし(かふくはあざなえるなわのごとし)・・・わざわいが福になり、福がわざわいのもとになったりして、この世の幸不幸は、縄をより合わせたように表裏をなすものであるの意。
晩夏(ばんか)・・・陰暦では4月から6月までが夏。
虜囚(とりこ)・・・とらわれた人。
幸先(さいさき)・・・よいことが起こる前兆。
毒気(どくけ)・・・毒の成分。毒を含んだ気。
稀代(きだい)・・・世にもまれなこと。めったに見られないこと。
愚昧(ぐまい)・・・おろかで道理に暗いこと。また、そのさま。
色消し(いろけし)・・・風情を消すこと。興趣をそぐこと。
祝着(しゅうちゃく)・・・喜び祝うこと。うれしく思うこと。
棒柱(ぼうばしら)
熱鉄(ねってつ)・・・熱した、また、高温で溶けた鉄。
忿怒(ふんぬ)・・・ひどく怒ること。
糧秣(りょうまつ)・・・兵士の食糧と軍馬のまぐさ。
兵站(へいたん)・・・戦闘部隊の後方にあって、人員・兵器・食料などの前送・補給にあたり、また、後方連絡線の確保にあたる活動機能。
面罵(めんば)・・・面と向かってののしること。
即物的(そくぶつてき)・・・物質的なことや、金銭的なことを優先して考えるさま。
照覧(しょうらん)・・・明らかに見ること。はっきり見ること。
後学(こうがく)・・・将来、自分のためになる知識や学問。
神君(しんくん)・・・偉大な功績のあった高徳の君主に対する敬称。徳川家康の死後の敬称。
後胤(こういん)・・・子孫。
一死奉公(いっしほうこう)・・・命を捨てた奉公。
詐称(さしょう)・・・氏名・住所・職業などをいつわっていうこと。