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虚空遍歴 2の6 山本周五郎 

【朗読】虚空遍歴 2の6 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回のお話の舞台は・・夜の静寂に包まれた寝間です。お京の恐れと不安に揺れる心と、冲也の愛情、そして自分の芸への情熱を再確認します。

虚空遍歴 2の6 主な登場人物

冲也・・・お京の恋人。新しい浄瑠璃を創作しようと決意しており、その過程で様々な試練や挑戦に直面している。

お京・・・冲也を愛しながら常に彼に寄り添う。彼の決意と情熱を理解し、彼を支える存在。

虚空遍歴 2の6 あらすじ

夜の寝間でのこと、お京は恐れと不安に揺れる心を、恋人の冲也に隠し震えを抑えられずにいた。昼夜は彼女を抱きしめ、慰めながらも自らの芸への情熱を再確認し、彼の心には揺るぎない決意が宿ります。冲也はお京の体臭が感じられないことに二人の深い絆を感じます。二人は幼い頃から長い年月を共にし、心だけでなく体も一つになっていたことを思う。

虚空遍歴 8の1と8の2 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴 8の1と8の2 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は冲也と生田半二郎の再会です。幼い頃からの友人でもある二人は共に芸の道に進んでいるが対照的な生き方をしています。どうぞ最後までごゆっくりお聴きください。

虚空遍歴 主な登場人物

冲也・・・江戸出身、芸の道を追求するために大阪に来たが、未だそこでの成功を収められず挫折を味わっている。過去の成功に縛られながら現在の自分に自信を失っている。

生田半二郎・・・冲也の古い友人で、彼も芸の世界に身を置いているが、浮気性で女性関係を好む。

虚空遍歴 あらすじ

冲也のもとへ生田半二郎がやってくる。冲也の芸は大阪では受け入れられず、彼は挫折感を抱えている。生田半二郎も芸の世界に生きるが、その生活は安定していない。彼は浮気性で様々な女性関係を持ちながら、どこか心の落ち着かない生活を続けています。二人の再会は過去の思い出を蘇らせると同時に、現在の自分たちの状況を浮き彫りにします。生田は明るく振る舞いながらも冲也の変貌に驚き、冲也は生田の浮ついた生活を軽蔑するような態度を見せますが、その背後にはお互いに対する深い理解と哀愁が感じられます。

虚空遍歴 8の3と8の4 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴 8の3と8の4 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は虚空遍歴の8の3と8の4です。大阪へやってきた冲也は、自分の浄瑠璃を売り込むために奔走しています。並木万吉という中座の作者や鶴来徳三という角座の作者はその可能性は十分あるというのだが・・・

虚空遍歴 8の3と8の4 主な登場人物

冲也・・・相変わらず体調がすぐれず咳が止まらない。食事もろくに取らずに酒ばかり飲んでいる。

おけい・・・冲也を深く気遣い、彼の孤独と病に心を痛めている。

生田半二郎・・・幼い頃からの冲也の友人。冲也の状況や体調を心配し、何らかの助けをしようと考えている。

並木万吉・・・中座の作者部屋の一人。冲也の浄瑠璃が上演されないことを知っている。

鶴来徳三・・・角座の作者。冲也の芝居を褒めるが、実は心の中では軽んじている。

春川重次・・・若い芝居関係者。冲也を騙そうとしている一人。

八十平・・・藤川座の番頭。冲也を利用している。

虚空遍歴 8の3と8の4 あらすじ

冲也の咳は止まらず、酔っていない時はひどいものであった。時には痰に血が混じるほどで、生田半二郎は労咳を案じるが、おけいは医者はそうではないと言ったことを伝える。冲也は自身の浄瑠璃を恥ずかしさを忍び、屈辱をさえ耐え忍んで三十日余りも奔走し続けてきたが、彼を取り巻く環境は冷酷で、芝居関係者たちは裏で彼を利用し、嘲笑していたのでした。彼は屈辱を忍ぶにも限度がある、おれはその限度を味わった、いまは決算するときだ、そのほかのことはこれが終わってからだと自分に言い聞かせてある行動に出るのでした。

虚空遍歴 8の3と4 アリアの感想と備忘録

おけいが冲也に寄り添う様子が彼の孤独を少しでも和らげていると思いました。二人は同じ部屋に寝起きしているのですね、冲也が芝居が上演されるものと信じて毎日、浄瑠璃のふしに手を入れている姿、ふしまわしの細かいところを直してはつけ、つけては直しと思い詰めている様子もいつも見守っています。着替えから酒の支度、煮炊きのこと、お金のこと、全ておけいが引き受けていなければ大阪へいく前にきっともっと病気が重くなっていたのではないでしょうか。冲也が存分に仕事に打ち込むことができるようにする、こんな愛もあるのですね。

虚空遍歴 8の5と8の6 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴 8の5と8の6 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、大阪の芝居関係者が箕面へ到着したところから始まります。江戸のものがどんな趣向を準備して驚かすのか楽しみにしていた彼らを待っていたものは・・・!最後までごゆっくりお聴きください。

虚空遍歴 8の5と8の6 主な登場人物

冲也・・・大阪の芝居関係者に陰で嘲笑されていたことに憤りを感じ、自分の浄瑠璃が舞台に上がるという話が偽りだったことに失望する。

並木万吉・・・冲也の浄瑠璃が上演されるように台本を書いてもいいと言うが・・

八十平・・・冲也の浄瑠璃を舞台へ上げるために奔走したと言い張る。

春川重次・・・冲也の怒りに恐怖する。

鶴来徳三・・・冲也に嘘をついていたことを謝罪する。

金造・・・以前、旅の途中で出会った男。冲也を尾ける男がいると警告する。

虚空遍歴 8の5と8の6 あらすじ

午後二時頃、冲也たちは箕面に到着する。途中で雪が降り始めたが、山に入ると晴れてひが差し始めた。「みのお」という茶屋で一休みし酒を飲んだ。しかし冲也の心には不安と怒りが潜んでいた。彼の浄瑠璃が舞台に上がるというのが偽りで、彼らが陰で彼を嘲笑していたことを知った冲也は、ひと足さきに滝の方へといく。冲也は滝の音を聞きながら心を鎮め、決意を固める。彼らが滝へ上がってきたときに・・・

冲也は全員を斬ることなく許したが、自分の未熟さを痛感し、大阪を去る決意をした。

虚空遍歴 8の5と8の6 アリアの感想と備忘録

普段は感情をあまり面に出さない冲也の怒りを爆発させる場面が心に残りました。冲也の怒りは、彼の浄瑠璃が舞台に上がらないことではなく、初めから上がらないと分かっていながら彼を騙し続けた彼らのペテンと、自分の浄瑠璃に対する情熱や期待が裏切られたことに対してでした。人を斬ってしまうというのはやはり侍気質が抜けてないのですね。浄瑠璃だけに絞って、売り込みなどは別の方にお願いできるようになりますように・・・そして不穏なことは続くもので、金造とあったということは奴らがまた追ってきたということで・・・

虚空遍歴 8の7と独白 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴 8の7と独白 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、金造の警告によって、冲也は吉原藤次郎らがまた尾けてきていることを知り、ここで片をつけることを決意します。3対1で闘うかと思いきや、金造も手助けに入って奮闘します!見ず知らずの金造が頼もしく思えます。

虚空遍歴 8の7と独白 主な登場人物

冲也・・・旗本育ちで中藤冲也。三人の侍たちと対峙し、冷静に戦いに挑みます。

金造・・・自分で「ごまのはい」と云う品川で以前出会った男。無宿者で、数えきれないほどの闘いを経験したといい、冲也を師匠と呼ぶ。

吉原藤次郎・・・箱根で冲也に右腕を斬られて以来、ずっとしつこく追ってくる。

益村千之助・・・吉原藤次郎の仲間の一人。

疋田京之助・・・吉原藤次郎の仲間の一人。箱根の芦ノ湖でおけいに声をかけた男。

駕籠屋・・・箕面から冲也を乗せてきた。冲也の斬り合いの証人になる。

生田半二郎・・・冲也の幼馴染で、彼の才能を心から信じている。浄瑠璃の上演のために尽力する。

虚空遍歴8の7と独白 あらすじ

駕籠に乗った冲也に話しかけてきた金造は、吉原藤次郎らがまた彼を付け狙っていることを話し、道を変えて大阪へ戻ることを勧める。しかし冲也は、さっきの芝居関係者とのことで、泥でも飲んだような嫌な気持ちになり、何かひと暴れしてやりたいと思っていたところだったし、ずっと追ってくる吉原ともけりをつけようと決意する。闘いは3対1、籠屋に証人を頼む。おけいは後で瓦版を読んで、道で人が二人斬られて一人が死んだことを知る。死んだのは吉原藤次郎で、以前おけいを囲っていた本多さんの家来だった。いつかこんなことになるのではないかと彼女は心配していたが、いやな事が一つ片付いて心からホッとした。

 

虚空遍歴 9の1 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴 9の1 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、たちばなの奥座敷で、酒に溺れながらも生田半二郎と一緒に浄瑠璃の台本を完成させようとします。二人がひたすら議論と執筆に明け暮れる様子が描かれています。冲也の心にはただ一つ、自身の芸術を究めることへの渇望しかない姿が心を打ちます。どうぞ最後までごゆっくりご視聴ください。

虚空遍歴 9の1 主な登場人物

冲也・・・新しい浄瑠璃の台本を描こうとしているが疲れ切っており、心身ともに憔悴し切っている。そしてしばしば意識が遠くに漂う。

生田半二郎・・・冲也の友人、台本を執筆し、冲也と意見を交わしながら進行を手助けする。冲也の浄瑠璃を人形芝居で上演することを提案する。

金造・・・過去に二度、冲也に危険を知らせてくれた男。現在の所在は不明。

おはる・・・「たちばな」の女中。冲也と生田に訪問者の到来えお知らせる。

近松紋太・・・竹本座の関係者。長い顔で顎がしゃくれている。人形浄瑠璃の復興を目指し、冲也の浄瑠璃で上演することを提案する。

虚空遍歴 9の1 あらすじ

立慶町の「たちばな」の奥座敷で、冲也と生田半二郎は鬱々とした日を送っている。酒に溺れながら冲也は、新しい浄瑠璃の台本を完成させようとするも、疲れ切った顔には憔悴の色が濃かった。生田もまた、書き物に没頭しながら互いに意見をぶつけ合うが、進度は遅々としていた。外界から遮断された七日間、生田は新しいアイデアを語り、冲也は自身の視点を貫こうとする。竹本座の近松紋太との対話は冲也の創作に新しい光を差し込む。

虚空遍歴 9の1 アリアの感想と備忘録

冲也の浄瑠璃の創作過程における孤独と葛藤、心身ともに疲弊し、現実と幻想の間を漂う姿が印象的でした。その姿はまるで芸術の追求が時に自己を犠牲にするものであることを物語っています。そして冲也と生田半二郎のやり取りが、協力と対立を象徴していました。二人の意見がぶつかりながら最終的には一つの作品を作り上げようという努力は、芸術に対する真摯な姿勢とその裏にある隠された苦悩が垣間見えました。そして生田半二郎の提案によって冲也の浄瑠璃が人形芝居で上演される可能性が浮上し、冲也の創作への情熱が再燃する姿は感動的でした。うまくいくといいなあ。

虚空遍歴 9の2 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴 9の2 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、人形浄瑠璃の竹本座の人たちの前で、冲也が「由香利の雨」の全曲を披露するところから始まります。冲也の浄瑠璃が竹本座の人たちにどう評価されるか楽しみです!それでは最後までごゆっくりお楽しみください。

虚空遍歴 9の2 主な登場人物

冲也・・・竹本座の人たちの前で「由香利の雨」の全曲を歌う。酒に酔うと毒舌になるため生田に連れ出される。

生田半二郎・・・冲也の世話を焼く。冲也とおけいさんの関係や酒癖について心配し、冲也に率直に意見を言う。

上村ぶん楽・・・道頓堀に住む人物で、冲也の浄瑠璃を気に入り、酒の支度を命じる。

近松紋太・・・人形使いの世話役。冲也の浄瑠璃を聴くために集まった。

おけい・・・冲也の側に付き添う女性。彼女の献身的な態度から生田は、彼女が冲也に惚れていると考えている。

虚空遍歴 9の2 あらすじ

数日後、冲也は道頓堀の近くにある上村文楽の家で「由香利の雨」の全曲を披露します。集まった六人の人形使いと世話役の近松紋太、そして主人のぶん楽もその場にいました。冲也は慣れない三味線を弾きながらも、その歌声は集まった人々に感動を与え、人形使いの三人はすぐにでも稽古を始めたいと熱望します。しかし冲也は自分の浄瑠璃にはまだ何かが欠けていると焦っています。その後、酒を飲みながら、生田半二郎は冲也におけいさんとのことに問いかけます。冲也はなんでもないと答えますが生田は、おけいの気持ちを考えるよう説得します。二人は激しい言い争いを続け、生田は冲也の芸のために人を利用する姿勢に嫌悪感を示します。冲也もまた、生田の指摘に怒りを感じるのでした。

虚空遍歴 9の2 アリアの感想と備忘録

冲也が慣れない三味線で「由香利の雨」を歌う場面は、彼の才能がどれほど素晴らしいかを示しつつも、彼が抱える内面の葛藤も浮き彫りにしていました。集まった人々に感動を与えた彼の才能は際立っていますが、その後の展開はやっぱり一筋縄ではいかないのです。生田半二郎がおけいさんとのことを率直に言うのは、冲也にとっては耳の痛いものではあるけど、友情の深さと彼を思いやる気持ちが感じられました。冲也はおけいさんに対して恋愛感情を持っていないと断言しますが、彼女の献身的な態度を考えると、その関係に読者はみんな疑問を感じるのではないでしょうか。生田が指摘するように、おけいの存在が冲也にとってどれほど大きいかが見えました。

 

虚空遍歴1の1 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴 山本周五郎 連載第2回 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は山本周五郎作「虚空遍歴」連載第2回です。主人公の冲也と一緒に暮らすばあやのお幸と、友人の生田が登場します。冲也と生田のやり取りから互いの異なる性格や価値観が浮き彫りになっていて興味深いです。

虚空遍歴1の1 主な登場人物

中藤 冲也・・・常磐津小松太夫、呼び名はただ冲也。旗本の二男だが武家を捨てて芸の道に生きる。体つきは逞しく、筋肉の引き締まっていて動作も極めて敏捷で柔軟。力のこもった一文字なりの唇と色の白い頬に髭の剃り跡が青い。

生田半二郎・・・冲也と同じ旗本出身で冲也の幼友達。女性問題で常磐津を破門される。冲也を一度ぶん殴ってやりたいと言う。

お幸・・・新石町に冲也と暮らすばあや。

常磐津文字太夫・・・常磐津の大師匠。住吉町。

十三蔵(伊佐太夫)・・・常磐津の師匠。文字太夫の弟子。

 

虚空遍歴1の1 あらすじ

冲也は朝風呂から上がって、陽の当たる縁側に腰をかけて髭剃りを始める。ばあやのお幸は、彼に風邪をひかないよう注意し、朝早くから生田が来ていることを伝える。酒を飲んでいた生田は冲也に住吉町の大師匠と呼ばれる文字太夫に破門されたこと、それは十三蔵の中傷によるもので、生田は十三蔵を殴ったこと、そして冲也が十三蔵を助けたことを非難する。十三蔵は去年の都座の「桂川」で常磐津が出語りを勤めた時、常磐津の一派から出た富本ぶしを出語りに使わせようと働きかけた。この企みは大師匠に対する裏切りであるから文字太夫は怒って十三蔵を破門にしたのだった。

ばあやのお幸が酒を持ってくると、二人は暗い客間で重い空気の中話を続ける。生田は十三蔵への怒りと、自分を破門に追い込んだ出来事を語りながら冲也への忠告を繰り返す。昼夜はその忠告を冷静に受け流し、彼の言葉に穏やかに答えるのだった。そして冲也は部屋を出る。

虚空遍歴1の1 アリアの感想と備忘録

冲也の落ち着いた冷静な態度に余裕を感じました。後に出てくるのですが、八千石の旗本の二男坊らしさというところでしょうか。それに対して生田の心の中には大きな不満や怒りが渦巻いてそれがそのまま態度や言葉に出ています。二人は苦しみや不満をそのままぶつけることができる関係なのですね。生田が先終わった沈丁花を見つめる姿がそのまま彼と重なってよかったです。

出語り・・・義太夫、常磐津、清元などの浄瑠璃が、観客に姿を見せて演奏すること。

 

 

虚空遍歴1の2 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴1の2 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は連載朗読3回目で、小説の1の2にあたります。

虚空遍歴1の2 主な登場人物

冲也・・・二十六歳、主人公。常磐津文字太夫の弟子で、武士を辞めて芸の道を進んでいる、

生田(富太夫)・・・冲也の幼なじみ。冲也を意識して芸の道に進んだが破門される。

新助・・・料亭「岡本」の主人。

お京・・・新助の娘。しもぶくれで無表情なくらい落ち着いて見え、どうかすると三つ四つも老けて見えることがある。産毛のような薄墨色のぼうぼう眉毛やちか目だそうで、いつも少し眩しそうに細めている眼つきや、ふっくらした受け口、いくらか鼻にかかったような声で一言ずつ辿るように物を言うところなどが町娘というより、相当な武家の奥ででも育ったような気品があった。

杵屋小十郎・・・長唄の師匠。

沢村宗十郎・・・四十五六、冲也の集まりに参加している役者。

市川八百蔵・・・三十がらみ、宗十郎と同じく集まりに参加している役者。

岩井半四郎・・・二十六歳、冲也と同じ年の役者。集まりに参加している。

お梅とおぺこ(おりう)お夏・・・岡本の給仕。

佐渡屋のお藤・・・生田の破門のもとになった女性。夫持ち。

伊佐太夫(十三蔵)・・・生田の代わりに出演する予定の芸人。

虚空遍歴1の2 あらすじ

冲也が駕籠に乗りながら読んでいたのは浄瑠璃の台本だった。幼なじみの生田との思い出が蘇り、彼の負けん気の強さと繊細さを思い出す。

生田はいつも冲也を越えようと努力し、家族を捨てて芸人の道に進んだが、その行動には複雑な感情が絡んでいた。彼の生き方は一貫して冲也を意識したものだった。冲也が到着したのは老舗の料亭「岡本」で、そこでは生田の破門の噂が流れる中、冲也は三味線の手直しを頼まれ、自らの芸を見せる。みなそれぞれの芸の道が交錯する中、冲也は静かに自分の道を進んでいく。

虚空遍歴アリアの感想と備忘録

老舗料亭「岡本」の場面は江戸の情緒が溢れ、冲也の現在の立場や彼を取り巻く人間関係がわかりやすく書かれてました。新助とお京のやり取りから冲也がいかに周囲から信頼されているか、他の芸人たちとの交流は、彼の芸の世界での位置づけが感じ取れました。

虚空遍歴1の3 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴 1の3 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「虚空遍歴」連載第4回です。

虚空遍歴1の3 あらすじ

冲也が三味線を静かに単純でゆったりと爪弾きで弾くと、八百蔵と宗十郎は感嘆し、もう一度聴かせてほしいと頼んだ。再度の演奏に満足した宗十郎は、冲也にこの曲を使わせてもらいちと頼み、冲也は快く承諾する。そして話は冲也が酒が飲めないことに及び、皆んなはそのことをからかうように笑う。そこにお夏がやってきてお京に何か囁きます。今の冲也の三味線を聴いた別室のお客が、冲也の唄をぜひ聴きたいので来てくれるようにとのことだった。周囲のものの勧めで渋々了承した冲也はその部屋で客である老人に対面すると、彼が平戸候という高貴な身分の隠居だということがわかる。老人は冲也の才能を認めてい、新しい唄を作るように求められるが、突然、廊下から騒がしい声が聞こえ、緊張が高まっていく。

虚空遍歴1の3 主な登場人物

八百蔵・・・冲也の演奏に感嘆し、彼を称賛する。

紀伊國屋宗十郎・・・冲也の曲が気に入り、使わせてほしいと頼む。

半四郎・・・昨夜のお祝いで冲也が無理矢理酒を飲ませれたことを知る人物。

伊佐太夫・・・別室の客に自分の曲を聴かせているが、実はその曲は冲也のもの。

虚空遍歴1の3 アリアの感想と備忘録

冲也の爪弾く三味線の場面が良かったです!お座敷で静かに始まったその演奏に聴きいる様子、またそれが隣の座敷にも聴こえてそこの客をも感動させる。宗十郎や八百蔵も彼の才能を強く感じさせますが、隠居した高貴な身分の老人が冲也の演奏に興味をを示す場面と彼の芸の価値がどれだけ高いかを強調されているようでした。そして新しい唄を求められた時の冲也の即応力と才能ぶりに感心しました!

幇間(幇間)・・・宴席などで酒宴の興を取り持つ男芸者など。太鼓持ち。

浅黄裏(あさぎうら)田舎者の下級武士、という蔑称。