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虚空遍歴1の2 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴1の2 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は連載朗読3回目で、小説の1の2にあたります。

虚空遍歴1の2 主な登場人物

冲也・・・二十六歳、主人公。常磐津文字太夫の弟子で、武士を辞めて芸の道を進んでいる、

生田(富太夫)・・・冲也の幼なじみ。冲也を意識して芸の道に進んだが破門される。

新助・・・料亭「岡本」の主人。

お京・・・新助の娘。しもぶくれで無表情なくらい落ち着いて見え、どうかすると三つ四つも老けて見えることがある。産毛のような薄墨色のぼうぼう眉毛やちか目だそうで、いつも少し眩しそうに細めている眼つきや、ふっくらした受け口、いくらか鼻にかかったような声で一言ずつ辿るように物を言うところなどが町娘というより、相当な武家の奥ででも育ったような気品があった。

杵屋小十郎・・・長唄の師匠。

沢村宗十郎・・・四十五六、冲也の集まりに参加している役者。

市川八百蔵・・・三十がらみ、宗十郎と同じく集まりに参加している役者。

岩井半四郎・・・二十六歳、冲也と同じ年の役者。集まりに参加している。

お梅とおぺこ(おりう)お夏・・・岡本の給仕。

佐渡屋のお藤・・・生田の破門のもとになった女性。夫持ち。

伊佐太夫(十三蔵)・・・生田の代わりに出演する予定の芸人。

虚空遍歴1の2 あらすじ

冲也が駕籠に乗りながら読んでいたのは浄瑠璃の台本だった。幼なじみの生田との思い出が蘇り、彼の負けん気の強さと繊細さを思い出す。

生田はいつも冲也を越えようと努力し、家族を捨てて芸人の道に進んだが、その行動には複雑な感情が絡んでいた。彼の生き方は一貫して冲也を意識したものだった。冲也が到着したのは老舗の料亭「岡本」で、そこでは生田の破門の噂が流れる中、冲也は三味線の手直しを頼まれ、自らの芸を見せる。みなそれぞれの芸の道が交錯する中、冲也は静かに自分の道を進んでいく。

虚空遍歴アリアの感想と備忘録

老舗料亭「岡本」の場面は江戸の情緒が溢れ、冲也の現在の立場や彼を取り巻く人間関係がわかりやすく書かれてました。新助とお京のやり取りから冲也がいかに周囲から信頼されているか、他の芸人たちとの交流は、彼の芸の世界での位置づけが感じ取れました。

虚空遍歴1の3 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴 1の3 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「虚空遍歴」連載第4回です。

虚空遍歴1の3 あらすじ

冲也が三味線を静かに単純でゆったりと爪弾きで弾くと、八百蔵と宗十郎は感嘆し、もう一度聴かせてほしいと頼んだ。再度の演奏に満足した宗十郎は、冲也にこの曲を使わせてもらいちと頼み、冲也は快く承諾する。そして話は冲也が酒が飲めないことに及び、皆んなはそのことをからかうように笑う。そこにお夏がやってきてお京に何か囁きます。今の冲也の三味線を聴いた別室のお客が、冲也の唄をぜひ聴きたいので来てくれるようにとのことだった。周囲のものの勧めで渋々了承した冲也はその部屋で客である老人に対面すると、彼が平戸候という高貴な身分の隠居だということがわかる。老人は冲也の才能を認めてい、新しい唄を作るように求められるが、突然、廊下から騒がしい声が聞こえ、緊張が高まっていく。

虚空遍歴1の3 主な登場人物

八百蔵・・・冲也の演奏に感嘆し、彼を称賛する。

紀伊國屋宗十郎・・・冲也の曲が気に入り、使わせてほしいと頼む。

半四郎・・・昨夜のお祝いで冲也が無理矢理酒を飲ませれたことを知る人物。

伊佐太夫・・・別室の客に自分の曲を聴かせているが、実はその曲は冲也のもの。

虚空遍歴1の3 アリアの感想と備忘録

冲也の爪弾く三味線の場面が良かったです!お座敷で静かに始まったその演奏に聴きいる様子、またそれが隣の座敷にも聴こえてそこの客をも感動させる。宗十郎や八百蔵も彼の才能を強く感じさせますが、隠居した高貴な身分の老人が冲也の演奏に興味をを示す場面と彼の芸の価値がどれだけ高いかを強調されているようでした。そして新しい唄を求められた時の冲也の即応力と才能ぶりに感心しました!

幇間(幇間)・・・宴席などで酒宴の興を取り持つ男芸者など。太鼓持ち。

浅黄裏(あさぎうら)田舎者の下級武士、という蔑称。

 

虚空遍歴1の4 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴1の4 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は朗読連載第5回です。

虚空遍歴1の4 あらすじ

突然聞こえた自分を呼ぶ大声に伊佐太夫は驚きの表情を浮かべ、盃を口元へ運ぶ手が震え酒が袴の膝を濡らした。すぐに冲也は立ちあがろうとしたが、お京が静かに立っていった。静山老人はその声の意味を理解せず、芸妓たちに何かを命じ、幇間の一人に紙と筆を持たせて詩を書く。静山老人が書き終えた詩を受け取った冲也はその詩に思いを巡らせるがふしをつけることができず降参を告げる。冲也は、ふしをつけることができなかった自分に苛立ち、悔しさと無力感を感じる。元の座敷へ戻ると、半四郎が一人で酒を飲んでいた。冲也はお京に過去の思い出を語りつつ、今日の出来事に一本取られたと告白する。お京は彼の心に寄り添うように酒を注いだ。

虚空遍歴1の4 主な登場人物

静山老人(せいざん)・・・平戸候と呼ばれる老人。冲也に自分の書いた詩にふしをつけるように求める。冲也の降参を受け入れ、和やかに振る舞う。冲也の芸を評価し、気さくな面を見せる。

久六・・・幇間の一人。

お政とおしん・・・芸妓たち。

生田半二郎・・・騒ぎの発端となった人物。後で酔っ払って潰れてしまう。

八百蔵・・・迎えがあって先に帰ってしまう。

虚空遍歴1の4 アリアの感想と備忘録

静山老人から受け取った詩に曲をつけることができず、自分の限界を感じるところに彼の成長の一端を感じました。自分の未熟さを認める姿勢は誠実さと謙虚さ、そして内面の強さを表しているのですね!冲也が祖父との剣術を思い出し、当時の自分と今の自分を重ね合わせる場面は、過去の経験が現在にどう影響を与えるかということを考えました。彼の心にはそんなにも祖父の教えや思い出が根付いているのですね。この経験は冲也にとって試練でもあり、成長の糧となるでしょう。静山老人も若者の才能を引き出そうとする愛情と理解あっての物なのですね、自分の限界を受け入れること、謙虚さを持つことの大切さはいつの時代も変わらないのですね。

 

 

虚空遍歴1の5 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴1の5 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。1の5は半四郎と冲也の語りで描かれています。冲也の芸に対する情熱的な思いがしっかり伝わってきました。内容は、芝居と芸についての議論、新しい浄瑠璃の試み、役者と観客の関係、半四郎の懐疑的な視点です。

虚空遍歴1の5 主な登場人物

冲也・・・芸に対する深い情熱と新しい試みに挑戦しようと決意している。

半四郎・・・芸に対して真摯な思いを持つ役者。冲也の新しい試みに賛同しつつも、現実的な困難や、芸の世界の複雑さをよく理解している。

虚空遍歴1の5 あらすじ

冲也は、端唄から身を引き、新たな道を模索していることを半四郎に語る。冲也は新しい浄瑠璃を作る夢を語り、江戸芝居の現状を批判しつつ、新しい試みに挑戦しようとする決意を示します。冲也の情熱は、ただ観客を楽しませるだけではなく、もっと深い人間の感情に訴えかける芸を求めるものでした。そのために新しい浄瑠璃を作り出し、後世に残る仕事をしたいという願いを抱いていました。話を聞く半四郎もまた、芸に対する真摯な思いを抱いており、新しい試みに賛同します。しかし、現実的な困難や芸の世界の複雑さも理解しており、その思いを冲也に静かに語ります。

虚空遍歴1の5 アリアの感想と備忘録

1の5では、冲也の現状に満足せず、常に新しい挑戦を求める芸人としての強い決意が感じられました。彼の目標が、単に技術を磨くだけでなく、未来に残る仕事を成し遂げたいというところに深い感銘を受けました。彼の情熱は半四郎にも影響を与えますが、彼は芸の道が決して一筋縄ではいかないことを知っています。読みながら、芸とは何か、自分の信じる道を突き進むことの大切さを感じました。新しい可能性を模索する姿を見て、私も新しい

虚空遍歴1の6 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴1の6 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回の虚空遍歴1の6は生田半二郎の引き起こした問題です。緊張感のある場面をお楽しみください。

虚空遍歴1の6 主な登場人物

冲也・・・主人公。友人である生田半二郎の窮地を救おうとする。

生田半二郎・・・冲也の友人。浜屋のおつねと関係を持ち、トラブルに巻き込まれて逃げ込んでくる。

浜屋のおつね・・・生田半二郎と関係を持つ評判の悪い女。

浜屋の忠吉・・・おつねの夫で非常に嫉妬深い。おつねの相手の男をヤクザに襲わせたりする。

新助・・・岡本の主人、お京の父。長火鉢の前で棋譜を読んでいる。

おすみ・・・新助の妻、お京の母、冲也に酒を勧める。

由太夫(ゆうたゆう)・・・冲也を慕っている。常磐津を教えている。元は日本橋の瀬戸もの問屋の二男で、本名は幸次郎。

虚空遍歴1の6 あらすじ

冲也は内所へ行き、新助が棋譜を読む傍らで水を求める。話題は生田半二郎が浜屋のおつねという評判の悪い女と関係していると聞いて冲也は驚く。やがて新石町の家に返り血を浴びた生田半二郎が逃げ込んでくる。襲撃を受けた彼は、冲也の助けを借りて浜屋のおつねと一緒に江戸を抜け出そうとする。冲也は友を救うために着物と路用を貸す。

虚空遍歴1の6 アリアの感想と備忘録

生田半二郎のトラブルが明らかになって急に緊張感が増してきました!浜屋のおつねとの関係が問題視され、生田が襲撃されて逃げ込んできた時、冲也の友人への思いやりと決意が強く感じられました。冲也は生田の困難に対して冷静に対処し、友を救うために着物や路用を貸すだけでなく、生田の決意を尊重し、励ます姿が心に残りました。彼の「人間が本気でやることはそのままで立派だ」という言葉には冲也自身の信念が込められており、その人間性が浮き彫りにされたと思います。

髭を剃る場面、顔を洗い、風呂に入る、酒を酌み交わしながらの会話、駕籠に乗り降りする場面、浄瑠璃のことなど、江戸の風俗や人間模様も魅力的ですね!

 

 

 

 

虚空遍歴2の1 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴2の1 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回の虚空遍歴2の1は・・・冲也の実家について描かれています。彼の家での立場、どのような背景で家を出ることになったのか・・・ぜひ最後までご視聴ください!

虚空遍歴2の1 主な登場人物

冲也・・・祖父の七回忌の法要に出席するために寺に訪れる。

父(勘右衛門)・・・家督を長男に譲る予定。冲也の道を尊重しつつも家名を守る大切さを説く。

母・・・冲也に厳しい、複雑な感情を抱いている。

兄(祐二郎)・・・すでに家庭を持っている。みんなの期待に応えている。

弟(角三郎)・・・冲也に冷淡な態度を取り距離を置いている。

村瀬勇之助・・・冲也の母の実家の三男。冲也を芸人ふぜいと侮辱する。

お幸(ばあや)・・・法要に欠席するように助言する。

屋代忠兵衛・・・実家の家扶。

虚空遍歴 2の1 あらすじ

五月の中旬を過ぎたある日。冲也は祖父の七回忌の法要の知らせを受けて寺へ向かう。家を出てからも父から仕送りを受けているし、可愛がってくれた祖父への敬意から出席を決意したのだった。しかしその決意は彼に思わぬ波紋を呼び起こすことになる。

勇之助に芸人ふぜいと侮辱されて怒りを持つが、父にもっと仕事に誇りを持つべきだと諭される。冲也は父の言葉に心を打たれながらも祖父への想いと自身の選んだ道への確信が交錯し、静かに頭を垂れるのだった。

虚空遍歴2の1 アリアの感想と備忘録

家を出たにもかかわらず、祖父の法要に呼ばれれば出席するという冲也の姿勢に誠実さと責任感を感じました。それに対して家族の反応は、とりわけ勇之助の敵意、弟の冷淡な態度は冲也の立場の難しさを際立たせてましたね。。。のちに理由がわかることですが辛かったです。しかし父親だけは冲也を責めるのではなく、むしろ彼の進んだ道を尊重し、芸人として誇りを持つように説きました。その言葉に、冲也への深い愛情と理解が感じられました。親というものはありがたいものですね。父の見せた困惑と当惑の表情は、父としての複雑な心情がよく表れていましたし、冲也も父に心を動かされる様子がよく描かれてました。家名を大事にした武家の家族の個人の役割や立場がどのように影響し合うのか興味深かったです。

 

 

 

虚空遍歴2の2 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴2の2 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は虚空遍歴2の2、冲也は、法事での出来事に疲れ果て新石町の家に帰ってきます。実家のこと、乳母としてのお幸のこと、そして新たな芝居の話が語られます。どうぞ最後までご視聴ください。

虚空遍歴2の2 主な登場人物

冲也・・・家族との対立に苦しみながらも芸に真摯な姿勢を持っている。胸に深い疑念と悩みがある。

お幸(ばあや)・・・いつも冲也を慰め、励ます心優しい乳母。

由太夫・・・多町の稽古所で冲也に手紙を渡す。自身も芸事に携わる。

生田半二郎・・・手紙で生活の困窮を伝えてくる。

岩井半四郎・・・中村座の役者。冲也と親しく、信頼する人物。

宮古平内・・・扇屋で冲也と会う。座元で冲也にとって重要な存在。

虚空遍歴2の2 あらすじ

冲也は厳しい現実と対峙していた。「まいった、おやじにはまいったな」と呟く彼にお幸は茶を淹れ慰めの言葉をかける。その後、冲也は多町の稽古所へ向かい、由太夫から手紙を受け取る。それは生田半二郎からのもので、彼の困窮を伝えるものだった。彼は生田に同情し、将来を心配する。さらに冲也は、扇屋で岩井半四郎に会う。彼らは新しい芝居の話をしながら、次第に深い議論に発展する。冲也はこの芝居が自身の一生を決定づける大切な仕事だと感じ、失敗を恐れるのだった。

虚空遍歴2の2 アリアの感想と備忘録

祖父の法要に行ったことで、彼の抱える複雑な感情と成長の過程がよくわかりました。冲也の信念を貫こうとする姿勢と、心の中にある怒り、悔しさ、そしてその裏にある繊細な感情が丁寧に描かれていて良かったです。また、お幸の存在がいつも冲也の支えであり、この話に温かさを与えていますね。半四郎の存在もまた冲也にとって大きな支えとなり、彼の不安な気持ちや期待が入り混じった感情が伝わってきました。こうやって人は決意し、成長していくものなのですね。宮古平内との出会いも彼の運命的をどのように変えていくか気になります!

虚空遍歴2の3 山本周五郎 

【朗読】虚空遍歴2の3 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は2の3、冲也が夢うつつの中で自分の心の葛藤や困難に直面している様子が描かれています。新しい浄瑠璃を作り上げる意欲を抱いていますが、周囲の人々からあまり理解されない苦しみや孤独感などに苛まれていく・・・

虚空遍歴2の3 主な登場人物

冲也・・・新しい浄瑠璃を作ることに情熱を注いでいるが、周囲の批判や意見の対立に苦しむ。

杉沢治作・・・冲也にとって嫌な存在。芝居の制作過程で意見の食い違いがあり、冲也を苛立たせる。

宮古平内・・・初めは冲也を持ち上げていたが、のちに批判的な態度を取る。

お夏・・・料亭「岡本」の女中。冲也が体調を崩した時に世話を焼いて様子をうかがう。

お京・・・冲也を支える女性。冲也を介抱し彼に安らぎと希望を与える。冲也の精神的支えとなる人物。

そのほかに座元、松島屋、大和屋、立花屋など。

虚空遍歴2の3 あらすじ

冲也は夢と現実の狭間で自分の心と戦っていた。芝居の新作に情熱を注ぐ彼は、周囲の批判や意見の食い違いに悩み、孤独と不安に苛まれます。飲めない酒をあおり、体調を崩した冲也の心は、苦しみと後悔でいっぱいになるのでした。しかし目覚めた時、彼の周りには料亭岡本のお夏、そして支えてくれるお京がそばりおり、彼に安らぎと希望を与えます。お京の言葉によって芝居が順調に進んでいることを知って、冲也は再び自信を取り戻します。

虚空遍歴2の3 アリアの感想と備忘録

この章は、冲也の心の葛藤と再生の物語でした。真っ直ぐに浄瑠璃に打ち込みながら周囲の批判と意見の対立に苦しむ姿、すぐに酒に逃げ、自分の思いが理解されないことに絶望するところは、彼の心の弱さと同時に、ものを作る芸人の本質的な孤独を感じさせました。しかし目覚めた時に与えられたお京の優しさと支えで彼は再び自信を取り戻し、自分の夢に向かって進む勇気を得ます。この瞬間が彼の再生を象徴していたと思います。そして彼がどんなに苦しんでも、支えてくれる人の存在が希望の光になるのですね。どんな困難にも負けずに自分の信念を貫く大切さを感じた章でした。

 

虚空遍歴2の4 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴2の4 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、冲也とお京の関係が密になること、そして繁太夫との会話によって芸の世界について色々と語られます。

虚空遍歴2の4 主な登場人物

冲也・・・新しい浄瑠璃の節付けに挑戦する。常磐津の名前を借りずに独自の道を進むことを考えるが、大師匠への恩義を感じている。

由太夫・・・常磐津を教えている。階下で飲んでいる。繁太夫と一緒に冲也を訪ねてきた。

繁太夫・・・冲也の兄弟子。芸の世界の義理人情や、自分の信念を貫くこと、新しい浄瑠璃の節付けに意見する。

由太夫と一緒に来た二人の若者・・・22、3歳くらいの若旦那風。冲也を支援するという。

虚空遍歴2の4 あらすじ

お京が静かに部屋を出て行った後、冲也は甘やかにむれる夜具の中でまどろみます。彼の心には、上演が決まった芝居のことが浮かび、事が順調に運びすぎたことで生じた不安が、まるで夢のように感じられます。その後、階下で飲んでいた由太夫や繁太夫と話しますが、繁太夫は彼に対して、義理や人情といった世間のしがらみを超えて真の芸を追求すべきだと熱く語ります。その言葉に冲也は、大師匠に恩義を感じながらも自らの芸を磨く大切さを再認識するのでした。

虚空遍歴 アリアの感想と備忘録

何かを成し遂げようとする芸人の心の揺れ動きが微細に描かれていて共感することができました。特にまどろみの場面は、芸の道における重圧と共に、彼の内面の深い部分を覗くようで、冲也の人間らしさを垣間見ました。繁太夫の言葉は一見厳しいけれども、冲也への深い理解と敬意が感じられました。冲也の新しい浄瑠璃の節付けを試みる中で、自分自身の信念を見つける様子は、読んでいる人に大きな励ましになるのではないでしょうか。お京の存在も冲也の直面する困難を和らげるでしょう。

虚空遍歴2の5 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴2の5 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、常磐津の繁太夫が、冲也に新しい道を模索するように促します。そして冲也の内心の葛藤が描かれています。

虚空遍歴2の5 主な登場人物

冲也・・・芸の道を志しているが、侍としての気質や義理に縛られています。

繁太夫・・・冲也の自立と成長を願って、新しい芸風を模索するよう促します。

由太夫・・・冲也を支え、彼のそばに寄り添おうとします。

次郎・・・繁太夫の連れの若者の一人。大きな商家の息子で、冲也を支援したいと申し出る。

正吉・・・繁太夫のもう一人の連れの若者。やはり大きな商家の息子で、冲也の芸に惚れ込んでいる。

虚空遍歴2の5 あらすじ

冲也は、繁太夫との対話を通じて、彼自身の侍気質や芸の道への葛藤を突きつけられます。繁太夫は彼に新しい芸風「冲也ぶし」を模索するように促しながらも、冲也は過去の経験や義理に縛られ、新たな一歩を踏み出すことに躊躇しています。

一方お京は、冲也に対する長年の想いを静かに告白し、優しい微笑みと穏やかな言葉で彼の心を和らげ、冲也にとって大切な存在であることを再確認させます。繁太夫の厳しい言葉とお京の優しさに支えられながら、冲也は芸の道においても、人生においても、新たな一歩を踏み出す決意を固めるのでした。

虚空遍歴2の5 アリアの感想と備忘録

冲也と繁太夫のやり取りに、芸の真髄や侍気質について考えさせられました。八千石の武家で育った冲也は、やはりその誇りと義理に縛られた中で、常磐津から自分の芸を模索しています。その姿は現状に安住しがちな、変化を好まない私たちの姿とも重なって共感しました。そしてお京との関係で、冲也は自分の感情と向き合い、心の中にある不安や葛藤を少しづつ解消して行きました。お京の存在が冲也の心の拠り所であり、彼の成長を支えるのですね。芸の道は一筋縄ではいかないでしょうから、外部の評価や伝統にとらわれることなく、自分の信念を貫くことは難しいでしょうね。でも冲也には「そこを超えてぜひがんばってもらいたい!」と思いました。