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虚空遍歴 11の2 山本周五郎 

【朗読】虚空遍歴 11の2 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、おけいと別れて金沢に向かった冲也は、途中古戦場である賤ヶ岳へ立ち寄り、旅の絵師と出会います。その絵師との宿の出来事が描かれています。旅の中で色んな人と出会って経験を積む冲也、応援しています!

虚空遍歴 11の2 主な登場人物

矢島濤石(やじまとうせき)・・・旅絵師。賤ヶ岳で冲也を見かけ、一緒に行こうとついてくる。酒癖が悪い。

女中・・・濤石の振る舞いに困りながらも冲也の指示に従い、彼の世話を焼く。

松島屋(片岡仁左衛門)・・・冲也に江戸の元柳橋、岡本からの多額な金を届ける。おけいとも昔何度も会ったことがある。冲也に金沢へ行くことを勧める。

虚空遍歴 11の2 あらすじ

冲也は賤ヶ岳で出会った旅絵師、濤石とのことを思い出していた。彼は無理矢理な態度で酒をねだり、翌朝はさらに厄介な存在となり、他の宿泊客たちにも迷惑をかけていた。雨で宿は満室であり、他の部屋に移すこともできないため、宿も困っていた。冲也は宿のものに、金は出すから濤石を別の宿に変えてもらいたいと云う。その対応に怒りを募らせた濤石は冲也に暴言を吐き、手を出す。しかし冲也は冷静に対処し、濤石の罵声を背に冲也は静かに宿を後にするのでした。

虚空遍歴 11の2 アリアの感想と備忘録

冲也の酒癖が悪い濤石に対する態度は冷静で一貫していました。相手にならないのが一番と云うことでしょうか。そして時々思い出す昔の江戸でのこと、元柳橋の岡本でのこと、伊佐太夫とのやりとり、お京のこと。そしておけいのこと。別れにおけいに渡したはずの金が全部自分の両掛けに入っていたこと。彼女の行動や真意を理解できない冲也の戸惑いがよく伝わってきました。これは愛情とか献身でしょうか。おけいの冲也に対する愛情は、彼に会ったら自分自身に会うようでありと云ってましたが、まさに何の見返りも求めずに尽くす姿に心打たれます。

 

虚空遍歴 11の4 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴 11の4  山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。このネタバレブログは、あらすじ迷子になった方や、あらすじだけ知りたい方向けに書いています。アリアは、ドラマや長編ものを見るときには必ず大体のあらすじをチェックする派です。皆さんはいかがですか?Youtubeのコメント欄で教えていただけると嬉しいです!今回は、またまた冲也が新たな経験をする場面です。大身のお坊ちゃんで世間知らずだった冲也が、色々な体験を通じてどのように浄瑠璃に生かしていくのか楽しみです。

虚空遍歴  11の4  あらすじ

冲也は夢と現実の狭間で目覚め、誰かが夜具に忍び込んで彼を抱きしめているのを感じた。女性の声が耳元で囁き、二人は次第に体を重ねていきます。冲也は心に悲しみを感じながら、若い男女が一緒にいることの自然さを思い出します。

突如、襖が荒々しく開かれ、一人の男が匕首を持って現れます。男は冲也を非難し、女は自分から押しかけたと云います。男は何の目的があって部屋に現れたのでしょうか。

虚空遍歴 11の4 主な登場人物

女中・・・冲也の部屋の担当女中。彼の夜具の中に忍び込み、彼を抱きしめて誘惑する。

男・・・女中の夫。匕首を持って冲也を非難しに来る。冲也を脅迫するが・・・。

虚空遍歴 11の4 アリアの感想と備忘録

冲也は、女性の誘惑を受け入れながら、心の中では深い悲しみを感じています。頭の中で、おけいとの間になにも起こらなかったこと、おけいも自身もそんな気持ちにならなかったことを振り返ります。冲也は二人の関係に違和感を感じているのでしょうか。生田半二郎に言われるまで思いもよらなかったのに、冲也は創作活動に人生の全てを注ぎ込んだことを思い出して自らの弱さを痛感します。冲也の内観の葛藤がこの物語の核心ですね。行ったり戻ったり、自信を持ったり失ったり人間らしさと脆さがとてもいいです。夜中に乗り込んできた男は、追い詰められた人ですが、江戸にあのまま居続けたらその人たちを知ることもできなかった、と思うのも冲也らしいなと思いました。八千石の大身の二男に生まれ、何不自由なく生きていても幸せとは限らないのですね。お読みいただきありがとうございました。ご視聴いただいた感想などYoutubeのコメント欄にいただけると幸いです。

虚空遍歴 12の1 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴 12の1 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、道の途中で高熱に倒れた冲也と、絵師の濤石の対話が書かれています。どちらも芸の道を追求する孤独な人間です。心のすれ違いがよく描かれていると思います。

虚空遍歴 12の1 主な登場人物

冲也・・・高熱を出して寝込んでいる。自分の将来について悩み、早い旅立ちを決意しているが、肉体が完全に回復していない。

濤石(とうせき)・・・絵師。冲也も泊まる宿の襖絵を描くように宿の主人に頼まれている。

おけい・・・女関所で冲也に見つかる。

虚空遍歴 12の1 あらすじ

女関所でおけいを見つけて一緒に歩き出すが、高熱を出して、雪道に膝をついて動けなくなってしまう。宿で寝込むが、宿の主人に襖絵を描くよう依頼された濤石が、自分が襖絵を描く間はこの宿にいて欲しいと頼みます。しかし冲也は自分の浄瑠璃、冲也ぶしを完成させるために先を急いでいるため、それを拒みます。彼は自分の孤独な生き方を語ります。

 

 

虚空遍歴 13の2 13の3 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴 13の2と13の3 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、無仏と別れて早朝旅立つ二人から始まります。やっと病気も治って金沢へ向けて出発です!歩いていく野山や川の描写がとても美しいです。最後までごゆっくりお楽しみください。

虚空遍歴 13の2と13の3 主な登場人物

松島千蔵・・・金沢の役者。冲也の作品を知っており、彼に会いたいと希望する。冲也にとって新しい地での出会いの一つであり、今後の展開に影響を与えそうな人物。

年増芸妓・・・冲也とおけいが泊まった宿にいる芸妓で、冲也を知っていた過去があり、彼と千蔵を引き合わせる。

虚空遍歴 13の2と13の3 あらすじ

霧深い朝、冲也とおけいは寂しげな情景の中、旅路に出ます。冲也は川の音に魅了され、ここが彼の故郷のようだと呟きます。その後、立ち寄った茶屋で供養を頼まれ、無名の旅人が悲しい最期を遂げた話を聞きます。冲也は過去を振り返りながらも、未来に向けて決意を新たにしようとしています。しかし彼の心にはまだ過去の影が重く残り、彼の抱える内なる葛藤が漂います。冲也は、新たな土地での成功を夢見ていますが、その道は険しく、彼の不安は絶えず募っていきます。

虚空遍歴 13の2と13の3 アリアの感想と備忘録

旅立ちの場面で、冲也が「おれに故郷と言うものがあるとすれば、ここがそうだという気がするんだ」と言うのですが、それは元柳橋の岡本で周りの者にちやほやされていた頃の自分や、将来を期待されていた過去の自分とは無縁の場所で、彼が初めて自分自身と向き合う安らぎを感じた瞬間を垣間見たように思いました。でもその静かな感情の裏には、自分がこれからどうなるのかという深い不安が隠されていて、全体に暗い影を落としていると思いました。おけいも京都で門付けをしていたのを知っていて驚きました。まるで幼子を見守る母親のようです。冲也もこれには驚いたようでしたが、アリアもびっくりしました!

 

虚空遍歴 13の5 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴 13の5 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は少し緊張が緩んだ話で一息落ち着くことができました!山中ぶしの師匠菊五郎を部屋に呼ぶところから始まります。お菊とおけいの女子会も楽しそうです!ではどうぞ。

虚空遍歴 13の5 主な登場人物

冲也とおけい

菊五郎(お菊)・・・三十がらみの山中ふしを教える師匠格。上背がたっぷりしていて肉付きも程よく、おもながの白粉けのない顔に細いけれども濃い眉と涼しい目とに色気が表れている。媚びでもない、その年頃の女から自然ににじみでる色気がある。

虚空遍歴 13の5 あらすじ

温泉宿が賑わう初夏の山中で、浄瑠璃の仕上げにかかる冲也とおけいは、ある晩おけいの望みで、山中ぶしの師匠、菊五郎を部屋に呼んで歌ってもらうことにします。菊五郎は少ししゃがれた声で情感たっぷりに歌い、おけいと冲也の心を動かされます。冲也はその夜、過去のお京との思い出に浸り、遠い異国にでもいるかのような感傷的な気持ちに包まれます。一方おけいとお菊との間には次第に友情が芽生え、彼女たちの会話は互いの人生の悲しみやびを分かち合う場となります。お菊は忘れられない男の話をし、おけいと冲也を羨むが、おけいは冲也との関係は語りませんでした。

虚空遍歴 13の5 アリアの感想と備忘録

今回は、派手な展開があるわけではなかったけれど、三人の内面や細やかな感情の動きがじっくりと描かれていて引き込まれました。冲也の寡黙さとおけいとの微妙な距離感がなんとも言えない雰囲気を醸し出しています。またお菊が過去の男を引きずっている様子や、おけいとの友情が芽生えたこともリアルに共感できる部分が多かったです。雨音や川の音も寂しさや孤独感と共に描かれていて、まるでその場にいるような臨場感がありました。不思議な余韻が残る章です。

 

 

虚空遍歴 独白 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴1 山本周五郎 読み手 アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎の長編小説「虚空遍歴」です。この作品は昭和36年から2年間、小説新潮に連載された晩年に執筆されました。主人公が芸の道に生きる姿に作者の姿が重なって胸いっぱいになる感動作品です。ぜひ最後までお楽しみください。第1回は「独白」です。

虚空遍歴 連載第1回 主な登場人物

あたし(おけい)・・・21歳。松廼家のじつの娘。芸妓。色好みな性分で13歳で男を知り16歳であの方の三味線を聴いてから人間が変わる。

あの方・・・端唄の名人。誰にでもどこでも歌われている。

 

虚空遍歴 連載第1回 あらすじ

十六歳の秋、初めて耳にした「雪の夜道」の端唄、それは心を震わせ体が透明になるような感動をもたらした。柳橋の万清で山五さまのお座敷での出来事だった。幼い頃から色恋への興味を隠しきれなかったあたし。その性分は芸妓としての生活においても、周囲の驚きや反感を呼び起こしていた。しかしあたしは自分の欲望に忠実であり、好奇心の赴くままに行動した。

やがて十八歳の秋、西村さんに囲われる身となり、贅沢で自由な日々を過ごすようになった。彼は祖父のような年齢差のある人だったが、不思議と苦痛は感じなかった。そんなあたしの心の支えとなっていたのは、あの方の三味線の音色だった。どんな時でもその音が聴こえると心が静まり、他のことはどうでもよくなった。

 

 

 

虚空遍歴 独白2 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴 独白2 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、おけいの独白2回目です。この独白がこの話の随所に挟まれていて、物語をグッと引き立てています。今回も、現在の旦那である竹島与兵衛についての描写と、彼女の心の中で特別な存在である「あの方」についての思い出が綴られています。

虚空遍歴 独白2 主な登場人物

おけい(語り手)・・・現在は竹島与兵衛に囲われている。あの方に強い思慕と敬愛を抱いている。

あの方・・・八千石の旗本の家に生まれる。家の事情が複雑で兄弟がいる。芝居や芸事に熱中し、家を出て新しい人生を歩んでいる。

竹島与兵衛・・・現在のおけいの旦那、隠居しているが、政治向きの仕事に関わることもある。性格は静かで穏やかだが怒ると怖い。

あの方の家族・・・父親はあの方を非常に可愛がる。母親は厳しい人で、あの方を厳しく扱った。祐二郎(兄)は異母兄弟。祖父(勘也)は派手な遊びをし、芝居の桟敷を買い切っていた。

お京さん・・・岡本の綺麗な一人娘で、あの方に尽くしている。周囲からはあの方の妻になると信じられている。

虚空遍歴 独白2 アリアの感想と備忘録

おけいの内面が繊細な描写で描かれていて、彼女の複雑な身の上を語りながらも、心の奥底であの方に対する深い愛情と憧れ、そして現実と空想の間で揺れ動く心の動きの描き方が素晴らしいと思いました。あの方の三味線の音色や唄声を心の中で聴き続ける場面は、おけいの中のあの方の存在感が大きなものだっということがわかります。また旦那である竹島与兵衛に見せるおけいの微妙な距離感と心の揺らぎは、囲いものとして生きる中で感じる義理や情、そして自分の存在意義についての葛藤などを感じました。

虚空遍歴 独白3 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴 独白3 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回はおけいの独白3です。おけいの人間関係や心情の変化、内面が細かく描かれています。彼女の母親の死後の生活の変化や、現在の旦那との複雑な関係、そして過去の出来事が混ざり合った心の葛藤が浮き彫りにされます。最後までお聴きください。

虚空遍歴 独白3 主な登場人物

おけい・・・母親が亡くなって心身とも疲弊している。新しい旦那との関係にも苦しんでいる。芸妓としての経験があり、お金に執着しない生き方を心がけている。

竹島与兵衛・・・おけいの新しい旦那。自分の身元を隠し、おけいにも本名や背景を明かさない。おけいには生活の細部に干渉し、束縛しようとしている。

吉原藤次郎・・・竹島さんの家来で、彼の指示でおけいを試そうとする。見た目は少年らしさの残った温和な性格。竹島さんの命令に忠実で、おけいを試す。

おけいの母親・・・すでに亡くなっているが、物質やお金に執着しない生き方を貫いていた。おけいに対して「形のあるものは頼みにならない」と教える。

久吉姐さん(おはつ)・・・おけいの姉のような存在。おけいの母の死後、松廼家をおけいから高額で買い取って継いだ。蔵前の旦那との関係が続いている。

蔵前の旦那・・・久吉姐さんの旦那。欲のないおけいを笑い、松廼家を売った金を自分が預かって利稼ぎをしてやろうと提案する。

虚空遍歴 独白3 あらすじ

おけいは母親の死後、心身ともに疲弊して人生のバランスを失ってしまいます。金銭や物質的なものに執着しない生き方を心がけているが、現実の生活は複雑で厳しいものです。新しい旦那の竹島さんは、彼女の心や生活の細部にまで干渉して彼女の自由を奪おうとします。そんな中、おけいは芝居の世界に救いを見出し、特に冲也の「青柳恋苧環」という芝居の浄瑠璃に魅了されます。

 

 

虚空遍歴 独白7 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴 独白7 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、おけいの独白7回目です。この独白で話の全体がよく理解できます!おけいから見て、冲也にとって浄瑠璃が彼の命そのものであること、高熱の中でも浄瑠璃を口ずさむ姿は、彼の情熱と執念がどれほど深いかを感じさせてくれました。どうぞ最後までご視聴ください。

虚空遍歴 独白7 主な登場人物

おけい・・・旅の途中で色々な人と出会い、陰から冲也を守っている。

冲也・・・高熱で意識不明となり、医者の治兵衛に看病されている。

吉原藤次郎・・・冲也を付け狙う侍。二人の侍と共に天龍川の渡し場で襲撃を計画している。

疋田京之助・・・吉原藤次郎と共に冲也を狙う侍。

徳平・・・おけいが大阪まで共をしてもらうために雇った親切な老人。何かと助言や手助けをしてくれる。

大谷小十郎・・・番所の役人。おけいの相談に乗り、協力を惜しまずに手配をしてくれる。

与六・・・冲也が倒れた時に最初に運ばれた貧しい家の主人。

治兵衛・・・三代つづく医者。皮肉屋であり、自分のことをヘボ医者だと言う。

久吉姐さん・・・江戸から手紙を送ってき、都座の芝居の大当たりなど江戸の消息を伝えてきた。

小菊・・・おけいの昔の友人。陽気で踊りが上手だったが、客と心中してしまった。

虚空遍歴 独白7 あらすじ

あの方が治兵衛という医者の家に引き取られてから7日が過ぎ、雨は止むことなく降り続いている。わたしは旅の途中で密かにあの方を狙う吉原藤次郎と二人の侍が天竜川の渡し場で襲撃を計画しているのを知り、徳平の助言で番所の大谷小十郎の協力を得ることができた。しかしあの方は渡し場で倒れてしまい、与六さんの家で治療を受けることになったのでした。未来の不安は消えませんが、高熱にうなされながらも浄瑠璃を口ずさむあの方の姿に、彼の命そのものが浄瑠璃であることを示していました。

虚空遍歴 独白7 アリアの感想と備忘録

自分のことは置いて、冲也中心に生きるおけいの姿に色々な愛の形があるのだなと思いました。冲也もそろそろ気付きかけていますが、おけいの存在がいつも彼の大きな支えになっていて、今回も、医療の限界を感じながらその中で最善を尽くす姿に感動を覚えました。雨にけぶる景色の中で、あの方と自分の行く末に想いを馳せる場面には、旅の厳しさと共に、人間の強さも感じることができました。

虚空遍歴 13の1 山本周五郎

【朗読】虚空遍歴 13の1 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、倒れた冲也の治療をした蘭方医でもある僧侶、無仏との会話です。ちょっと無仏を鬱陶しがっている冲也と、それをハラハラしながら見守るおけいが好ましいです。それぞれの立場から「人間らしさ」「自由」そして「芸術の本質」などが語られます!最後までごゆっくりご視聴ください。

虚空遍歴13の1 主な登場人物

冲也・・・彼は人間の感情や葛藤、弱さを大切にしていて、迷いや悩みを含めた人間らしさを追求することが、自分の芸術の本質だと考えています。悟りや解脱を説く無仏の考えに反発し、自分の道を見つけようとしています。

無仏・・・冲也の治療をした蘭方医でもある僧侶。冲也の才能を高く評価し、彼に対して人間が本当に自由になるためには、あらゆる執着を捨てるべきだと説きます。芸術においても同じで、全ての迷いを超越することで表現が可能になると考えています。

虚空遍歴 13の1 あらすじ

冲也の部屋で酒を飲みながら話す無仏と、うんざりしながら話に付き合う冲也の様子が描かれています。話は自由と人間らしさ、そして芸術の本質をめぐる深い対話です。無仏は彼に、あらゆる絆や欲望、迷いを捨てて悟りの境地に至べきと説きます。しかし冲也は反発し、迷いや苦しみ、恐怖、そして人間の弱さこそが自分にとって大切だと主張します。彼はこれらの感情や葛藤こそが人間を真に生き生きとさせ、芸術を生み出す源だと考えています。無仏が預かっていた濤石の絵を見た冲也は、一枚の絵に深い感銘を受けます。その絵は一見すると単純な岩の描写ですが、その背後にある深い計算と表現力に心を動かされます。自分の中に新たな情熱を感じます。

虚空遍歴 アリアの感想と備忘録

冲也と無仏の対立は、私たちが日常生活の中で感じる「迷い」や「葛藤」にも通じるものがあります。生きていく中で私たちは常に選択し、時には自分の感情や欲望と反対のことを選ぶこともあります。無仏のように、全てを超越して平静を保つことが理想とされることもありますが、冲也のように、迷いや悩みを抱えながらも、それを大切にし、自分の生き方や表現に反映させていくこともまた一つの真実ではないかと感じました。特に印象に残ったのは、冲也が「死を恐れる」気持ちを大切にすると語ったところです。死の恐怖から解放されることが理想とされそうですが、彼はその恐怖を自分の中に抱えて、それを糧にして生きる決意を示しました。これは人間の弱さを認めて、それを乗り越えようとするのではなく、受け入れて生きていく強さを感じさせました。まさに芸を追求していく冲也の強さですね。