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落武者日記 山本周五郎

【朗読】落武者日記 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「落武者日記」です。この作品は昭和16年、講談雑誌に掲載されました。石田三成の家臣、大畑祐八郎と田ノ口義兵衛は、関ヶ原の敗戦から三日、追及の手のきびしい関東軍の網の目のように張られた手配りの中を夜も日もなく逃げ回っていた。その神経は野獣の本能よりも鋭く危険をかぎつけることに慣れていた。主君を見失い、行方もわからない。二人は佐和山の城へ入って最後のひと合戦に駆けつけるつもりだった。しかし・・・すでに井伊、脇坂、小早川の軍勢がせめかかり落城していた。

落武者日記 主な登場人物

大畑祐八郎・・・石田三成の家臣、関ヶ原の合戦の最中、金吾中納言の裏切りの軍勢が味方の側面へなだれ込むのを見る。

まつ・・・農家の娘。怪我をしている祐八郎を助けて家にかくまう。

金吾中納言・・・小早川秀秋、備前国岡山城主。関ケ原の戦いで徳川家康の東軍に寝がえり、豊臣家衰退の契機を作った。

 

落武者日記 覚え書き

胸膜(きょうまく)・・・肺を二重に包む膜。肺と胸郭の内側を覆う膜の事。

人馬(じんば)・・・人と馬。

響音(きょうおん)・・・響く音。

山野(さんや)・・・山や野原。

震撼(しんかん)・・・ふるい動かすこと。

穂波(ほなみ)・・・稲や麦などの穂が風になびいて波のように見えること。

分水嶺(ぶんすいれい)・・・物事の方向性が決まる分かれ目のたとえ。

義軍(ぎぐん)・・・正義のために起こす戦。

一敗地(いっぱいち)・・・再び立ち上がれないほどに大敗すること。

先途(せんど)・・・運命の大事な分かれ目。

落人(おちゅうど)・・・戦乱で敗者として逃亡する武士。

雑作(ぞうさ)・・・手間やめんどう。

 

 

蕗問答 山本周五郎 

【朗読】蕗問答 山本周五郎 読み手 アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「蕗問答」(昭和15年)です。この話に出てくる大きな蕗は、秋田に自生していたアキタブキで、葉柄が1m~2m、葉の直径は1.5mになる食用です。秋田藩主の佐竹義和のエピソードに、江戸でこの傘代わりにもなる蕗を自慢したところ、他の藩主から信じてもらえなかった。そこで藩主の名誉のために領民は山野を捜索して二本の巨大蕗を江戸に運び、藩主の名誉を回復したというのがあります。(wikipediaより引用)「蕗問答」は、このエピソードがもとになったのでしょうか。

蕗問答 主な登場人物

寒森新九郎・・・年寄役筆頭。彼の物忘れはずばぬけたもので、忘れ寒森と云われるほど有名であった。

佐竹義敦・・・秋田藩主。悪戯で新九郎と浪江のなかだちをする。

浪江・・・二十六歳の醜女。「おこぜ」と呼ばれているが、健康な体と怜悧な頭を持ち、家政の打開を始める。

蕗問答 あらすじ

秋田の大きな蕗は、もっとも大きいもので茎の太さ二尺周り、全長一丈を越えるほどである。秋田藩主・義敦は、江戸城で諸侯の大名に国産の蕗の話を持ち出したが信じてもらえず、一座の諸侯にてんから笑殺されてしまう。そこで義敦は、「秋田蕗の最も大きなものを十本、葉つきのまま至急に取集めて送れ。」という墨付きの上意を早馬の使者を出す。その事情を聞いた年寄役筆頭の寒森新九郎は、「それは怪しからぬ。」と眼を剥き、江戸まで諫言に向かった。しかし途中まで来て新九郎は、諫言の仔細を忘れてしまったのである。

アリア
出てきた植物は「秋田蕗」でした。雨のシーンはなかったよ!

蕗問答 覚え書き

閑職(かんしょく)・・・仕事の暇な職務。重要でない職務。

顕要(けんよう)・・・地位は高くて重要なこと。また、そのさま。

明敏(めいびん)・・・頭の働きが鋭いこと。物事の要点や本質をすばやくさとること。

才気縦横(さいきじゅうおう)・・・才能にあふれていること。

圭角(けいかく)・・・性格や言動にかどがあって円満でないこと。

健忘(けんぼう)・・・よく物忘れすること。忘れっぽいこと。

笑殺(しょうさつ)・・・大いに笑わせること。また、あざ笑うこと。

折柄(おりから)・・・ちょうどその時。

諫言(かんげん)・・・目上の人の過失などを指摘して忠告すること。

逼迫(ひっぱく)・・・行き詰まって余裕のなくなること。

喫急(きっきゅう)・・・差し迫っていて重要なこと。

凡眼(ぼんがん)・・・凡人の目、平凡な眼識。

寸善尺魔(すんぜんしゃくま)・・・小さな善と大きな魔。世の中にはよいことはほんの少ししかなく、悪いことのほうがずっと多いこと

怜悧(れいり)・・・賢いこと。利口なこと。

不如意(ふにょい)・・・経済的に苦しいこと。また、そのさま。

 

蕭々十三年 山本周五郎

【朗読】蕭々十三年 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「蕭々十三年」です。この作品は、昭和17年新国民に掲載されました。武家もの、主従ものです。人付き合いもせず、ご奉公一筋の半九郎が行き過ぎた奉公ぶりで暇を出されてしまい…自分が自分がと我を張るのは今も昔もよくないことなのですね。

蕭々十三年 主な登場人物

天野半九郎・・・水野監物忠善の家臣。大小姓役。全てにおいて「殿の御ため!」と思い行動して周りが見えなくなるタイプ。

水野監物忠善・・・岡崎藩主。

 

薊 山本周五郎

【朗読】薊 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「薊」です。(昭和34年)加川銕太郎は妻ゆきをとの夫婦生活がうまくいっていませんでした。誰の眼にも二人は平安な生活をしているように見えるし、ゆきをは妻としての役割を立派に果たしていましたが、銕太郎には妻ゆきをの本心をつかむことができないと思い悩んでいました。ゆきをは昔から、家中の娘たちのあこがれのまとで、「あざみの花」という仇名がありました。藩士の岡野が云うには、「薊には棘があって、妹もほかの娘も傷ついた娘がかなりいる」ということだった。この作品はゆきをとの会話は過去、佐久馬とは現在と過去と現在が交互に書かれているので読んでいて全体が、不思議な幻想的な感じがしました。

 

薊 主な登場人物

加川銕太郎・・・御側用人。誰の眼にも二人は平安な夫婦に見えるが、銕太郎は妻の本心が分からず、本当のお前を見、本当のお前と語り、本当のお前と触れ合いたいと思っている。

ゆきを・・・銕太郎の妻。乙女の頃から薊の花が好きで、着物や帯などに染めさせていた。やや大柄で胸乳や腰は小さいほうだった。小さいけど固い乳房、すんなりと少年のようにのびやかな腰の線は艶めかしいというより匂やかですがすがしい感じだった。

加川佐久馬・・・銕太郎の弟。

岡野弥三郎・・・ゆきをの噂を銕太郎に伝える。

薊 覚え書き

片明かり(かたあかり)・・・ほのかなあかり。うすあかり。

ほほける・・・草や髪の毛がほつれ乱れる。

好色本・・・遊里などにおける好色生活を主題としたもの。

母堂(ぼどう)・・・他人の母を敬っていう語。

新律(しんりつ)・・・新しく制定された法律。

借覧(しゃくらん)・・・書物などを借りて読むこと。

うまずめ・・・子供のできない女。

掻巻(かいまき)・・・袖のついた着物状の寝具、防寒着のこと。

まろ寝・・・衣服を着たまま寝ること。

書肆(しょし)・・・書物を出版したり売ったりする店。

故実(こじつ)・・・昔の儀式、法制、作法などの決まりや習わし。

数寄者(すきもの)・・・物好きな人。好事家。

猿戸(さるど)・・・庭園の入り口などに用いる簡素な木戸。

形骸(けいがい)・・・精神や生命を別にした躰、むくろ。

不決断(ふけつだん)・・・心を決めかねて物事を定めないこと。

 

 

 

藤次郎の恋 山本周五郎

【朗読】藤次郎の恋 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「藤次郎の恋」です。この作品は昭和13年キングに掲載されました。幼い頃からの親友、成瀬藤次郎はおっとりとして控えめな性質、島崎数馬は美男で鋭い才気を持ち挙措動作も際立っていた。しかし一年前から酒の味を覚えて酔っては乱暴するので城下の者に泥亀と呼ばれていた。ある日藤次郎は、密かに想いを寄せる「河本道場のひなげし」小浪に呼び出され、ある頼み事をされる。(墓地に呼び出すんですが私なら墓地はいやだな・・・。でも墓地や寺に呼び出すんですよね。)

藤次郎の恋 主な登場人物

成瀬藤次郎・・・人一倍気が弱いが、河本道場五人組の中で一番の腕利き。密かに小浪に想いを寄せている。

島崎数馬・・・藤次郎の親友。河本道場五人組の中で一番の美男。小浪に想いを寄せている。

小浪・・・河本勘右衛門の一人娘。「河本道場のひなげし」と呼ばれる美しい娘。

河本勘右衛門・・・道場主、小浪の父。総試合で勝ちぬいた者と小浪を娶らせるという。

藤次郎の恋 覚え書き

泥亀(どろがめ)・・・すっぽん

鐘馗(しょうき)・・・中国で疫病神を追い払い魔を除くといわれる神。

幽鬼(ゆうき)・・・ばけもの、妖怪。

裂ぱく(れっぱく)・・・きぬを引き裂くような音。

甦生(そせい)・・・よみがえること。

粗傲(そごう)・・・おごり高ぶること。

亀鑑(きかん)・・・行動や判断の基準となるもの。

 

 

 

 

 

蘭 山本周五郎

【朗読】蘭 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「蘭」です。同じ老職の家柄で、その父親たちのまじわりを受け継いで、幼い頃から水と魚、花と蝶と呼ばれて育った生之助と平三郎。藩校での成績もそろって群を抜き、十二歳の時から五年、一緒に江戸へ行って昌平黌で学んだ。主君能登守正陟は、二人の質と二人の能力を合わせたところに嘱望していた。しかし年頃になって、二人の前に中原松子が現れてから・・・

蘭 主な登場人物

須川生之助・・・寒蘭を今年こそ咲かせようと庭で育てている。松子をひそかに想っている。

黒沢平三郎・・・生之助の親友、松子を嫁にもらいたいと生之助に言う。

中原松子・・・父母を失くしてから、須川家で育つ。

脇屋藤六・・・老職の子、我儘で乱暴者。

蘭 覚え書き

蒼茫(そうぼう)・・・見渡す限り青々として広いさま

樹下(じゅか)・・・樹木の下。

渺々(びょうびょう)・・・水面などが限りなく広がっていくさま。

嘱望(しょくぼう)・・・人の前途、生来に望みをかけること。

慷慨(こうがい)・・・世間の悪しき風潮や社会の不正などを怒り嘆くこと。

暴戻(ぼうれい)・・・荒々しく道理に反する行いをすること。

妄執(もうしゅう)・・・執着、成仏をさまたげる執念。

穏健(おんけん)・・・考え方や言動が穏やかでゆきすぎがなく、しっかりしていること。

淵源(えんげん)・・・物事の起こり基づくこと。

 

 

 

 

虎を怖るる武士 山本周五郎

【朗読】虎を怖るる武士 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「虎を怖るる武士」です。この作品は、昭和10年キングに掲載されました。主人公の深井吉之介は、六尺ゆたかの偉丈夫で二十五歳なのに未だ前髪立ちで派手な大振袖だった。彼は十二歳で小姓に上がったが、ひどく主君雅典の気に入った結果、「吉之介はいつまでも小姓として側に仕えよ、予が吉之介の前に両手をついて謝ったという時がくるまで、その前髪をおろすことならんぞ。」というお沙汰がでたのであった。ちょっと読み始めたら最後まで一気に読んでしまいました!主君に堂々と「うへっ、虎は怖い。」と云って家中の評判は下がるものの、伊達政宗との知恵比べで家宝の名笛を取り返したり、友情があったり、従妹との恋があったり読後爽やかでございました。是非最後まで聴いてください。

虎を怖るる武士 主な登場人物

深井吉之介・・・二十五歳。色白で眼涼しく六尺(180㎝)の偉丈夫で前髪立ち。派手な大振袖で初めて見るものは奇異の目を見張る。しかし性格はおっとりしている。長家江戸屋敷老職の娘綾江がみそめ、是が非でもというので婚姻のない役だけしている。

新谷靱負・・・吉之介の叔父。幼少の頃父母を失った吉之介を引き取って育てた。由紀の父。

由紀・・・靱負の娘。吉之介の前髪大振袖の小姓姿を眩しい目で見上げている。

綾江・・・吉之介と二年前に婚約している。

森山勇之進・・・近習御用係。吉之介と幼馴染。

長丹波守雅典・・・藩主。

伊達政宗・・・名笛小枝と吉之介を気に入る。

虎を怖るる武士 覚え書き

骨柄(こつがら)・・・骨組み、体つき。

偉丈夫(いじょうぶ)・・・体が大きくて逞しい男。

必定(ひつじょう)・・・そうなると決まっていること。

時疫(じえき)・・・はやりやまい。

権柄(けんぺい)・・・政治上の実権、

横車(よこぐるま)・・・横に車を押すように道理に合わないことを無理に押し通そうとすること。

欣然(きんぜん)・・・よろこんで物事をするさま。

心因縹緲(しんいんひょうびょう)・・・芸術作品などに、きわめて優れた趣が感じられるさま。

短慮(たんりょ)・・・考えが浅はかなこと。

無風流(ぶふうりゅう)・・・風流でないこと。

極書(きわめがき)・・・鑑定書。

拝揖(はいゆう)・・・お辞儀。

臍を嚙む(ほぞをかむ)・・・既に及ばないことを悔やむ。

 

 

 

 

虚空遍歴 10の5 山本周五郎 

【朗読】虚空遍歴 10の5 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。金沢が目的地だが、回り道をして賤ヶ岳に立ち寄った冲也は、途中で妙な老人を見つけます。賤ヶ岳の描写はおすすめです!ぜひ最後までご視聴ください!コメントもおまちしています。

虚空遍歴 10の5 主な登場人物

冲也・・・金沢まで行く途中、賤ヶ岳を見たいと立ち寄る。

馬を引いた男・・・冲也が道を聞いた男。賤ヶ岳への道を案内し、道中の情報を提供する。馬にふきのとうを積んでいて強く香った。

妙な老人・・・戦場跡にいた。賤ヶ岳の戦いについて独り言を呟き、過去の戦場の様子を詳細に呟いています。

虚空遍歴 11の3 山本周五郎 

【朗読】虚空遍歴 11の3  山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、雨の中を宿から駕籠で飛び出した冲也と駕籠屋の話です。ちょっと整理すると、おけいと別れて金沢に向かっている冲也、しかし彼は常に不安で孤独なのです。最後までごゆっくりご視聴ください。

虚空遍歴 11の3 あらすじ

駕籠に乗った冲也は、後棒の腰の曲がった老人の饒舌に苛立ちながらも、彼の懸命な姿に心を動かされます。途中、琵琶湖の近くの余呉湖の話に興味を示しながらも雨で視界が遮られて湖は見えません。腰の曲がった老人は駕籠を下ろし、戦さの昔話を語る中、冲也は歩いていくことに決め、老人に駄賃を渡して別れを告げます。しかし歩き出した冲也の背後で駕籠は瞬く間に消え去り、彼はその滑稽さに声をあげて笑うのでした。そして宿に着く頃には、雨に濡れた身体が冷え、不安と息苦しさに襲われ、自分がもう死んでしまうのではないかという恐怖に襲われるのでした。

虚空遍歴 11の3 主な登場人物

駕籠の後ろ棒の老人・・・60歳くらいで腰が曲がっている。荒い呼吸でよろけながら駕籠を担ぎ、絶え間なしに冲也に話しかける。冲也に駄賃を貰うと、瞬く間に消え去る。

先棒の男・・・45から46歳くらいに見える。骨太で頑丈な体つきで、老人の話を止めることも急ぐ気配もない。

女中・・・宿の女中、元は江戸にいたが、今はここで働いている。冲也が息苦しさと不安を感じたときに駆けつける。

 

虚空遍歴 11の3 アリアの感想と備忘録

冲也は今回、歩くのもやっとで駕籠を担ぐ老人に出会います。(色んな人が出てきますね。)よろけて歩くのに饒舌に喋るところが胡散臭いのですが、冲也は老人が必死に話し続ける姿が彼自身の人生の証のようであると思い、駄賃を与えて自分で歩きます。そこに冲也の優しさと気遣いと思いやりが滲み出ていました。冲也ってやさしいですね。そしていつも一杯食わされる!しかし夜中に起こる息苦しさと不安は、冲也の孤独と恐怖、心の弱さを際立てていました。ゆっくり休めばいいのに、彼は仕事に取り組んで心を落ち着けようとします。困難に立ち向かう姿と心の弱さが交錯し、人間の繊細な感情がよく描かれてました。

 

 

虚空遍歴 11の1 山本周五郎 

【朗読】虚空遍歴 11の1 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。賤ヶ岳で一緒になった旅絵師の濤石は、冲也と同じ宿に草鞋を脱ぎま何か起こりそうな予感です・・・。今回は酒癖と態度が悪い旅絵師が登場です!

虚空遍歴 11の1 主な登場人物

冲也・・・他人とは距離を置いて付き合うタイプ。困難な状況を経験し、それが自身の成長に繋がっていると感じている。

矢島濤石(やじまとうせき)・・・旅絵師。自己中心的で無礼な男。冲也と同じ宿に泊まり、彼に傲慢でわがままな態度を取る。絵について語るが、自分の絵を見せることを拒否する。

賤ヶ岳の老人・・・武家出身だと自称する乞食。冲也に、心の響く声をかけ、まるで冲也の将来を見透かしたような言葉をかける。

京の老婆・・・貧困に苦しむ娘夫婦と孫たちを養うために門付けをしている。冲也がかつて助けたが、その経験は冲也自身の成長に繋がった

虚空遍歴 11の1 あらすじ

その夜、冲也は一人で宿に泊まり食事を済ませた。旅絵師の濤石も同じ宿に泊まり、食事の後で勝手に冲也の部屋に入ってきて酒を注文した。しかし冲也は一緒に飲もうとはしなかった。濤石は勝手に話をするが、冲也は、自分がこれまでに経験した困難や貧困を思い出し、それが自分を成長させたことを感じていた。濤石の態度が急に弱々しくなると、冲也は黙って目を逸らし、その夜は深い考えに耽りながら過ごしたのでした。

虚空遍歴 11の1 アリアの感想と備忘録

濤石が賤ヶ岳の老人の話をした時、冲也は「ここにいないものの悪口はやめよう」と云います。彼の誠実さと道徳観が強く表れました!今日の老婆の思い出は、彼の温かさや優しさが表れていてよかった。彼の旅は、孤独な物理的な移動ではなく、精神的な旅でもあるんですね。色んな出会いから多くを学び、自分を見つめ直しています。読みながら私自身の人生の旅と重なり、自信を見つめ直すきっかけになると思いました。