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正雪記まとめ2 山本周五郎

【朗読】正雪記まとめ2 山本周五郎 読み手アリア

【朗読】正雪記まとめ2 ここまでのあらすじ

第1部 3の3〜4の5

与四郎は、半兵衛と共に吉原へ通い、冷静に周囲を観察していた。しかし彼の内には孤独と虚しさが広がっていた。ある夜、はんが静かに彼の部屋を訪れ、茶を差し出しながら生国を訪ねる。与四郎は動揺しながらも自らの素性を隠し、「大望がある」と答える。しかし心の奥では、自分の出自を恥じ、嘘をついたことに苦しむのだった。

そんな折、紀州藩の高貴な人物から、兵学を講じるように求められる。与四郎は、自信満々で臨むが、老臣・安藤帯刀から「下郎」と一喝され、誇りは粉々に砕け散る。屈辱のあまり酒と遊びに溺れるが、夜明けの河岸で涙を流し、「このままでは終われない」と決意する。そして修行のため、密かに石川家を去る夜、はんに待っていてくれと伝えて静かに別れる。

2年の放浪を経て、信濃・木曽で剣士・勾坂喜兵衛と出会い、決闘の寸前まで至る。しかし隻眼の浪人・味平兵庫が介入し、与四郎の剣の才を見抜く。自らの未熟さを悟った与四郎は、さらなる修行を誓い、新たな道を歩み始めるのだった。

 

正雪記まとめ2 主な登場人物

由井与四郎・・・主人公、駿河の郷士の出と称するが、実は染物屋の息子。大望を抱きながらも出自に苦悩し、兵学や武芸を修める。紀州藩の安藤帯刀に侮辱され、自らを鍛え直すために旅に出る。

はん・・・石川主税助の娘。与四郎に静かな愛情を寄せ、旅立つ彼を見送る。誠実で心優しい女性。

石川主税助・・・楠木流兵学者で与四郎の師。彼を義理の息子として迎え、後継者にしようと考えている。

=紀州藩の人々=

徳川頼宣・・・紀州藩主。兵学に興味を持ち、与四郎を屋敷に招く。

安藤帯刀・・・紀州けの重臣。頼宣の信頼厚く、与四郎を「下郎」と見抜き、厳しく叱責する。

=旅先での新しい出会い=

勾坂喜兵衛・・・信濃松代の郷士の息子。武芸修行中の剣士で、短気で直上的な性格。与四郎と決闘寸前となる。

味平兵庫・・・伯耆の浪人。隻眼の剣士で、与四郎の才能を見抜く。荒々しいが、剣の実力は確か。

 

正雪記まとめ2 備忘録

与四郎にとって紀州家での出来事が大きな転機となりました。安藤帯刀から受けた屈辱をただの絶望で終わらせずに、むしろ自分を鍛え直すきっかけとする姿に、彼の強い意志と負けん気を感じました。一方で、はんの深い愛情と信頼が、与四郎の己の成長を誓うことに繋がったのでしょう。旅先では、これから大きく関わっていく勾坂喜兵衛と味平兵庫との出会いがありました。ここで与四郎が剣の真理に気づく場面は興味深かった。彼は単なる武勇ではなく、精神の在り方こそが武芸の本質であることを学んだ。その瞬間、与四郎は以前の彼とは違う、一つ上の境地に達したと思った。

 

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