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ひとでなし 山本周五郎

【朗読】ひとでなし 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「ひとでなし」です。(昭和33年)石川島の寄場から牢ぬけをして、死んだと見せかけた痩せた男・力造とその相棒の大きい男・吉次のたくらみ。力造は妻おようを自分たちが江戸から上方へ抜け出す際に利用しようとしていた。何も知らないおようは、力造は牢ぬけをして死んだと思っていた。そして、そんな彼女を支え続ける幼なじみの津の正の旦那・康二郎。二人はあさって結婚することになっていた。(あんちゃん/新潮文庫)凶状持ち二人の男の場面と、おようと康二郎の場面が分かれていて、悪だくみをする力造とおようの心理が代わる代わる出てきます。最後は意外な結末で飽きさせない面白い話でした。

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ひとでなし 主な登場人物

力造・・・痩せた小さい男。餝屋で子飼いからの職人でそこの一人娘のおようと結婚したが、博打と女で店を潰し、とうとう石川島の寄場へ 送られる。しかし相棒と共に牢抜けをし、三年間悪いことをしつくして江戸にいられなくなり、上方へずらかろうとしている。

吉次・・・大きい方の男。自分と力造の逃亡のためにおようを連れに行くが、そこでおようと康次郎の話しをすっかり聞いてしまい・・・

およう・・・餝屋の一人娘で父親の決めた力造と結婚して大変な苦労をする。五年前から康次郎の世話で店を出し繁盛した。夫は牢抜けをして死に康次郎と結婚する予定。

康次郎・・・袋もの屋、津の正の主人。おようを助け、妻が病んで死んだ後にもらおうとしている。ずっとおようが好きだった。

ひとでなし 覚え書き

水面(みのも)・・・水の水面

柔和(にゅうわ)・・・性質や態度が、ものやわらかであること。また、そのさま。

目顔(めがお)・・・人を見る目に託した表情。

くわばらくわばら(桑原桑原)・・・災難や禍事などが自分の身にふりかからないようにと唱える、まじない。

廃寺(はいじ)・・・住僧もなく荒れ果てた寺。

麻裏(あさうら)・・・麻裏草履の略。草履の裏に、麻糸を平たく編んだ紐をとじつけたもの。

寄場(よせば)・・・人足寄場の略。江戸幕府が設置した浮浪人収容所。更生施設。

物見遊山(ものみゆさん)・・・物見と遊山。気晴らしに見物や遊びに行くこと。

真綿でくるむように・・・大事にしすぎて過保護気味に育てられたという意味。

お仕着せ(おせきせ)・・・上方から一方的に与えられること。また、そのようにして与えられたもの。

機先(きさき)・・・前兆。前触れ。

榨木(しめぎ)・・・物を強く締め付ける道具。菜種など油を搾りとる道具。

 

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