【朗読】新三郎母子 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「新三郎母子」(昭和8年)周五郎先生30歳の作品です。幼い頃から父御は死んだと聞かせれていた新三郎。しかし彼の父は・・・・
新三郎母子 主な登場人物
平井新三郎・・・父に会うため母親と二人、江戸から岡山へ十日ほど前に移ってきた浪人。
貞江・・・永松勘兵衛の娘。毎日、平井の家の食事の支度や、病床にある母の世話をする。
永松勘兵衛・・・五十一歳。岡山池田藩士。性剛直で交際も少なく、早く妻を失って娘貞江と二人暮らしている。
津禰(つね)・・・新三郎の母。娘時分、お城に上がって殿様の御傍仕えを勤めていた。
江神楚雲(えがみそうん)・・・母の伯父で町儒者。膝下に漢籍を教える。新三郎と母がずっと世話になっていた。
池田新太郎少将光政公・・・岡山藩主。
新三郎母子 あらすじ(※ネタバレを含みます)
新三郎は江戸で、母と伯父の楚雲の元で生まれ育った。楚雲は折あるごとに「新三、今こそ落魄して居るが、そちは由緒ある人の子なのだ。一心に修行して立派な武士にならねばならぬぞ!」と云い云いした。新三郎はこれを幼な心に深く銘して忘れなかった。彼は文武ともに進歩は速やかであった。新三郎が二十三歳になった時、余命幾許もない楚雲が、自分が死んだあと、岡山にいる父に会いに行き、父子の名乗りをするがいいと遺言した。かねて父は亡き人と聞かされていた新三郎は驚いた。
新三郎母子 覚え書き
襤褸(つづれ)・・・使い古して役に立たなくなった布。
凡下(ぼんげ)・・・平凡ですぐれたところのないこと。
機会(しお)・・・事をするのに最も都合のよい時期。
竹光(たけみつ)・・・竹を削って刀身にみせかけたもの。
怒罵(どば)・・・怒りののしること。
落魄(らくはく)・・・おちぶれること。
膝下(しっか)・・・身に近いところ。
漢籍(かんせき)・・・中国の書物。中国人によって書かれた漢文形態の書物。
稟質(ひんしつ)・・・天からうけた性質。
幾許(いくばく)・・・いくら、どれほど。
境涯(きょうがい)・・・この世に生きていく上でおかれている立場。
陋巷(ろうこう)・・・狭くむさくるしい町。
不念(ぶねん)・・・注意が足りないこと。考えが足りないこと。
狼藉者(ろうぜきもの)・・・乱暴をはたらくもの。
詮方(せんかた)・・・なすべき方法。てだて。