【朗読】おたふく物語 湯治 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「おたふく物語 湯治」(昭和26年)です。おたふく物語は「妹の縁談」(昭和25年)「湯治」(昭和26年)「おたふく」(昭和24年)三部作です。何度もTVドラマ化、舞台化される人気作品です。
おたふく物語 湯治 主な登場人物
おしず・・・長唄の師匠。妹と二人で両親の面倒をみてきた。器量よしで明るい性分。妹の結婚に向けて奮闘中。
おたか・・・結婚までに女四人で行く熱海への湯治を楽しみにしている。
栄二・・・妙な浪人者の仲間に入って十八で入牢し、牢を出てもその仲間と縁が切れず、時々金の無心にやってくる乱暴者。
新七・いく・・・父母。父は黙り屋、母も栄二が牢に入ってから外出しなくなる。口下手の無愛想。
信濃屋の夫婦・・・おたかが嫁入りする「信濃屋」の友吉の両親。
薬研堀・・・おしず・おたかの華道の師匠。おたかの仲人。
おたふく物語 湯治 あらすじ(※ネタバレを含みます)
「信濃屋」のてつの提案で、てつと、薬研堀の絹女、おしずとおたかの四人で熱海へ湯治に行くことになった。費用はすっかり「信濃屋」で持つことになっている。「信濃屋」の一人息子の友吉とおたかの縁談が纏まって、あと七日で結納、ひと月後には結婚することになっていた。おてつとおたかが嫁姑になる前に、おてつとしては長いこと主婦役を勤めてきた慰労。おたかはこれから多忙な主婦役を引き継ぐので事前慰労の意味で息抜きをしてこようというのだった。おしずも珍しく乗り気で「たかちゃんのおつきあいで」と云ったが、おたかは、嫁に行ったらおしず一人が家に残るし、これまでの苦労休めも兼ねておてつがおしずを保養させるつもりだと察しをつけていた。そんなある日の夕方、おしずは帰り道に駕舁き風の男に一通の手紙を渡される。その手紙は次兄・栄二からで十両の金を無心するものだった。妹の嫁入りを控えて、金とつくものなら鐚銭一枚でもよけいに欲しいおしずは「十両だなんてとぼけたこと云ってるわ」とその手紙を握りつぶした。しかし・・・
おたふく物語 湯治 覚え書き
遊山(ゆさん)・・・野山に遊びに行くこと。気晴らしに遊びに出かけること。
相伴(しょうばん)・・・連れ立って行くこと。また、その連れの人。
おぞけ・・・怖がる心。おじけ。
拘泥(こうでい)・・・こだわること。必要以上に気にすること。
目算(もくさん)・・・目で見て数量の見当をつけたり、大体の計算をしたりすること。
譬え(たとえ)・・・たとえること。
鐚銭(びたせん)・・・質の粗悪な銭貨。
分相応(ぶんそうおう)・・・その人の身分や能力にふさわしいこと。
餌桶(えおけ・えさおけ)
頓馬(とんま)・・・間が抜けていること。また、そのさまや、そのひと。
水面(みのも・みなも)・・・水の表面。
棚晒し(たなざらし)・・・いつまでも売れないで店に残っていること。
紅絹(もみ)・・・絹織物の一種、真っ赤に無地染めした薄地の平絹。
蝶足(ちょうあし)・・・膳などの足の末端がチョウが羽を広げたような形になっていること。
大義親を滅す(たいぎしんをめっす)・・・君主、国家の大事のためには、親兄弟をも犠牲にする。
強請(ゆすり)・・・無理に頼むこと。また、ゆすること。
懐手(ふところで)・・・和服を着た人が手を袖から出さずに懐へ入れていること。