【朗読】新女峡祝言 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「新女峡祝言(よめきょうしゅうげん)」(昭和14年)です。
新女峡祝言 主な登場人物
松室伊兵衛・・・郷士。私財を投げ出して新女峡(よめきょう)の治水工事を起こそうと計る。
村右衛門・清吉・・・松室家の家僕。
松室信右衛門・・・本家の当主。伊兵衛の伯父。新女峡の治水工事に反対し、伊兵衛の邪魔をする。
絹江・・・伊兵衛の従兄妹で、伊兵衛を想っている。信右衛門の娘。
乙二郎・・・十五歳。信右衛門の息子。
大村市之丞・・・美濃の国本江藩の家老の子息。色が白く眉目秀でた端麗な若侍。伊兵衛の学友。
新女峡祝言 あらすじ(※ネタバレを含みます)
奥飛騨の山々の水を集めて木曽川へ注ぐ新女峡は切立った深淵で、雪解期になると一時に水が溢れるから、三年に一度くらいずつ川下の倉江郷付近は一帯にひどい氾濫を起こしていた。高山藩では御内政の都合よろしからず、新女峡治水策には一顧も与えてくれなかった。益田郡で指折りの古い郷士の松室伊兵衛は私財を処分し、新女峡の治水工事を起こそうと計った。しかし、松室の本家の当主松室信右衛門は治水工事に反対だった。信右衛門の娘、絹江と伊兵衛は幼い頃からお互いに想い合っていた。ある時、見廻りに出ていた伊兵衛は、祖師の温泉へ保養に来た遊学した折の学友、市之丞に会う。市之丞は、伊兵衛の絹江に対する気持ちに気付きながら、彼女に求婚する。
新女峡祝言 覚え書き
雪塊(せっかい)・・・雪のかたまり。
雪煙(せつえん・ゆきけむり)・・・積もっていた雪が風のために煙のように舞い上がること。
話頭(わとう)・・・話をするきっかけ。話の糸口。
急峻(きゅうしゅん)・・・傾斜が急で険しいこと。
深淵(しんえん)・・・深い淵。
衰微(すいび)・・・勢いが衰えて弱くなること。衰退。
遊学(ゆうがく)・・・故郷を離れ、よその土地や国に行って勉学すること。
我執(がしゅう)・・・自分中心の考えにとらわれて、そこから離れられないこと。
頑強(がんきょう)・・・自分の態度や考えをかたくなに守って、外からの力に容易に屈しないさま。
踏査(とうさ)・・・実際にその地へ出かけて調べること。
憂悶(ゆうもん)・・・思い悩み、苦しむこと。
嘯いて(うそぶいて)・・・とぼけて知らないふりをする。平然と言う。
暗鬱(あんうつ)・・・気持ちが暗く、ふさぎこんでいること。
耳底(じてい)・・・耳の底。耳の奥。
叩頭(こうとう)・・・頭を地につけておじぎすること。
下賤(げせん)・・・いやしいこと。身分が低いこと。
蕭殺(しょうさつ)・・・物寂しいさま。秋の末の草木の枯れて物悲しいさま。
仰臥(ぎょうが)・・・あおむけに寝ること。
黙然(もくぜん)・・・口をつぐんでいるさま。もくねん。
自在鉤(じざいかぎ)・・・囲炉裏やかまどの上に吊り下げ、それに掛けた鍋・釜などと火との距離を自由に調節できる鉤。
足袋跣(たびはだし)・・・下駄や草履を履かないで、足袋のまま地面を歩くこと。
薪炭(しんたん)・・・たきぎと炭。
飛礫(つぶて)・・・小石を投げること。また、その小石。
水落(みずおち)・・・みぞおち。
悄然(しょうぜん)・・・元気がなく、うちしおれているさま。しょんぼり。
才知(さいち)・・・才能と知恵。
斯様(かよう)・・・このような、この通り。
頑愚(がんぐ)・・・おろかで強情なこと。
哄笑(こうしょう)・・・大口を開けて笑うこと。どっと大声で笑うこと。