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将監さまの細みち 山本周五郎

【朗読】将監さまの細みち 山本周五郎 読み手アリア

こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「将監さまの細みち」(昭和31年)です。人気作で、何度もTVドラマ化・舞台化された作品です。病夫と子どもを抱え、生活のために岡場所に「通い」で勤めるおひろの話です。

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将監さまの細みち 主な登場人物

おひろ(おその)・・・二十三歳。「染井家」という岡場所で病夫と子どものために通いで働く。

利助・・・病気で三年も寝ている。実は怠け者。

政次・・・四歳。おひろと利助の子。

おまさ・幾世・文弥・・・岡場所「染井家」のおんな。

源平・・・駕籠屋・染井家の経営者。

常吉・・・おひろと利助の幼なじみ。妻に死なれ、おひろを後妻にしたいと探していた。

将監さまの細みち あらすじ(※ネタバレを含みます)

おひろには三年も寝ている病夫と四つになる子供があった。良人の医薬と生活をたてていくために、どうしてももう少し稼ぎを増やさなければならなくなっていた。それはどうにもならぬほど差し迫っていたし、ほかに芸のない女にはそれをきりぬける手段は一つしかなかった。おひろは働いていた料理茶屋で知り合った客の源平に相談し、彼の経営する岡場所「染井家」で通いで稼ぐようになった。おひろはいつも自分の力に及ばないことは「どうしようもないじゃないの」と自分にそう云いきかしていた。

かん太
おひろは辛い時いつも「五十年まえには、あたしはこの世に生れてはいなかった。そして、五十年あとには、死んでしまって、もうこの世にはいない。・・・あたしってものは、つまりはいないのも同然じゃないの、苦しいおもいも辛いおもいも、僅かにそのあいだのことだ、たいしたことないじゃないの。」って思うんだよ。

夫の利助は三年も寝ている割には体に肉もついていたし、膚の艶もよかった。半分は嘘のような咳をしたり、かみさんに働かせて自分は寝てるなんて死んじまいたくなる・・など愚痴る。おひろはうんざりしていた。利助は子どもの頃、幼なじみの常吉とよく喧嘩したがいつも負けていた。利助は子どもの頃から弱虫で、口でいばったり強がったりしても、いざとなると弱虫で、いくじがなかった。おひろは常吉の方が好きだったが、表通りの大八百屋の常吉と、裏長屋の子ではどうしても隔てがあり、おひろは弱虫な利助の味方になり庇ってやった。ある時、幼なじみの常吉が岡場所におひろを訪ねてくる。そんな利助とは別れて自分と一緒になろう・・子どもも引き取って構わない・・・二年もおひろを探していたという。

アリア
常吉がおひろに「五十年先には死んでしまうものなら、生きている今をいきなければならない。生きているうち仕合せに生きることを考えよう。」って云うんだ。そしておひろは常吉に・・・

将監さまの細みち 覚え書き

岡場所(おかばしょ)・・・江戸で、幕府公認の遊女屋を集めた遊郭である吉原に対して非公認の私娼屋が集まった遊郭のこと。

盃洗(はいせん)・・・酒席でやり取りする杯を洗いすすぐための器。

 

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