【朗読】武道仮名暦 山本周五郎 読み手アリア
こんにちは!癒しの朗読屋アリアです。今回は、山本周五郎作「武道仮名暦」(昭和14年)です。
武道仮名暦 主な登場人物
戸来(へらい)伝八郎・・・二百石の同心組頭。色の浅黒い、眉の濃い、逞しい肩つきで物にこだわらない明るい闊達な性質で朋友にも敬愛されていたが、思ったことは何でもずばずば云うので時々喧嘩をする難があった。
お縫・・・池田玄蕃の娘。伝八郎の従兄妹。伝八郎のことを・・・
池田玄蕃・・・御側頭。伝八郎の伯父。幼い頃父母を亡くした伝八郎の後見人。喧嘩の多い伝八郎を、主君に懇願して三年間の江戸詰にして貰った。
海部信之介・・・同心組。庄田流の小太刀に秀で、若手の中では十指に数えられている。お縫のことを・・・
曽根忠太・山田募(つのる)・・・同心組。伝八郎の友人で将曹の動きを密かに探っている。
津田将曹・・・南部藩国老。津軽藩に操られている。
武道仮名暦のあらすじ(※ネタバレを含みます)
戸来伝八郎は南部藩二百石の同心組頭である。食録は少ないが、南部家で戸来といえば数百年来の譜代で、三人まで家老を出している由緒ある家柄だった。彼は幼い頃父母を失い、伯父の池田玄蕃の後見で育ったが、喧嘩早いところから三年間の江戸詰めとなっていた。南部藩と津軽藩の確執は長く、津軽家は今も南部に対して徹底的な打撃を与えてやろうと、種々謀略を廻らせているという密報を受け、伝八郎は急遽帰国した。同心組の友人、曽根と山田には前もって手紙で探索を頼んでおいた。しかし二人の報告は、伝八郎の予想を裏切って、国境にも、津軽に操られている津田将曹にも異常はなかったし、疑わしいものがなかった。
武道仮名暦 覚え書き
気根(きこん)・・・根気のあるさま。根気。精力。
朽木(くちき)・・・きゅうぼく。くちた木。
顛倒(てんとう)・・・ひっくり返ること。
小才(こさい)・・・こざいともいう。その場に合わせて、うまく始末をつける能力。
一蹴(いっしゅう)・・・すげなくはねつけること。
拱手傍観(きょうしゅぼうかん)・・・手を出さないで、ただ、眺めていること。
忿懣(ふんまん)・・・怒りが発散できずにいらいらすること。腹が立ってどうにもがまんできない気持ち。
早世(そうせい)・・・早く世を去ること。早死。夭折。
出来(しゅったい)・・・事件が起こること。
宿怨(しゅくえん)・・・かねてからの恨み。年来の恨み。
謀計(ぼうけい)・・・はかりごと。相手をだます計略。
侵犯(しんぱん)・・・他国の領土や権利などを不法に侵すこと。
密報(みっぽう)
繁多(はんた)・・・用事が多く忙しいこと。また、そのさま。
殊勝(しゅしょう)・・・とりわけすぐれているさま。
禍根(かこん)・・・わざわいの起こるもとや原因。
更迭(こうてつ)・・・ある地位・役目にある人を他の人と代えること。
追従(ついしょう)・・・他人の気に入るような言動をすること。こびへつらうこと。
蔬菜(そさい)・・・青物野菜。
凌ぎ(しのぎ)・・・苦しい局面やつらいことを、なんとかもちこたえて切り抜けること。